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順位よりもスタントが評価の決め手となるユニークなオフロードレース「エキサイトトラック」レビュー(3/3 ページ)

「エキサイトトラック」は、Wiiリモコンを横向きに持ち、起伏の多い荒野をルール無用で爆走するオフロード系のレースゲーム。ところが、レースゲームなのに順位やタイムはさほど重要でなく、ジャンプや空中でのスピンといったスタントアクションが成績を左右するところがユニークだ。

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SDカードに入れたMP3ファイルをレース中のBGMに使える

 そのほかには、与えられた課題をこなしていく「チャレンジ」モードと、Wiiリモコンを2つ使って、画面分割で2人同時に対戦プレイができる「VS対戦」モードもある。「チャレンジ」モードには、コース上のゲートをくぐりながら進む「ゲートチャレンジ」や、空中のリングをくぐってできるだけ多くのスターを獲得するという「クラッシュチャレンジ」などがあり、「エキサイトレース」よりもストイックな走りが要求される。「VS対戦」では、画面が左右に2分割された状態で2人のプレーヤーが対戦できる。CPUカーは登場しないが、基本的な遊び方は「エキサイトレース」と同じで、最終的により多くのスターを獲得したプレーヤーが勝ちとなる。

画像 「チャレンジ」モードの「ゲートチャレンジ」では、コース上に設置されたゲートをくぐりながら進む。制限時間がシビアなうえに、ミスをすると残り時間が減ってしまうので、正確なドライビングが求められる
画像画像 「VS対戦」の場合も、順位ではなく最終的なスターの獲得数で勝敗が決まる

 また、「エキサイトトラック」はドルビープロロジックIIのサラウンド出力にも対応しているので、サラウンドシステムと接続すれば5.1chサラウンドでゲームを楽しむことができる(Wiiリモコンのスピーカーからもアイテムを取得したときなどに効果音が出るので、それを含めると6.1ch……?)だが、ここでちょっと困った問題が出てくる。Wii本体には光デジタル音声出力がないため、Wii専用AVケーブル(D端子やコンポーネントなども同様)に付いているアナログ音声端子をサラウンドアンプにつなぐことになる。

画像 「エキサイトトラック」の音声をドルビープロロジックIIのサラウンドで出力するには、あらかじめWii本体の「サウンド」で設定を変更しておく必要がある。D端子やコンポーネントケーブルを使用していて、映像を480pのプログレッシブ出力にする場合も、同様にWii本体側で設定を行う

 ドルビープロロジックIIは、2chで入力された音声信号をアンプでデコードする際に5.1chに振り分ける方式なので、アナログ音声端子でつなぐこと自体に問題はないが、映像端子をTVに、音声端子をアンプにつなごうとした場合、設置状況によってはケーブルの長さが足りなくて届かないというケースが出てくる。参考までに、手持ちのWii専用D端子AVケーブルの長さを測ってみたが、D端子側と音声端子側を目一杯広げても40センチほどしかない。映像の入出力やセレクター機能を持たないAVアンプをお使いの方は、この点に注意されたい。一方がピンプラグ、もう一方がピンジャックになっている延長用のステレオコードを買うのが、もっとも安上がりな解決策だ。

 サウンドについてはもう1つおもしろい機能があって、この「エキサイトトラック」では自分の好きな楽曲をレース中のBGMとして流すことができる。SDメモリーカードにMP3形式の音楽ファイルを保存し、それをWii本体のSDメモリーカードスロットに差しておけば、そのMP3ファイルをBGMとして使える。Wii本体には音楽CDの再生や録音機能がないので、パソコンで音楽CDからMP3ファイルを作成しておく必要があるが、マイクロソフトの「Windows Media Player」やアップルの「iTunes」などにも音楽CDからMP3へ変換する機能があるので、それらを利用してMP3ファイルを作成するのが手軽でおすすめ。128kbpsから320kbpsの範囲で試した限りではいずれも問題なく再生できたので、MP3形式であればビットレートは問わないようだ。

 ゲーム中の音楽をカスタマイズする機能は、Xbox 360やXboxの一部ソフトにもあったが、ハードディスクが搭載されていないWiiでもこのようなことができるというのはちょっと意外で、Wiiの知られざる一面を見たような思いがする。実際にやってみると、これがなかなかおもしろくてハマる。特にレースゲームでは、BGMが気分を盛り上げるうえで大きな役割を果たすように思うので、それをプレーヤーの好みの楽曲に変えられるのがうれしい。ハウスやトランス系の楽曲で恍惚感に浸りながら走ると実に心地よいし、意外なところではウィンナー・ワルツなどもよく合うと思う。エアスピンで車体をくるくると回転させるのがまるで踊っているような感覚なので、そのBGMとしてワルツを使ってみると、これが不思議とマッチする。

画像 レースが始まる前に「サウンドオプション」を選択して、「SDカード」を選ぶ。
画像 すると、SDカードに入っているMP3ファイルが表示されるので(最大100曲まで)、そのコースで使用したい楽曲を選ぶ。「ランダム」を選択しておけば、SDカードに収録されている曲がランダムで再生される

Wiiリモコンでの操作もおもしろいが、普通のコントローラーで遊びたいという気も……

 初めのうちは、Wiiリモコンを傾けてハンドルを切る際の加減がわからずに苦労したが、それに慣れてきて、さまざまなスタントを出せる余裕ができてくると、このゲームは俄然おもしろくなってくる。うまくなるほど高度なスタントを立て続けに繰り出せるようになり、それが快感を呼ぶ。また、順位やタイムがふるわなくても、スターを着実に積み重ねればクリアできるので、レースゲームが苦手な人でも取っつきやすい。

画像 ハイスコアやグレードはスターの獲得数で決まるので、このように前回よりタイムが遅くてもランクで上位になることがある
画像 空中で「1」ボタンと方向ボタンを押しながらWiiリモコンを右→左(または左→右)と素早く傾けると、エアスピンが出せる。これが自在に出せるようになると、スコアを大きく伸ばせるようになる
画像 エアスピンの終わりにタイミングを合わせて同じ操作をすると、さらに回転を重ねることが可能。3回転で「スーパーエアスピン1080°」となり、スターを5つもらえる。条件が揃えば、このように5回転(1800°)もできる

 少し残念に思えたのは、達成感を刺激するような演出にやや欠けることだろうか。ある条件を満たすと新しい車が使えるようになったり、トロフィーを獲得できるという要素も盛り込まれているが、それが「○○をゲットしました」と事務的に伝えられるばかりで、演出がやや物足りない。また、レース終了後にリプレイを鑑賞できるが、定点カメラで自分の車を追うようなカメラワークがないので、ちょっと地味な印象……。「上手に走れた」と自己陶酔させてくれるようなリプレイが見たい。

画像 リプレイ再生中は、5種類の視点を方向ボタンで切り替えながら楽しめる。これは、前方から自車を追い続ける「フロント・カメラ」でのリプレイ
画像 「ライト(レフト)・カメラ」は、自車から真横を見るアングル。ちょうど車窓から流れる景色を眺めるような感覚が楽しめる
画像 1位の獲得回数や、高難度のスタントを決めた回数を記録しており、それが一定数に達するとトロフィーを獲得できるが、その演出がちょっと物足りない感じ……。ちなみに、Wiiリモコンを傾けると、トロフィーをさまざまな角度から鑑賞できる

 本作だが、欲を言うならWiiリモコン以外のコントローラーでもプレイできるとなおよかったと思う。Wiiリモコンをハンドル代わりに車を運転するのは、体感的で確かにおもしろかったが、起伏が激しいオフロードが舞台なので、ハンドリングよりも地形に車体が振られてしまうことが多く、キビキビとした走りをするのが難しい。ゲームを進めていくとコースもより複雑になるので、Wiiリモコンでの操作は高いスキルが要求される。試しに、クラシックコントローラーとゲームキューブ用のコントローラーも接続してみたが、やはりこのゲームでは使用できなかった。Wiiの最大の特徴がリモコン型コントローラーにあることは分かるが、「エキサイトトラック」のゲーム内容からすると、プレーヤーがコントローラーを選べるような作りにしてもよかったかもしれない。

 ただし、「順位を競う」というレースゲームにありがちな目的から発想を変え、ジャンプや空中でのスピンといったスタントアクションが成績を左右する“魅せる”レースゲームというのは、これまでにあまりなかったと思う。新世代機として登場したWiiと、その特徴であるWiiリモコンを使った、新しいプレイスタイルでのレースゲームを是非プレイしてみてほしい。

(C)2007 Nintendo/Game Developed by Monster Games.


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