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宮本茂氏、大いに喝采をあびる――2007 Game Developers Choice Award発表GDC 2007

GDC恒例のGame Developers Choice Award授賞式が今年も開催され、任天堂の宮本茂氏がLifetime Achievement Awardを受賞。また大賞(Best Game Award)にはマイクロソフトの「Gears of War」が選ばれた。

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「大神」と「Wii Sports」がそれぞれ2部門を受賞

任天堂の宮本茂氏と青沼英二氏は両名ともに受賞

 Game Developers Conferenceの恒例行事であるGame Developers Choice Awardが、会期3日目となる3月7日(現地時間)開催された。Game Developers Choice Awardは、過去1年間に発売されたタイトルを対象に、IDGA(Internatioal Game Developer Assosiation)のメンバーであるゲーム開発者およびゲーム業界関係者によって選出される。受賞作は、まさに同業者に認められた存在であるため、ゲーム開発者にとって最も名誉のある賞のひとつであるといっても過言ではないだろう。

 Game Developers Choice Awardは、アメリカで開催されていることもあり、北米市場で発売されたゲームが数多くノミネートされている。しかし、ゲーム開発者の多くは日本のゲームやゲーム開発者を尊敬しており、事実毎年日本製タイトルも多数ノミネートされている。今年は、カプコンの「大神」、任天堂の「Wii Sports」および「ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス」、スクウェア・エニックスの「ファイナルファンタジー XII」、そしてソニー・コンピュータエンタテインメントの「LocoRoco」の5作品がノミネートされていた。

 そして、革新的なタイトルに送られる「Innovation Award」として「大神」と「Wii Sports」が、優れたストーリー性を持つタイトルに送られる「Writing Award」として「ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス」が、優れたゲームデザインを実現したタイトルに送られる「Game Design Award」として「Wii Sports」が受賞。そして、キャラクターデザインの優れたタイトル(ライセンスものは除く)に送られる「Character Design Award」として「大神」がそれぞれ受賞した。

 Game Developers Choice Awardのソフトウェア部門として用意されている8部門のうち、半数を占める4部門を日本製タイトルが受賞したわけだ。しかも、大神とWii Sportsは双方とも2部門での受賞である。もともと大神とWii Sportsは、海外のゲーム開発者の間でも高い評価を得ていたが、今回の2部門受賞で高評価を再認識する形となった。

 ちなみに、Game Developers Choice Awardの中でもっとも名誉のある「Best Game Award」は、マイクロソフトの「Gears of War」が受賞した。Gears of Warは、昨年11月の発売開始後10週間で販売本数300万本を突破するなど、記録ずくめの大ヒットとなっている。もちろんゲーム開発者の間でも非常に評価が高く、今回Best Game Award以外にも、優れたテクノロジーを実現したタイトルに送られる「Technology Award」と、優れた映像演出を実現したタイトルに送られる「Visual Arts Award」も同時に受賞しており、Best Game Awardの受賞も文句なしといったところである。

 昨年は、ソニー・コンピュータエンタテインメントの「ワンダと巨像」が、Best Game Awardを含む5部門を受賞したこともあり、今年も日本製タイトルのBest Game Award受賞が期待されたのだが、やや残念な結果であった。それでも、今回日本製タイトルが4部門で受賞したことを考えると、まだまだ日本製タイトルは世界のゲーム開発者から大いに注目され、また支持されていることがよくわかる。来年こそ、また日本製タイトルがBest Game Awardを受賞することを期待したい。

Writing Awardを受賞して盾を受け取った、ゼルダシリーズのディレクター青沼英二氏
Wii Sportsの開発陣に代わりに登壇した宮本茂氏
Best Game Awardには、マイクロソフトのGears of Warが選ばれた。写真はGears of WarのリードデザイナーであるCliff Bleszinski氏

Lifetime Achievement Awardに宮本茂氏、First Penguin AwardにAlexey Pajitnov氏が選ばれる

 Game Developers Choice Awardでは、タイトルだけでなく、ゲーム業界に貢献してきたゲーム業界関係者に送られる賞も用意されている。そして今年は、First Penguin Awardに、テトリスの開発者としておなじみのAlexey Pajitnovが、またLifetime Achievement Awardに、任天堂の宮本茂氏がそれぞれ受賞した。

 First Penguin Awardは、南極の極寒の海に真っ先に飛び込んだペンギンにたとえて、ゲーム業界の中で、未知の領域にいち早く挑戦した人物に対して送られる賞だ。Alexey Pajitnov氏といえば、やはりソ連時代に開発したテトリスだ。いわゆる落ちものパズルをいち早く開発し成功させたわけで、まさしく未知の領域にいち早く飛び込んだ人物というわけだ。

 また、ゲーム業界に革新的かつ多大な功績を残した人物に対して送られる「Lifetime Achievement Award」には、任天堂の宮本茂氏が選ばれた。宮本氏は、ドンキーコングシリーズ、マリオシリーズ、ゼルダシリーズ、ピクミンなど、世界中で愛されているタイトルを多数送り出してきた、日本が誇る伝説的なゲームクリエイターだ。当然、ゲーム業界でもっとも尊敬されている人物の1人であり、世界中のゲーム開発者にとってあこがれの人物でもある。その宮本氏が受賞をコールされステージに上るやいなや、会場にいたすべての人がスタンディングオベーションで迎え、拍手が1分間ほど鳴りやまなかった。その圧倒的なまでのリスペクトと祝福の嵐を目の前にして、宮本氏も感極まっているかのようであった。

 宮本氏は、受賞スピーチで次のように語った。

 「この仕事を長い間やってきて、本当に良かったと思います。こういう賞をもらうというのは、年寄り扱いされていて、引退に近い状態かと思うんですが、僕はまだまだ皆さんに刺激を与えるゲームを作っていきます。私がこれだけ長くやっていけるのは、若い人の英知を吸血鬼のように吸い取っているからです(笑)。一緒にやってくれている皆さんにも感謝しています。僕らはずっと新しいことをやり続けてきて本当に楽しんでいたんですけど、本当にそれを続けてきて良かったと思います。皆さんがそれを選んでくれると言うことには本当に感謝しています。これからもどんどん新しいことをやります!」。

 これからも宮本氏からは、様々な新しい驚きや楽しみが送り出されてくることだろう。次回作でどんな驚きが実現されるのか、非常に楽しみである。

First Penguin Awardを受賞した、テトリスの開発者としておなじみのAlexey Pajitnov氏
昨年同賞を受賞したリチャード・ギャリオット氏から記念の記念の盾を受け取る宮本氏
いつまでも鳴りやまない拍手に笑顔で答える宮本氏。今回はWii Sportsの受賞の代役もこなしたため、計3回壇上に上る活躍であった

2007 Game Developers Choice Award各賞の受賞作品、受賞スタジオ、受賞者

Best Game AwardGears of War
Innovation AwardLine Rider
大神
Wii Sports
New Studio AwardIron Lore Entertainment
Writing Awardゼルダの伝説 トワイライトプリンセス
Game Design AwardWii Sports
Audio AwardGuitar Hero II
Character Design Award大神
Technology AwardGears of War
Visual Arts AwardGears of War
Marverich AwardGreg Costikyan
First Penguin AwardAlexey Pajitnov
Community Contribution AwardGeorge “The FatMan” Sanger
Lifetime Achievement Award宮本茂

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