GDCで思う日米の温度差
先週は北米サンフランシスコで開催されたGDC関連の記事が多数ランクインしております。日本のゲーム市場縮小が叫ばれている昨今、開発者たちはどう取り組んでいこうとしているのだろうか?
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先週は北米サンフランシスコで開催された「Game Developers Conference 2007」(以下、GDC)関連の記事が多数ランクインしている。ゲーム開発者のためのイベントであり、特にユーザー向けの発表などは少なかったが、それでも注目度は高かった様子。
さて、ゲームを取り巻く環境には体温みたいなものであると思う。いわゆる温度差という形で表現されるわけだが、海外に出ると確かに日本との熱の差を感じずにはいられない。井の中の蛙という言葉もあるとおり、日本にいるとつい鈍感になってしまうが、市場規模の大きさから特にアメリカは、いまやゲーム文化の牽引役となって久しい。
GDCに参加している日本人スピーカーからよく聞いたのは、やはり日本市場の縮小による危機感であり、独創性あふれるオリジナルゲームが輩出しづらくなった開発現場の現状だった。それは、聴講に来たデベロッパーの方々と話をしても、同じことを自嘲気味に囁かれた。開発費の高騰や市場縮小におけるリスクの回避、それを理由とした続編偏重など、さまざまな理由があれど、かなり凝り固まった状態が日本のゲーム市場なのだとか。だからこそ、各メーカーともにユーザー層拡大を声高に叫ぶわけだ。
しかし、ほとんどすべてのスピーカーや参加者がそうであったように、まだ希望は捨ててはいない。日本には日本でしか生み出せないオリジナルがあり、技術があると胸を張る開発者のなんと多かったことか。これには同じ日本人として聞いていて胸のすく思いだった。
確かにアメリカの市場の大きさから、各ソフトメーカーはアメリカで売れるものを作らざるを得ないのかもしれない。しかし、逆にジャンルであり、嗜好の偏りを生み出してもいる。ゲームはもっと多様でなくてはならない。そういう意味では、日本はジャンルの隙間を狙う多様性があり、だからこそ少なくともいくつかのタイトルを今でもアメリカでヒットさせているのだ。日本の市場は縮小したとはいえ、まだ拡大の可能性もあるし比較的大きい。ゲームに関する不健康なイメージも払拭しつつある。開発者が持つ危機感がきっと、いずれは日本でしか生み出せないであろうオリジナルゲームが続出することを願ってやまない。
現在ゲーム開発現場では、携帯ゲーム機やPC、モバイルなど比較的開発費が抑えられるプラットフォームに新しい才能が開花しつつある。また、XNAのように比較的安易にゲームを製作する環境も整いつつある。新しい才能はいずれ、思ってもみない形で新たなゲームを我々の目の前に提示してくれるに違いない。
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