4月18日(水)午後7時。高野山東京別院にて「ラオウ昇魂式」がしめやかに執り行われた。この昇魂祭は、ラオウの最期を描いた映画「真救世主伝説 北斗の拳 ラオウ伝 激闘の章」の公開を控えて企画されたもので、あいにくの雨にも関わらず、約3000人あまりのファンが焼香に駆けつけ、ラオウの死を嘆き祈りを捧げていた。
「ラオウ昇魂式」は、映画の公式サイトで参加を呼びかけたもの。北斗神拳を伝えたとされる弘法大師空海ゆかりの場所での開催ということもあり、真言宗の流儀に則って行われ、まずは7人の僧侶による読経、護摩行に続き、映画でラオウの声を担当する俳優・宇梶剛士さんによる弔辞が読み上げられた。
宇梶さんはラオウの遺影に向かって「ラオウ。僕はあなたの死に際して何を言えばいいのでしょうか? 自分の生き方を貫こうとしても立ち止まった時があった。その時にあなたの生き方に励まされた。僕はいつも一期一会を大切にし、その時のベストを尽くしてきた。あなたの生き方はまさに僕の行き方と一致していた」と語りかけた。
その後は、本日来場できなかった北斗ファンの著名人である亀田兄弟や、ジャガー横田さん、そしてケンシロウの声を務める阿部寛さんからの弔電VTRが上映。指名者焼香では葬儀委員長の谷村新司さんに続き、宇梶剛士さん、そして来場された北斗ファンの森下千里さん、格闘家・武田幸三さんらが焼香に上がり、ラオウの死を惜しんだ。
葬儀委員長でもある谷村新司さんは、「あなたと出会い、あなたと過ごした日々を誇りに思います。星への旅を始めたあなたに、今、万感の思いを込めて」と挨拶。引き続き、映画の挿入歌を歌うWAKANAさんのライブ、本作で赤鯱の声を務める自他ともに認める「北斗の拳」ファンの角田信朗さんによる、ラオウへ捧げる演武「征遠鎮」が披露、さらに総勢17名のダンサーによるパフォーマンスが繰り広げられた。
最後は、ラオウの最期の勇姿を収めたダイジェスト映像が上映され、製作総指揮の堀江信彦氏、原作者である原哲夫氏からの挨拶で昇魂式は幕を閉じた。原哲夫氏は「今日はご愁傷さまと言われて、こそばゆいようなうれしいような気持ちになりました。漫画のキャラクターにこんな言葉をかけてもらえるのは、漫画家冥利につきます。湿っぽくなく、旅立ちという意味で声を掛けていいのではと思いました」と詰めかけたファンに感謝の意を表明。堀江信彦氏も「1986年の春に連載でラオウが天に昇りました。その当時の少年・青年が21年経って、最前線で活躍する歳になり、そういった世代の人たちが今回の昇魂式を企画し、実現してくれたことを本当に幸せに思う」と締めくくった。
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