楽園へようこそ!――ハワイを独り占めにできる“ドライブ”ゲームが登場:「テストドライブ アンリミテッド」レビュー(2/2 ページ)
1600平方キロメートルにも及ぶハワイのオアフ島で、セレブリティなカーライフを満喫できる「テストドライブ アンリミテッド」。クルマを運転することの楽しさを、改めて思い出させてくれる作品である。というわけで、ハワイのセレブ生活を満喫してみました。
コンピュータ操作の一般車両がリアルさを醸し出す
走行時の視点バリエーションが多いのも○。自車が映る遠景視点だけでも数パターンあるが、筆者のオススメは、何と言ってもフロントウインドウ越しの車内視点だ。車種ごとに異なるハンドルやメーター類、ダッシュボードなどが見られるので、違うクルマに乗ったときの楽しさも倍増する。しばらく走行していると、フロンウインドウが汚れてくるというリアリティもナイスだ。ドアウインドウの開閉(開けている時と閉めている時で、周囲から聞こえる音が変わるという凝りようや、シートポジションの変更などもできてしまう。そして、この視点の最大の魅力(?)は、怖いくらいに迫力があること! 300キロのスピードで一般車両を交わしながらの走行なんて、最初は爽快感を通り越して恐怖しかない(苦笑)。これで追突した日には心臓に悪い。
なお、走行中は視点に関わらずラジオを聞くことが可能。さまざまなジャンルの放送局を選択でき、独自のプレイリストを作ることもできる。
また、リアルなのは見た目だけではない。現実同様、ゲーム中の世界にも、交通ルールが設けられているのだ。ハワイは日本と違って右側通行のため、コンピューターが操るクルマはすべて右車線を走っている。一方通行の道では(プレイして知ったのだが、ハワイは一方通行がやたら多い)、当然逆走するクルマなんていない。交差点には信号機があり、一般車両がきちんと信号待ちしているという芸の細かさ。対向車と接触しそうになると、相手が必死でよけようとするなど、人が運転している(=この島にたくさんの人が存在する)ことを思わせる仕様に感服してしまった。
とは言え、プレーヤーは交通ルールを守らなくてもペナルティはない。逆走に信号無視、スピード超過や器物破損をしても全然オーケーだ。ただし、一般車両に激突した場合はその限りではない。警察からマークされ、パトカーを振り切れずに捕まってしまえば、罰金を取られてしまうのだ。この警察の存在は、フリーライドにちょっとした緊張感を与えてくれることだろう。なお、事故を起こしても数十秒ほど逃げ切れば、警察からのマークは解かれる。
道路をきちんと走る腕が問われる各種ミッション
フリーライドにある程度慣れたら、レースやミッションに参加してみたい。レースには、シンプルに1位を目指す「レース」、最高速を競う「スピード」、「タイム」の2種類があり、それぞれ好成績を挙げれば賞金をもらえる。賞金自体はやや低めに設定されているが、何度でもチャレンジできるため、同じレースを繰り返して資金を稼ぐことが可能だ。
ただし、注意したいのは、レースの最中でも一般車両が普通に走っている場合がある点だ。しかも、一般車両はごていねいに交通ルールを守って走っているため、例えば信号待ちの一般車両が邪魔になったり、十字路で横からぶつけられたりで勝利を逃がした、なんてことも……。ライバルカーをパスするだけでなく、一般車両をいかに捌けるかも、レースの重要なポイントなのだ。
一方、ミッションは全部で4種類。女性/男性を乗せて目的地まで向かう「トップモデル」に「ヒッチハイカー」、他人のクルマを運転して目的地に送り届ける「トランスポート」、荷物の運び屋となる「クーリエ」が用意されている。それぞれ成功すると、報酬がもらえる。報酬金額はレースよりも高めに設定されているが、1度クリアーすると、そのミッションは再チャレンジ不可能だ。さらに、クーリエは失敗すると保証金を支払うペナルティもあるため、ハイリスクハイリターンなミッションといえるだろう。
また、トップモデルをクリア時の報酬は、お金ではなくクーポンをもらえる。このクーポンは、島の各所にあるブティックで、洋服や靴、アクセサリーを購入するときに必要となるものだ。衣服はフォーマルなものからカジュアルなものまで多種多彩で、自宅でいつでも着替えることができる。プレーヤーキャラクターの外観を変えられるのは、単なる自己満足なのかもしれないが、コレクション好きには嬉しい機能と言えるだろう。ちなみに、衣服だけではなく、キャラクターの顔も編集可能だ。
こうしてフリーライドを楽しみつつ、レースやミッションをこなしていくと、“実績”が次々に解除される。本作は、解除した実績のポイントに応じて、プレーヤーのレベルが上昇する仕組みになっている。プレーヤーのレベルが上がると、機能がどんどん増えていくのだ。
その1つが、写真撮影。走行中でも停車中でも、ポーズメニューから撮影モードに移行でき、彩度やコントラストの調整、フィルターの有無などを自由に設定して、写真を撮ることができる。撮った写真はアルバムとして自宅で閲覧できるほか、Xbox LIVEにアップロードして、公式サイトを通じてデータとして入手することもできる! ドライブの楽しみが増えるうれしい機能である。
クルマに乗ったまま挨拶──なんとも新鮮だ
本作はもちろん、オンラインプレイに対応している。というか、Xbox LIVEに入会していれば(もちろん有料のゴールドメンバーシップだ)、モード切り替えなどせずとも常時オンライン状態なのである。
このオアフ島には世界各国のプレーヤーが集まっており、愛車を走らせているので、各所でゲーマータグが表示されたクルマを見かけることになる。もちろん、ヘッドセットを通じての会話も可能だ。実は筆者、日本語版の発売前から英語版をプレイしていたのだが(実は1週間前からなので、そんなにやりこんだわけでもない)、当然日本人と出会えるワケがなかった。聞こえてくるのは外国語ばかりで、しかも隊列で走行しながらボイスチャットをしている人たちなんかにも出くわし、すごくうらやましい気持ちになったものだ。
そんな悔しい思いをしつつ、とうとう本作の発売日を迎えた。当のオアフ島からは、さっそく日本語が聞こえてきて、うれしくなってしまった(笑)。すれ違い様にまずはお約束(?)のラッパコール。軽く挨拶をして2台でランデブー……そうそう、これがやりたかったのだ! なお、フリーライド中は、自分+最大7人のフレンドでプライベート走行を楽しむことができ、その際はほかのプレーヤーの音声やタグ名を消すことが可能だ。
また、ほかのプレーヤーに対してパッシングすると対戦(インスタントチャレンジ)を申し込むことができる。そこで、さっそく日本人と思わしきタグ名のプレーヤーにパッシング。対戦を了承してもらい(キャンセルも可能)いざスタート! だが、相手がグループFのクルマに対して、こちらはグループAの車種。勝負になるわけもなく、悪いとは思いつつも圧勝だった。……いや、まあ、1週間前に始めた時は、筆者も同じ屈辱を何度も味わったわけで……と、ちょっと苦しい言い訳を。ポーズメニューのオプションで「賞金を有効にする」をOFFにしておけば、インスタントチャレンジで負けてもお金を取られることはない。
同レベルのプレーヤーとのレースを楽しみたいなら、マルチプレイ専用レースがオススメ。マップ上にあるマルチプレイ用レースポイントでは、手軽に楽しめるクイックマッチとして「プレイヤーマッチ」と「ランクマッチ」のどちらかを選択可能だ。まずは同ランクのプレーヤーが集まりやすい、ランクマッチに挑戦してみるといいだろう。プレイヤーマッチはどちらかといえばフリーなルールのため、あまりランクにこだわらずにプレイしたい場合にむいている。エントリー画面でクルマの乗り換えもできるため、他車に合わせてグループを落としてくれるような人も当然いるんですけどね。もし、どうしても条件が揃わないのであれば、カスタムマッチで自分でレースを作り、挑戦者が来るのを待てばいい。
レースはシングルプレイ同様、各所で行われており、自分の腕に合った場所を選ぶことも重要だ。誰もが最初の拠点とするワイキキビーチ近辺のレースは、長い直線に鋭角なコーナーというシンプルなコースレイアウトもあって結構賑わっている。対戦者は事欠かないはずだ。そこから南東にある、オアフ島のシンボル的存在“ダイヤモンドヘッド”のコースも初心者向きでオススメしたい。
本作最大の魅力はやはり、本物さながらのオアフ島を自由にドライブできることに尽きると思う。ヴァーチャルな世界とはいえ、架空の場所ではなく実在の場所というのが、「運転したい!」という気持ちにさせるのだと思う。筆者の当面の目標は、島内のすべての道路を完全制覇することだ。レースゲームがさほど得意な人でなくとも、本作をかなり楽しめると思うので、ちょっぴり気になっている人はぜひプレイしていただきたい。
「テストドライブ アンリミテッド」 | |
対応機種 | Xbox 360 |
メーカー | マイクロソフト |
ジャンル | レーシング/カーライフシミュレーター |
発売日 | 2007年4月26日 |
価格(税込み) | 6090円 |
プレイ人数 | 1人、Xbox Live:マルチプレイヤー(2〜8人) |
Designed and developed by Eden Games SAS, an Atari development studio.
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