「マビノギ」でわらしべ長者になれるのか?――devCAT「マビノギ」開発者インタビュー(2/3 ページ)
6月7日に女性のジャイアントが追加、さらに7月にはエルフとジャイアントの新戦闘システムが実装される「マビノギ」の今後について、開発チームのdevCATメンバーにインタビューをしてみた。そして、その後まさかのわらしべ長者へ……。
八木沢氏は、間に合えば同時期に新ペットとしてダチョウが追加されるかもしれないと今後の展開に触れる。こちらの新ペットは、、海外向けとして製作している為、韓国以外の地域のみの追加となる。根本的なものは一緒だが、中国のPvP機能や新ペットのダチョウなど、その国独自のサービス展開はよく見られること。ペットのパンダなどはあまりにも反応がよかったため、逆に韓国や中国に反映されたほどだ。コスチュームコンテストで反応がよかったコスチュームも実際に追加されるなど実例を挙げて紹介してくれた。
気になるのはオフラインイベントで片鱗のみ紹介された「ジェネレーション7」(以下、G7)がどんなものになるのかということだろう。イベント会場では、数点のイメージイラストが公開され、「水」をキーワードとした内容になると明かされていた(詳細は別記事を参照)。
イ氏は、G7が「水」を中心とした世界観で構成されているのは発表されたとおりだとしながらも、少々変更もなされたとその詳細を教えてくれた。まずフィールドは河を中心に構成され、どちらかというとジャングルを彷彿とさせる鬱蒼とした密林が覆っているとのこと。大きさはピシス地方の空白部分のほとんど占める。プレーヤーは船を操作しながら、その周辺の敵と戦闘をしていく。アマゾンのような生態系を想像してもらえればいいだろうか。
プレーヤーは材料を獲得したら船を製作することになる。船は使い捨てタイプのイカダのようなもので、それに乗って河を下っていく。河は流れが速いので、一方向にして進むことができず、戻ることはできないようになっているという。船は目的地に着くと消滅してしまうという。
オフイベントでは温泉というキーワードも飛び出していたが、今回のG7では入れ込むことを諦めたとイ氏。というのも温泉といえば雪と猿が温泉につかっているというイメージがあり、熱帯の密林では不釣り合いというのが理由らしい。今後寒い地域などが登場した際に入れ込みたいと思っているそうだ。寒いところということなら、ピシス地方などは適当かもしれないので、そちらに追加する可能性もあると語る。
今後のジェネレーションの方向性
毎回、ジャネレーションを重ねて行く度に、何かしらのテーマを設定してきたと開発チームの面々。ジェネレーション5では新種族のエルフが、「ジャネレーション6」では、ジャイアントと、新たに加わる種族が重要なファクターとなっていた。しかし、G7からはエリアの秘密を解くという内容へのシフトが計られることになる。遺跡や大陸、そして種族の謎を解くことで、また次のジェネレーションへ進むヒントとなる……。よりゲーム性を強調し、クエストを充実していくとのこと。
韓国ではパッチが6月と12月の年2回ペースとなっている。韓国ではG7が6月末実装を目標に現在調整作業に入っており、その作業は順調だとイ氏はガッツポーズを見せる。技術的な問題もクリアされ、現在はプロトタイプが動いており、あとは世界観の微細な調整でさらに面白いものへと昇化させている段階だそうだ。
日本では少々遅れるものの、8月か9月あたりにはG7を導入できるようにしたいと豊富を語る。現状、なるべくタイムラグをなくそうとしており、翻訳を考慮した最低限の間隔で日本でも遊べるようにしていきたいと意欲を見せてくれた。韓国での作業次第だが、場合によっては後から追加されたものも一緒に実装する可能性もあるとのこと。
また、イ氏は構想段階と前置きしながらも、ジャネレーション8には火山地域を考えていると、今後ますますエリア中心で展開してことを教えてくれた。しかし、アップデートすることで開発側の意図する方向にユーザーが向かわないかという危機感を常に意識しているとも。例えば、キャラクターの成長を焦るがため、効率の良いダンジョンの通行証を取引するなど手っ取り早い方法を取らないでほしいと警鐘を鳴らす。
日本での独自性を尊重したい
キム氏は、各国の特徴が反映されていれ、マビノギを観察しているだけでも勉強になると、パーティー募集ひとつとっても国民性が出ていると語る。通常パーティーを組むときなどはダンジョンのロビーに集まるものだが、日本では掲示板を利用して集まる傾向にあり、コミュニケーションの仕方も“気質”のような表れているのだそうだ。
ユ氏もそこは注目しているところで、企画を担当していると日本人からはモンスターをペットにしたいという要望があることに驚いたのだそうだ。例えば、一見強面のモンスターで、韓国ではかわいいとは思わないものでも、日本では人気があることに、単純な個人の好み以外のものがあるのだと気がついたと言う。
「一番の収穫は、日本人が持っているゲームに対する位置づけを知れたことです。例えば、楽器の演奏にしてもそうですが、ゲームが競争するだけのものではなく、日常生活でできないことをするための場所と捉えているんです。ゲームが本来持っていたそういう細かな面白さや楽しさを好む日本のユーザーの皆さんを見ていた、改めてゲームの面白さを見直しました」(イ・ヒヨン氏)
彼らは確かにユーザーのことを考えて開発に臨んでいる。キム氏は盛んに海外開発を担当して身として、「ファンタジーライフの中で各国のユーザーが本当に欲しがっているものを検討し、ユーザーのためになるものを入れていきたい」とコメントしていた。ユン氏も前述したイ氏の発言を受け、「ゲームは競争だけではないという話があったが、日常生活で体験できるものについては、例え細かなものであってもそこに面白さがあると信じ、面白さを表現できるゲームにしていきたい」と、日常生活が見えるゲーム性を維持していきたいと笑顔を見せる。
イ氏は「開発側が考えているマビノギもあるが、ユーザーが考えているマビノギもある。それを混ぜ合わせ、ユーザーと開発がともに夢見る世界を共存できれば」と、その世界の完成を目指して、これからもエンターテインメントを提供することを約束してくれた。
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