ハッピーな公園をつくるためにレッツらゴー! 花咲か“ちびロボ”、ここに見参:「咲かせて!ちびロボ!」レビュー(1/2 ページ)
ニンテンドーゲームキューブで発売された「ちびロボ!」の続編がニンテンドーDSに登場した。今度の舞台は公園、そしてちびロボの目的は公園に花を咲かせること。花を咲かせるゲーム? それってどんなもんなの? なめてかかっちゃいけません。しっかり王道の探索型アクションアドベンチャーなんです。
身長わずか10センチ。世のため人のため公園のためにちっちゃなロボが大活躍
ニンテンドーDS用ソフト「咲かせて!ちびロボ!」は、2005年にニンテンドーゲームキューブで発売された「ちびロボ!」の続編だ。実に2年ぶり、プラットフォームを据え置き型から携帯型へ移しての新作登場となる。
「ちびロボ!」に登場したプレーヤーキャラ“ちびロボ”は、身長わずか10センチの、まさにおちびなロボットさん。架空の企業・オレンジ社が開発した量産型のお手伝い用ロボットで、作品の中ではサンダースンという家族のために毎日あくせくと働き、おもちゃたちと交流し、スパイダーという敵ロボと戦い、不思議な冒険を繰り広げた。
お手伝いを続けることで家族たちからハッピーをもらい、そのハッピーを「ワッツ」(電力)に変換し、変換したワッツをチャージすることで動くことができるのが、ちびロボの特徴。最初はできることが限られているが、少しずつできることが増えていき、行動範囲も広がり、さまざまな個性的なおもちゃと交流していき、より大きな目的に立ち向かっていくという内容は、正統なる探索型アクションアドベンチャーとして好評を博した。また、常におしりからヒップラグ(充電用の電源プラグ)が飛び出ているちびロボのデザインや、登場するキャラたちのノリ、全体の世界観が何ともほんわかしており、不思議な癒しの感覚を与える作風も幅広い層に評価された作品だ。
このたび発売された「咲かせて!ちびロボ!」も、前作で楽しめたアクションアドベンチャー要素や、味わえたハッピーな世界観はバッチリ健在だ。そしてなんと、今回の舞台はサンダースン家の家の中ではなく、1つの公園。家から公園へ……行動範囲の広がりっぷりは半端ではない。身長10センチのちびロボにとって公園という舞台は、かなり広大なものになるだろう。公園でちびロボに課せられた任務は、タイトルにもある通り“咲かせて!”の1つにつきる。花が枯れてしまった公園に花を咲かせることが目的なのだ。とは言え、公園でちびロボができることはプレイが進むごとに増えていき、その自由度は限りなく広がる。公園を走ってパトロールしているだけでも楽しい、そんな不思議な面白さを持つ作品になっている。
リズミカルに踊り、シュコシュコと水を出せ――花咲かちびロボの不思議な能力
本作の操作方法はいたってシンプル、そしてとても親切。ちびロボの移動は十字ボタンもしくは、A、B、X、Yボタンで可能。上画面にちびロボが表示され、タッチスクリーンである下画面で、調べる、話しかける、アイテムを使うなどの、さまざまなアクションをすることができる。つまり、右利きならば右手にタッチペンを持って、左利きならば左手にタッチペンを持って、という操作の切り替えが、オプションなどに頼らずにいつでもできるようになっているのだ。
また、LボタンおよびRボタンは「ちびどうぐ」、「ちびのりもの」などの使用で使うのだが、こちらも右利きならLボタン、左利きならRボタンというように基本的に左右どちらの手で本体を持っても大丈夫なように設定されている。地球にやさしいちびロボ同様に、プレーヤーにやさしい配慮がなされているわけだ。
前作ではサンダースン家のお手伝いを任せられたちびロボだが、本作の舞台は前述したように広大な公園。新天地でのちびロボは通称“花咲かちびロボ”と呼ばれる新しいちびロボだ。その目的は、荒れ果ててしまった公園を再生すること、もっと平たく言えば、公園にたくさんの花を咲かせて、人がたくさん訪れるハッピーな公園にすることである。
“花を咲かせる”と一言に言っても、身長10センチのロボットがどうやって? と思っている方もいるかもしれない。そこはゲームの世界でのオハナシ。ちびロボには花から新たなタネを吹き出させ、ツボミを増やす能力が備わっている。その能力というのが“ダンス”なのだ。
ダンスで花が増えるというのはユニークな設定だが、その操作方法や踊っている姿は輪をかけてユニークで愛らしい。ちびダンスというちびどうぐを選択すると、上画面のちびロボはラジカセを肩に乗せ、下画面にはレコードが表示される。このレコードをタッチペンでリズミカルにくるくるっと円状にスライドすると、上画面のちびロボがダンスするという仕組みだ。
ダンスの種類は“ちびスイングダンス”、“ちびヘッドダンス”など複数あり、下画面右下の切り替えアイコンで切り替えられる。適当に踊ればいいというものではなく、スライドするリズムが適正でなくて、ちびロボがうまく踊れなかった場合は、花からタネが出てこない。いずれのダンスも10秒に満たないワンフレーズ程度のものだが、最初のうちはレコードをスライドするリズムがつかめず苦戦するかもしれない。慣れてくれば曲によってどれくらいの早さでスライドすればいいのかというコツがつかめてくるはずだ。
最初にちびロボの前に提示されるのは、荒れ果てた公園にわずかに残った白い花。その花の前でダンスすることで、花は数個のタネを周囲にばらまき、そこからツボミが誕生する。ただ、この状態では花が咲いているとは言えない。花を咲かすにはツボミに水をやる必要がある。そこで登場するのがちびシャワーというちびどうぐだ。下画面で手に持つちびどうぐをちびシャワーに切り替えると、シャワーの取っ手部分が下画面に表示される。この取っ手を上下にスライドすることで放水することが可能。ツボミめがけて放水すれば見る見るうちにツボミが開き花が咲く。
ちびシャワーの作業によって白い花が咲いた場合、またその花の前でダンスをすれば新たなタネが出る。この一連のプレイを繰り返すことで花が少しずつ増えていき、公園に人が訪れるようになっていく、というのが本作の大まかな流れだ。流血表現や暴力表現の激しいゲームも多く存在する中、“花を咲かせる”という目的の、何と平和で癒されることか。そして自分の操作で少しずつ公園に花が増えていくことの、何とじんわりとうれしさが込み上げてくることか。この感覚は本作独特のもので、ハマるとやめどきが見つからないほどに花を増やし続けてしまうことだろう。
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