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ステレオタイプな欧米ユーザー嗜好くねくねハニィの「最近どうよ?」(その14)(1/2 ページ)

国やエリアによってユーザーの好みは違うもの。あくまでも今回のキーワードは「ステレオタイプ」。現在の市場ではどんなものがウケてるのか? 北米との比較で日本のゲーム市場が見えてくるかもしれないのでよろしこ。

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 うだるような暑さが続いていますね。あまりの暑さに「くねくね」と言うより、すっかり「ぐねぐね」になっているくねくねハニィの「最近どうよ」第14回目でござんす。ハニィの家のWiiが毎日青く光っていますが、そんな中「Wii投票をしたいな」という気持ちを振り切って、電源も入れないでもくもくと原稿を仕上げるわけですな。 

ニュースをいくつか!

 さすがに7月の売上データはまだ発表されていないのだけど、年末商戦に向けていろんなニュースが飛び出しているのでピックアップするね。

 実は今年の年末に大ブレイクすると思われていた「Grand Theft Auto IV」(GTA IV)に関して、発売延期との発表があったの。2007年10月16日にPS3とXbox 360で発売される予定だったのに、大きく遅れて2008年第2四半期までずれ込むとのこと。パブリッシャーであるTake 2/Rockstarは、「Manhunt 2」がAO(Adult Only)レーティングにより発売中止を余儀なくされているから、今年度の売上の目玉がなくなってしまったという事態に。業界としては、超目玉タイトルが遅れるということで、「商戦の大きなライバルが減ったので、ラッキー」という見方もあるし、リテイラー(販売店)からは「見込んでいた巨大な売上を一瞬にしてなくしてしまった」というリアクションもあるんですな。

 もともとPS3エクスクルーシブ(専用)だった「GTA IV」。実はTake 2/RockstarがXbox 360バージョンも出す、という決断にいたった際にSCEと「PS3版よりもXbox 360版を先に出すことはまかりならん」的な約束をしていたらしいの。手馴れていない複雑でハイスペックなPS3上の開発が遅れてしまったのが、すべての発売を遅らせた理由だとアナリストは語っているのだけど真相はいかに。でも、確かにこんなメガタイトルのXbox 360版を先に出されてしまったらPS3も大変ですもんね、プラットフォーマーの戦略としては正しいでしょう。

 北米での年末のもうひとつの目玉、Xbox 360向けにマイクロソフトが発売する「Halo 3」。これは予定通り9月25日に発売予定なんだけど、すでに北米だけのPre-order(予約)が100万本を突破したとの発表があったの。これは北米のゲーム史上に残る数字だそう。明らかに「Halo 2」を上回る規模になると言われてるわよん。年末のXbox 360の攻勢に期待だわね。Haloフランチャイズでは、「Halo Wars」というRTS(Real Time Strategy)を「Age of Empires」の開発会社(アンサンブル)が作っているとのこと。2008年に発売予定なので、これも動向に注目せねば!

 PS3でも年末に向けてやっと「Heavenly Sword」や「SOCOM: Confrontation」、「SingStar」などが発売されるので、いよいよラインアップが揃ってきた感じかしら。11月に発売されるUBIソフトの「Assassin's Creed」や、EAの「Medal of Honor:Airborne」、「Call of Duty 4」も楽しみだよね〜。年明けには「Metal Gear Solid 4」や「GTA IV」、「Devil May Cry 4」なども投入されるので、ようやくXbox 360とガチンコ勝負の土俵ができるともいえる。

 E3でSCEがPS3の値下げ(というか実際はスペックアップでお値段据え置きってこと)を発表したことによって、北米ではマイクロソフトがさらにXbox 360の値下げをするのではないかと噂されていたの。実際にハードディスクの容量だけで考えるとElite(120GB)は479ドルだったから、PS3(80GB)の599ドルに比べるとすでに優位性はあったんだけど、さらに差をつけられちゃうじゃん! って思っていたところ、ついに! 8月8日に値下げを敢行したの。

 Xbox 360 Premiumシステム(20GB)は50ドル値下げして349.99ドル。コアシステム(HDなし)は20ドル値下げして279.99ドル。そしてElite(120GB)は30ドル値下げして449.99ドル。リコール問題などで揺れるマイクロソフトだけど、さすがに底力があるわね。年末に向けて値下げがもう1回くらいあったりして……。でも日本での値下げは未定ってことらしい。また日本だけ「例外」かよ。

 ところで、Eliteで標準仕様になっているHDMIポートをXbox 360のPremiumシステムにも今後は標準でつけるみたい(コアシステムにはつけない)。もうすでにポート付のPremiumシステムが売られているという情報も入っているし、いずれにしても、北米では年末に向けてハードの値段面でもソフトの供給具合を見ても、Xbox 360がすごいことになるんじゃないかしら?

 それでは、今回のお題「ステレオタイプな欧米ユーザー嗜好」です。国やエリアによってユーザーの好みは違うのかしら? あくまでもキーワードは「ステレオタイプ」。現在の欧米市場はどんなものがウケてるの? 日本のものはどう捉えてるの? ってことを大げさに語ってみるのでよろしこ。

海外ユーザーのステレオタイプ的とらえ方

 欧米のユーザーは「リアルなグラフィック」を好むとよく言われるけど、その通りだと思う。RPGは受け入れられないといわれていた市場で、一大旋風を撒き散らした「ファイナルファンタジーVII」も、圧倒的なグラフィックの美しさが欧米の方々を魅了したと言われております。ハードのスペックが上がるたびにそれなりの「美しさ」を要求するユーザーの存在は無視できないのよね。だからといってゲーム性を重視する日本とグラフィックを重視する欧米、ってのは言いすぎで、「欧米ではグラフィックが美しいのは当たり前の前提条件」になっていて、それなりのゲーム性も要求されている、というのが正解かな。

 映画ライセンスタイトルが売れる! ってのも欧米の特徴といえるかもしれないね。むしろ逆に、映画ライセンスタイトルが売れないのが日本の特徴とも言われているのよ。日本では「名もない市民」とか「フツーの男の子」とかがゲームの主人公になることが多いけど、ゲームに「ヒーロー性」を求める欧米ではこれは異例みたい。バーチャルな世界に非現実性を求めるわけで、自分が「ヒーローになりたい」って思うのが定説みたい。日本のゲームとは導入部分で違っているみたいですね。

 また、日本人が作ったシューティングは「日本」らしく、裏のストーリー性が高くて「さくっとしてない」、「めんどくさい」って声もある(もちろん日本らしいストーリー性が高いところを評価する声もしっかりあるのですよ。めんどくさいってのもまたステレオタイプ発言なので、よろしこ)。さくっと始めてさくっと撃ち合いができる、ってのがいいんですかね? ヒーローになる背景やプロセスを楽しむよりも、スタートポイントがヒーローってことがいいんだろうか。リアル描写のキャラが好まれるのも主人公への「思い入れ」が深くなって、リアルであればあるほど、ヒーローだ! って実感がわくってことなのかと。

 じゃあパズルゲームはどうか、というと、ありですよ、あり。PSPのローンチの際に発売された「ルミネス」(北米ではUBISOFTから発売)などはアメリカでも好評を博したよね。でも、基本的にテーブルゲームやパズルゲームは日本と違って“安価”で売られるってのが定説で、例外的にハードのローンチ時期やプレミアムブランド、ライセンスなどがない限りは、高い価格で売れないの。それは「パズルゲームは他のジャンルより劣ってる」ということではなくて「パズルゲームは安いはず」という心理的定説なので、誰も変えられないことなの。だから「安く作ってたくさん売る」っていう発想でないと、なかなか難しいかなぁ。

 日本のパズルゲームは品質が高いから評価も高いけど、なかなか高くは売れないってのが残念なところですね。販売本数としては、パズルゲームは苦戦と言わざるを得ないけど、最近ではXbox Live Arcade(XBLA)などのダウンロードコンテンツとして配信されるパズルゲームが多いので、カウント不可能(情報が一般に開示されないため)だから何ともいえないけど、市場はあるはず! Xbox 360にインプリされていたHexicHDの続編、Hexic2がXBLAで好評との声も。これは日本でも遊べますので一度ご遊戯を!

 歴史的にもPCソフトの大きな市場であるところだからなのか、ネットと言う意味だけではなく、遊び方も若干日本と違うわね〜。日本では、ギャルゲーやサウンドノベルなどのテキストベースのアドベンチャーは人気だけど、「リニア(一本道)」と言われ欧米では好まれないことが多いの。いわゆる「自由度がない」と思われてしまうのね。

 海外では「自分の好きなときに好きなところに行って好きなことをしたい」というのが基本で、システムにコントロールされることを嫌う傾向があるのね。欧米で日本のアドベンチャーゲームが発売されないのは、このような理由があるからだけど、場合によってはプラットフォーマーから「これはゲームではない」と企画申請の段階ではじかれることも少なくないからなの。残念だよね〜。やれば楽しいのに。

 テキストベースが好まれない理由としては、欧米人は「めんどくさい」ことが嫌いなので、一生懸命「読む」ということをうざがる、という理論を展開している人もいたなぁ。そういう意味では「音声」は必須って言われる理由も納得ですけどね。

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