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仮想の渋谷でサイキックバトル!――すばらしくやりこめるこのゲームをあなたに「すばらしきこのせかい」レビュー(1/3 ページ)

スクウェア・エニックスから発売された「すばらしきこのせかい」は渋谷を舞台にした、タッチアクションRPG。死神のゲームにサイキックで挑むネクを操作し、仮想の渋谷を生き延びろ! 2画面同時バトルが面白い、ボリュームたっぷり渾身の一作だ。

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新機軸タッチアクションRPGがニンテンドーDSで登場!

渋谷を舞台に、謎に満ちた死神のゲームが始まる……

 2007年7月27日、スクウェア・エニックスからニンテンドーDS用タイトル「すばらしきこのせかい」が発売された。本作は既存タイトルの続編ではなく、まったくの新規タイトル。そして“タッチアクションRPG”という比較的新しいジャンルの作品でもある。家庭用ゲーム機におけるアクションRPGといえば、その歴史はファミリーコンピュータまでさかのぼることができるが、そこに“タッチ”がつくと話は別だ。言うまでもなく“タッチ”の歴史はそのままニンテンドーDSというゲーム機の歴史であり、“タッチアクションRPG”である本作がニンテンドーDSだからこそ生まれた作品だというのは間違いなさそうだ。

 本作は、クリエイティブプロデュースおよびメインキャラクターデザインを「キングダムハーツ」シリーズなどでおなじみの人気クリエイター・野村哲也氏が担当。「ファイナルファンタジー」シリーズや「キングダムハーツ」シリーズのスタッフが結集し開発を手がけた。数々のヒット作を産み出した開発陣が打ち出す、新機軸の“タッチアクションRPG”とはいかなるものなのか。次項からお伝えしていこう。

アンダーグラウンド渋谷で展開する死神やノイズとの攻防

ネクは他人と関わることを嫌う15歳の少年。物語の中で成長していく

 本作の舞台は、現代の東京・渋谷。渋谷は東京の街の中でも、とりわけ人の往来が多く、特に若者が集まる街として知られている。そんな渋谷の活気ある雑踏の中で突然目覚める少年。この少年が本作の主人公・桜庭音操(サクラバ ネク:以下ネク)だ。

 ネクは、死神から「ミッションをクリアしなければ存在を抹消する」というメールを突如突きつけられる。死神のミッションは1人でクリアすることはできない。同じ境遇にある人間とパートナー契約を交わし2人で遂行しなくてはならないのだ。そこでネクの前に登場するのが美咲四季(ミサキ シキ:以下シキ)。訳の分からないままに不条理なゲームに参加することになったネクとシキは時に協力し、時に反発しあいながらも死神のゲームを遂行していく。2人は「7日間生き残れ!」という死神の指令のもと、渋谷を東奔西走する。その後ネクは、桐生義弥(キリュウ ヨシヤ・通称ヨシュア)などの新たなパートナーを得ながら、物語の核心へと迫っていく……。

 ゲーム内の実際の渋谷は普通に街として機能している。けして渋谷そのものが死神の支配する世界になってしまったわけではないのだ。普通に人々が生きている渋谷をゲーム内ではRG(リアルグラウンド)と言い、ネクが存在し死神の力が及んでいる側の渋谷をUG(アンダーグラウンド)と呼んでいる。RGとUGは同時に存在し、RGの人間にはUGの人間は見えないが、UGの人間はRGの人間もUGの人間も見えているという設定だ。

シキはネクと同い年の15歳。猫のぬいぐるみ「にゃんタン」を常に持ち歩いている
ヨシュアもまた15歳。死神のゲームについて深い知識を持っている謎の少年だ
雑踏の中にいても、誰もネクに気付かない。RGとUGは同じ場所にありながら違う世界なのだ

 死神の力が支配するUGにはノイズと呼ばれるモンスターが存在する。ネクの行く先々でさまざまな姿で現れるノイズを倒すことでネクたちは少しずつ成長していく(レベルが上がっていく)、という点では正統なRPGだと言えよう。しかし、作品全体の設定の奇抜さ斬新さは、ここ最近のRPGの中でも群を抜いている。設定もさることながら、特異な環境下で描かれるキャラクターたちの交流、物語の展開、グッとくるセリフなど、プレーヤーを魅了する要素は満載。吹き出しを使ったマンガ的な演出も功を奏し、この物語をそのままマンガやアニメにしてもいい(というか、ぜひ連載マンガ化したものが読みたい※)くらいに面白い。似たような設定のマンガも読んだことがあるが、本作のオリジナリティは負けず劣らず強烈で新鮮だと感じた。謎に充ちた秀逸な物語は、ぜひプレイをすることで体感してほしい。

先が気になって思わず長時間プレイしてしまったこともしばしば。ストーリーは本当によくできている
※8月、9月にスクウェア・エニックスから出版された月刊少年ガンガンにて、短編ではありますがマンガ化されています。

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