ユーザージョイ ジャパン「三国群英伝 Online」で日本市場へ参入──台湾ゲーム館その1:東京ゲームショウ2007
海外パビリオンの中でも他に比べてちょっぴり大きなブースを構えている「ユーザージョイ ジャパン」は設立したばかりの会社。同社の「三国群英伝 Online」や、家庭用ゲーム機への意欲などを聞いてみた。
タイ、カナダ、オーストラリア、台湾からの企業ブースで構成されている海外パビリオン。その中でも他に比べてちょっぴり大きなブースを構えているユーザージョイ ジャパンは、日本のゲーマーにも「幻想三国志シリーズ」、MMORPG「Angel Love Online」の開発元としてよく知られている、UserJoy Technologiesが2007年7月に設立したばかりの日本支社である。東京ゲームショウ2007に出展しているMMORPG「三国群英伝 Online」(以下、三国群英伝)および、日本支社設立について、同社代表取締役 劉信氏、事業推進部マネージャー 林協科氏のお2人に話を聞いてきた。
「三国群英伝」の日本語版公式サイトではゲーム紹介とムービーが公開されているのだが、詳しいゲーム内容が今ひとつつかみにくい。細かいシステムについては順次、最新情報をお届けするということなので、現時点で公開可能な情報を、やや細切れながらお伝えしよう。
本タイトルは、その名の通り三国志をテーマに、城の利権を巡って行われる大規模RvRが特徴のタイトルだ。プレーヤーは攻城戦に参加して城主となり、全ての城を制圧し天下統一を目指していく。
既存のMMORPGでは、ワールド全体に対して城の数が10個未満ということも珍しくないが、「三国群英伝」ではβテスト開始時でも15の城を実装。台湾では33個所もの城が存在し、全ての城で午後8時〜10時までが攻城戦タイムとして設定されている。
ちなみに本タイトルは奥行きを持たせた2Dグラフィックス(林氏は2.5Dと表現)を採用しているので、ノートPCでもプレイ可能という軽い動作が売りの1つ。最大1万人の同時接続にもサーバーが耐えられる環境が、30個所以上での同時攻城戦を可能にしている。
日本ではプレーヤーの年齢層をやや高めに想定しており、会社員でも気軽に攻城戦に参加できるよう、時間は午後10時〜0時になる予定。また1サーバに対して2つのチャンネルが用意され、攻城戦が行われるのは1chのみ。PK行為やRvRに興味がないプレーヤーは2chに移動することで、戦争を回避したのんびりプレイが続行可能だ。また、台湾バージョンではワールド全体の約1/5、主にボスモンスターが生息する地域でのPK行為が許されているが、これを日本向けに変更し、PKは道場に見立てた専用エリアだけで可能となるそうだ。
このほか、ユーザー受けするシステムとして劉氏は最大10名まで護衛兵を雇用し、プレーヤーとともに戦わせるシステムを挙げた。雇用には当然費用がかかるが、成長させた護衛兵は気に入らなければ、他のユーザーとの交換・売買可能というのがポイント。劉氏はこの護衛兵の育成や売買を他タイトルにおけるペット代わりのようなもの、と説明していた。
すでに発表済みではあるが、この「三国群英伝」は12月下旬からクローズドβテストを実施。深刻なバグが発見されなければ、2008年1月にオープンβテストが行われる予定だ。課金スタイルは基本プレイ無料のアイテム課金を採用。現在、台湾・中国・ベトナム・タイの4カ国でサービスを開始しており、台湾と中国のみ月額とアイテムのハイブリッド課金とのこと。
運営は、当然ながら設立されたばかりのユーザージョイ ジャパンが行うわけで、パブリッシャーを介さない直での運営はこれが始めての経験となる。これについて劉氏は「台湾および中国での運営経験はありますが、慣れない国での初の運営担当は、もちろんとても不安です。12月に実施する三国群英伝 Onlineのβテストを通して日本のユーザーの反応、そして対応をしっかり学びたい。このβテストはタイトルだけでなく、わたしたち自身がユーザーに試される時期とも言えるでしょう」と率直な感想を述べてくれた。
また「実は本タイトルについては、台湾でのサービス開始についてすら、うまく軌道に乗るか不安を抱えていました。しかしフタを開けてみれば、最大同時接続数が台湾で7万人、中国で10万人、そして三国志という物語にそもそもなじみがないタイとベトナムが、それぞれ8000人、6000人というまずまずの結果を出せました。日本はこの2カ国に比べれば、三国志というテーマへの理解がずっと深いので、成功できると信じています」(劉氏)とも語った。
日本支社設立のきっかけについて質問を向けてみたところ、劉氏は1つ目に日本のオンラインゲーム市場の拡大はまだまだ続き、規模で言えば台湾のそれをすでに追い越しており、ビジネスを行う場としては魅力的であること。2つ目は開発だけでなく代理店ビジネスを視野に入れており、日本のゲームメーカーとの付き合いを深めたいという点を強調した。さらに今後は家庭用ゲーム機への参入を考えているのだが、とある日本のゲームメーカーから国内に子会社を持つ方が有利であるとのアドバイスを受けて、日本支社設立に踏み切ったそうだ。
日本のオンラインゲーム市場が拡大している、という部分にはいささか疑問を感じるが、ユーザージョイ ジャパンが、なかなか野心的な会社であることは言えるだろう。プラットフォームを問わず、日本のプレーヤーにとって魅力的なソフトを次々に開発してほしいものだ。
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