「テトリス」はもはや、レトロゲームとは呼べないかもしれない:ゲイムマンの「レトロゲームが大好きだ」(1/3 ページ)
「レトロゲーム・アワード2007」、大勢の方にお越しいただき、ありがとうございます。疲れがいまだに残ってますが、気づけばこちらの連載も50回の節目を迎えました。今回は、去年ニンテンドーDS版がミリオンセラーになった「テトリス」です。
「ソ連製」という言葉自体が懐かしい
「テトリス」は、本当に息の長いゲームである。
アーケード版(セガ)の登場が1988年、ゲームボーイ版(任天堂)が1989年。一大ブームを巻き起こす。
その後、いったんブームは落ち着いたように見えたが、アーケード版は各地のゲームセンターの中で生き残り、ロングラン稼動を続ける。
キーホルダーゲームとして、再び「テトリス」がブームになったのは1990年代中盤。さらに、Javaアプリが使える携帯電話が普及すると、「テトリス」はここでも人気のソフトとなった。
最近ではニンテンドーDSの「「テトリス」DS」がヒットしたほか、Xbox 360やプレイステーション 2でも遊ぶことができる。
作られてすでに22年。アーケード版登場から19年。ゲームボーイ版発売から18年。このゲームが生まれた国、ソビエト社会主義共和国連邦が崩壊して16年になるというのに、今でもこのゲームは、現行機種のほとんどでプレイできるのだ。
「テトリス」がヒットして以降、何かを落としてフィールドにはめ込むアクションパズル、いわゆる“落ちものパズル”が、次から次へと現れた。
その中にも、「コラムス」、「ドクターマリオ」、「ヨッシーのたまご」、「ぷよぷよ」、「対戦ぱずるだま」など、多くのヒット作がある。それでも「テトリス」は、それらの中に埋没してしまうことなく、今なお存在感を示し続けている。
ロシアから西回りで日本へ渡来
「テトリス」の登場以前から、5つの正方形をつなげた“ペントミノ”という12種類の図形を組み合わせて、6×10、5×12、4×15、3×20の、長方形のフィールドにぴったり収めるパズルがよく知られていた。
映画「2001年宇宙の旅」では、ボーマン船長とHAL9000がチェスを指すシーンがあったが、ここに当初はこのペントミノが使われる予定だったらしい。
旧ソ連のアレクセイ・パジトノフ氏は、こうしたパズルをコンピューターゲーム化した。ここでは4つの正方形をつなげた図形“テトリミノ”が使われる。
図形をフィールドの上部から落とし、アクションパズルにしてみた。そして図形で横1段を埋めたら、その段が消えるようにして、フィールドのいちばん上まで図形が積み上がったらゲームオーバーとした。
このシステムを、ワジム・ゲラシモフ氏がプログラミングして、「テトリス」は完成したのだ。
登場するキャラクターは、7種類のテトリミノだけ。プログラムもシンプルで、マシンパワーも必要としない。そんなソフトがイギリスのミラーソフト、アメリカのアタリなどを通じて、西側諸国でPC用ゲームとして大ヒットとなった。
日本では、ビー・ピー・エスがまずPC版を発売。さらにファミコンに移植して、1988年12月22日に発売した。
ファミコン版の特徴は、ステージクリア制をとっていること。25段消すとクリアとなり、次のステージへ進む。ステージが進むと、テトリミノの落下速度が速くなっていく。
テトリミノがフィールドの最上段からあふれるとアウトになるが、ファミコン版では3回アウトになるまでゲームオーバーにはならない。自機が3機あるという感覚だ。
さらにもっと大きな特徴がある。操作方法が、アーケード版やゲームボーイ版などと異なるのだ。
十字キーの左右でテトリミノが左右に移動するところまでは同じだが、十字キーの下を押すとテトリミノが90度左に回り、Aボタンを押すと、一気に接地する。
このためファミコン版では、途中にあいたくぼみに横からテトリミノを挿し込む場合、落下スピードを変えられないので、自然に落ちてくるのを待たなければならない。
とはいえ、「テトリス」本来のおもしろさもあって、ファミコン版「テトリス」は、181万本ものセールスを記録した。ソ連をイメージしたグラフィックや演出は、後のゲームボーイ版などに受け継がれている。
また、ボタン1つで一気に接地する仕様も、状況によっては便利だったので、最近の「テトリス」ではハードドロップという名で、方向キーの上に割り振られていることが多い。
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