人とドラキュラとの壮絶な戦いのクロニクル――リメイク作品の進むべき方向を示す:「悪魔城ドラキュラ Xクロニクル」レビュー(1/4 ページ)
その重厚な世界観や耽美な登場キャラ、優れたバランスなどで変わらない人気を誇る「悪魔城ドラキュラ」。そのシリーズ最新作となる、「悪魔城ドラキュラ Xクロニクル」が登場する。ひと足先にエンディングまでプレイし、リメイク作品の正統進化を確認した。
数多く発売されているシリーズ作品を、物語中の西暦順に見ていくと?
今作は、PCエンジン版「悪魔城ドラキュラX 血の輪廻」のリメイクがメイン。同時に、オリジナル版とプレイステーション版「悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲」も収録。パッケージイラストは、お馴染みの小島文美氏だ
悪魔城ドラキュラシリーズといえば、1986年にファミコンディスクシステム用として発売された初代作から、最新作となる本作まで数多く発売されている人気シリーズだ。基本的な内容としては、主人公がムチとサブウェポンを駆使して悪魔城内部を進んでいき、復活したドラキュラを倒すといった具合。作品によっては、アクション要素よりもRPG要素が強かったり、2Dではなく3Dだったり、さらには武器がムチではないこともある。とはいえ、全作品を通じて共通しているのは、ヴァンパイアハンターとドラキュラとの戦いということだろう。そこで、2人の関係を歴史の時間軸でチェックしつつ、各作品を当てはめて見てみよう。
すべての始まりとなったのは、11世紀のヨーロッパ。レオン・ベルモンドの恋人であるサラが、夜の森に連れ去られてしまったことに起因する。事態を知ったレオンは、彼女を助けるために夜の森の王であるヴァルターの城へと乗り込む。
これが、2003年11月にプレイステーション 2で発売されたタイトル「Castlevania」であり、なぜベルモンド一族がヴァンパイアハンターとなったのか、ヴァンパイアキラーと呼ばれる退魔のムチはどのように誕生したのか、といった疑問が明かされる。また、後に長きにわたって戦うことになるドラキュラ伯爵のヴラド・ツェペシュがどのようにして誕生したのかが描かれており、すべての原点がここに集約されていると言えよう。ゲームスタイルは、ハードの進化に合わせて3Dアクションとなっている。
1476年、トランシルバニアの外れにあるワラキア地方では、ドラキュラ伯爵が禁忌とされていた術を使い、暗黒邪神崇拝を復活させる。さらに、自分の息子にまで悪魔との契約を行うよう強要する。彼のせいで人間の体を失った息子アドリアン・ファーレンハイツ・ツェペシュは、自らの名前をアルカードと変え、ワラキア地方を元の美しい国へ戻すために仲間を捜す。時を同じくして、教皇は真性ヴァンパイアハンターであるラルフ・C・ベルモンドに討伐を依頼。彼は単身ドラキュラ城へと乗り込むことになる。ドラキュラ伯爵と人間との戦いは、ここから始まったとも言える。
1989年12月にファミコンで発売された「悪魔城伝説」は、ファミコンとは思えない美しい曲を奏でたことでも有名だ。横スクロールアクションで、仲間となるサイファ・ヴェルナンデスとグラント・ダナスティ、アルカードを、ラルフと交代してプレイできる。なお、ラルフはサイファと結婚し、アルカードは永い眠りにつく。
1479年、ドラキュラ伯爵が滅びの時に発した呪いで、ヨーロッパ全土が混乱に陥る。そんな中、かつてドラキュラ伯爵の配下だった男で、魔女裁判により恋人を失った男ヘクターがいた。彼は、恋人の死がアイザックの仕業であることを知り、復習のためにかつての故郷へと戻る。
2005年12月にプレイステーション 2で発売された「悪魔城ドラキュラ闇の呪印」は、3Dアクション2作品目として登場。プレイステーションで発売された「悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲」の流れを色濃く受け継ぎ、レベル性を採用したり武器のバリエーションが豊富など、独特の色を放っている。
自らだけに従うイノセントデビル利用し、戦闘を有利に運んだり、通常は行けない場所へ移動するなどのシステムが新しかった。
1576年、ドラキュラ伯爵はトランシルバニアの外れに城を築いて儀式を行い、異世界から多くの魔物を召還する。日に日に凶悪になるドラキュラ伯爵を討伐するため、クリストファー・ベルモンドが立ち上がり、伯爵の住む城を目指して旅立った。
1989年10月に発売となったゲームボーイ版「ドラキュラ伝説」では、ムチが2段階成長すると先端から火の玉が出たり、サブウェポンが存在しないなど、独特の操作方法を採っていた。さらに、シリーズ恒例の死神が登場しなかったり、階段がないなど、珍しい点も多い。主人公の移動速度が遅いことや、ギリギリでジャンプしないと渡れない部分もあるなど、全体的な難易度は高かった。しかし、ゲームボーイとは思えないほどの背景の描き込みなどは、今見ても驚くばかりだ。
1591年、クリストファー・ベルモンドの息子ソレイユが、ヴァンパイアハンターとしての名を継ぐ儀式の翌日に行方不明となる。ドラキュラ伯爵は15年前に死んだのではなく、ソレイユを魔王に仕立てて復活を図ろうとしていたのだった。息子が操られていることに愕然としながらも、彼を助けるべくクリストファー・ベルモンドが立ち上がる。
前作にあたる「ドラキュラ伝説」から、より「悪魔城ドラキュラ」のシステムに近づいた「ドラキュラ伝説II」は、1991年8月にゲームボーイで発売された。前作との一番大きな違いが、サブウェポンが使えるようになったことだろう。また、主人公の移動速度やジャンプ力もアップし、非常にプレイしやすくなった。ただし、死神はやはり登場しない。
1691年、ヨーロッパにある平和な小国トランシルバニアで、邪教徒がドラキュラ伯爵の亡骸に人間の生き血を注ぐ儀式を行い、イースターに復活させる。再び活動を開始したドラキュラ伯爵を倒すため、ベルモンド一族の青年シモンは、父譲りのムチ・ヴァンパイアキラーを手に、悪魔城へと向かう。
1986年9月にファミコンで発売され、その人気を不動のものとしたシリーズ1作目「悪魔城ドラキュラ」。2D横スクロールムチアクションという形は、ここで形作られた。リアルに描写されたキャラクターや背景、絶妙の難易度、そして名曲の数々など、名作と呼ばれる理由を挙げてはキリがないほどだ。なお、同じタイトルでシモンが主人公を務める作品には、1カ月後に発売されたMSX2版と、同年に稼働を開始したアーケード版、1993年発売のファミコンROMカセット版・X68000版がある。特にX68000版は傑作と呼ばれるほど出来がよく、後にプレイステーションへ「悪魔城年代記 悪魔城ドラキュラ」として移植されている。
それから7年後の1698年、シモンは自らの体にかけられた呪いを解くため、そして復活しようとしているドラキュラを封印するため、ドラキュラの体の5つのパーツを集めることになる。
前作から1年後の1987年8月、ドラキュラシリーズ第2弾となる「ドラキュラII 呪いの封印」が発売される。アクションだった前作からアクションRPGとなり、敵を倒して経験値を稼ぎ、一定量に達するとレベルアップしてライフの最大値や防御力が増える。メインウェポンのムチも街で購入したり、サブウェポンも複数持てるなど、かなりRPG色が濃くなった。時間の概念もいち早く導入されており、昼間の時間帯にはBloodyTearsが流れる。
提供:コナミ株式会社
制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2007年11月18日
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