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ネットワークで全世界の人と「ナイツ」という夢を共有する「ナイツ〜星降る夜の物語〜」インタビュー(3/3 ページ)

11年ぶりの新作登場となった「ナイツ〜星降る夜の物語〜」。なぜWiiで発売されるのか、また今度の世界はどのようになっているのか、プロデューサーである飯塚隆氏に話を聞いた。

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Wiiが持つ4つのプレイスタイルすべてに対応

――前作「ナイツ」というと「セガマルチコントローラー」が印象的なんですが、あの当時と比べてアナログ系のコントローラーは一般的になっていまして、それこそどのプラットフォームでも採用しています。ですので当時と比べて作りやすかった、ということはありませんか?

飯塚 いえ、逆に大変でした。一番苦労したのはそこかもしれません。「ナイツ」では、Wiiの持つ4つのプレイスタイルすべてに対応しています。ヌンチャクを付けてプレイするタイプ、Wiiリモコンだけでプレイするタイプ、これに加えてクラシックコントローラー、そしてゲームキューブコントローラー、このすべてに対応させました。なお、操作は「オプション」などで設定するのではなく、つなげたり切り離すことで自動的に切り替わります。プレイ中にヌンチャクを抜けばWiiリモコンモードになりますし、クラシックコントローラーを差せばそのスタイルに変更されます。

 特にWiiリモコンだけでどうやってナイツを操作するかという点では、試行錯誤を何度も繰り返しましたね。Wiiリモコンを向けると「マインドサイト」と呼んでいるカーソルが表示されます。これは「主人公がこっちに行きたいんだよ」と思っている心の表れ、という設定なのですが、これを操作することで、ナイツがその方向に移動します。アナログコントローラーに比べてシビアな操作には向かないんですが、片手で操作して、コーヒーでも飲みながら気軽に空を飛ぶ感覚を楽しむというか、アナログコントローラーとは違う飛行の仕方を提案できたのではないかと思っています。

 ところでマインドサイトは一見、ポインター機能を使って場所を指定しているだけのように思えますが、テクニカルな部分ではいろいろな仕組みを使っています。Wiiメニューを操作するときに分かると思うんですが、すぐにセンサーから外れてしまうんですね。「ナイツ」のように大きなアクションをコントロールするにはポインターはあまり実用的ではないんです。

 それを解消するために、傾斜センサーやモーションセンサーなど、Wiiリモコンの中にあるセンサーをフル活用して、ナイツが大きな動きをしても耐えられる位置にマインドサイトを表示するようにしていますし、またたとえセンサーから外れても、ある程度ナイツのコントロールができるようにしてあります。画面から外れると赤い表示になるんですが、それでもいちおう操作はできます。データを100%受信しているのが最適な状態ですが、エキサイトしてくると外れてしまいますよね。そのときでもある程度許容して、プレイが続けられるようにと、テクニカルな仕掛けを組み込んでいます。ここが制作する上で、何度も試行錯誤したところの1つですね。特許出願中です(笑)。

 ただ、一番最初にプレイしていただくときは、ヌンチャクやクラシックコントローラーの方が分かりやすいと思います。最初に触れいていただくときはアナログのコントローラー、プレイに慣れてきて、ちょっと気楽に飛んでみたいときの第3の方法として、Wiiリモコンをお勧めします。ミッションごとに選んでいただいてもいいですし。

画像画像 インタビュー時には、飯塚氏自らがプレイをして「ナイツ」を紹介してくれた

――「ペルソナアクション」についてお伺いしたいんですが、ナイツが変身するバリエーションは、なぜ取り入れられたのですか?

飯塚 「ナイツ」というゲームは、遊ぶ人のレベル、段階に応じてさまざまな遊び方があると思うんです。最初は敵を追いかけるのに必至だと思うんですが、慣れるに従って飛行やA-Lifeを楽しんでいただく遊び方と、もっと慣れるとリンクを目指して、ストイックなライン取りを考えて遊ぶこともできますし。今回の「ナイツ」では、パワーアップアイテムとして「ペルソナ」が用意されています。ストーリーが進むに従って徐々にいろいろな種類のペルソナが登場するのですが、これを使うと、水の中に入ってドルフィンの姿になったりと、ナイツがさまざまな姿に変化します。

 ペルソナというのは、パワーアップアイテムのようなものです。それを使うことで、いままで遊んできたステージの楽しみ方がまた変わるわけです。たとえばドルフィンペルソナですと、最初は水の中に入れなかったのが、「この水の奥はどうなっているんだろう?」というように、今度は同じステージでも違うところにいけるようになります。ただ、ペルソナはプレイするのに必須というわけではありません。この世界をより探求する人向けに、新たな発見を提供するものと考えています。

画像 夢の入口に現われるペルソナの入った宝箱。宝箱を開けるヘレン
画像画像 宝箱を開けて、ドルフィンペルソナをゲット

 ナイツは優雅に飛ぶキャラクターですが、ロケットになると、ご想像の通り直線的に飛行するようになります。これを使うと、通常はリンクがつながらないような所でもつながるようになったりと、自分で攻略法を編み出せるわけです。ドラゴンはスピードが遅いですが、風や重力などの外的要因を受けずにどこでも突き進めますので、風で吹き上げられるところもそのまま突っ切れて、また違う世界を楽しむことができるわけです。ペルソナを使ってずっとプレイするのではなく、一時的にこのペルソナを活用することで世界が広がる、そういう楽しみを提供するものです

 なお、前作にはジェットコースターやボブスレーのようなシーンがありましたが、今作でもナイツが飛び回ってプレイするだけではなく、まったく違う楽しみをするミッションも用意していますので、期待していてください。

画像 ドルフィンナイツ。イルカのような姿に変形したナイツ。ドルフィンペルソナを入手することで変形できる。ドルフィンナイツに変形すると、これまでナイツのままでは入ることができなかった水中にも入ることができる
画像 ロケットナイツ。ロケットのフォルムに変形したナイツ。ロケットペルソナを入手することで変形できる。なんといってもロケットというだけあって、その加速力は抜群。ナイツの優雅な飛行とは違い、直線的な力強いスピードを体験できる。これをうまく使えば、離れた場所にあるブルーチップやリングをも、リンクさせることができる。ただし、旋回能力が低いのが難点
画像 ドラゴンペルソナ。長い体をもつ特殊なペルソナフォーム。ドラゴンペルソナを入手することで変形できる。スピードこそ、他のペルソナ形態には及ばないが、風や重力などの影響を受けずに空中を思い通りに泳ぐことができる。ナイツでは飛ばされてしまう強風も、物ともせず突き進むことができる

――ところで今回は、音楽を担当されるのは幡谷尚史さん、佐々木朋子さんと、前作と同じ方となっていますね。

飯塚 音楽も、ナイツという世界観を語るためには欠かせない要素です。新作を作るに当たっても、メインコンポーザーであった幡谷と、いまはフリーで活躍している佐々木さんには真っ先に声をかけました。この11年間、彼らにも「ナイツやろうね、やろうね」と言い続けていましたので、二つ返事で了解してもらえました。“ナイツ ミュージック”として、言葉にできる定義はないと思うんです。これだから“ナイツ ミュージック”である、という。ただ、2人のセンスから生み出される曲は、1回聴いただけで“ナイツ ミュージック”だと感じるところがあるんです。今回はすべて新曲のはずなのに、聴いてみるとナイツの世界になっているんですね。その点は2人の才能のおかげだと思います。

――前回は「クリスマスナイツ」がありましたが、今回も季節ごとのアイテムのようなものは考えていらっしゃるのでしょうか。

飯塚 「クリスマスナイツ」は、セガサターンの販促という意味もありましたので、別物なんです。今回はまずは「ナイツ」をしっかり作る、というところに専念しています。クリスマスバージョンが出ればいいなとは思いますが(笑)、まずはオリジナルをしっかり作ることに注力したいと思います。ただ、マイドリームには季節ごとに、さまざまな変化が見られますので、楽しみにしていてください。

――最後に、読者に向けてひと言お願いします。

飯塚 言いたいことは山ほどあるんですが(笑)、まずは前作のファンの方に、11年間待たせてしまって本当にお待たせしました、と言いたいですね。まさに“ナイツ新作”と胸を張って言えるような内容になっていますので、ご期待ください。また「ナイツ」を知らない方にも楽しんでいただけるよう、マイドリームなどのネットワークを取り入れた仕掛けなどをたくさん用意していますので、ぜひこの「星降る夜の物語」でナイツの世界に一度触れてみていただければと思います。

ナイツ〜星降る夜の物語〜
対応機種 Wii
ジャンル フライングアクション
発売日 2007年12月13日
価格(税込) 7140円

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