時代劇をリスペクトしつつぶち壊し、新たなものを創造する――「龍が如く 見参!完成披露会」(1/2 ページ)
シリーズ累計170万本を出荷した「龍が如く」シリーズ最新作の完成披露会が開催され、松方弘樹さんら出演者が登場。遊女姿のインリンさんも華を添えるなど、艶やかな発表会となった。
時代劇となってもシリーズ一貫した“人間ドラマ”は健在
「龍が如く」シリーズといえば、現代日本の繁華街を舞台に、裏社会の人々を通して人間ドラマを描いてきた大人のためのゲームである。シリーズ累計170万本を出荷した人気作へと成長している。その最新作である「龍が如く 見参!」がお披露目されたのは、9月14日に開催された「セガコンシューマ新作発表会 2007 Autumn」でのこと。この度、最新作完成を祝した披露会が華々しく出演者を招いて行われた。
「龍が如く 見参!」は、1605年の京都・祇園を舞台に桐生一馬之介、またの名を宮本武蔵とふたつ名を持つ主人公の男の生き様を描いた作品。人が人を殺すことで己を極めんとした時代、剣に己をかけた男たちの生き様を描いた“人間ドラマ”であることはシリーズを踏襲している。プレイステーション 3で再現されたキャラクターや京都の街並みはもちろんのこと、細部にまで作り込まれたグラフィックと、剣戟アクションを加えさらに迫力を増したバトルアクションとアドベンチャーパートから構成されている。ミニゲームなどおなじみの遊び要素も健在。2008年3月6日発売を予定している。
会場となった品川のクラブeXに並んだのは、「龍が如く 見参!」に声だけでなくリアルな3DCGのキャラクターとしても出演している俳優たち。本作主人公の桐生一馬之介(宮本武蔵)役の黒田崇矢さん、佐々木小次郎役を演じた松田翔太さん、吉岡清十郎役を演じた加藤雅也さん、祇園藤次役を演じた塚本高史さん、謎の僧役を演じた松方弘樹さん。
冒頭、代表して挨拶に立ったセガ常務取締役CS統括本部長 岡村秀樹氏から、まず本作が完成したことが告げられる。そして、シリーズの基本コンセプトである人間ドラマと、大人が楽しめるゲームを作りたいという制作陣の想いが受け継がれており、「我々が忘れてしまった日本人の心を、侍の姿と魂を通じて見つめ直してほしい」というメッセージが込められている自信作になっていると報告。続いて登壇した総合監督を務める名越稔洋氏からは、作品の全容について紹介があった。
名越氏は「龍が如く」を制作するに至った経緯について、ゲーム業界のマンネリ感にモノ申した結果であり、最近の日本で起こる事件や事象を見るにつけ個人的にも思うところが多かったためと説明。それを踏まえて、日本人の誇り高き魂が忘れ去られているんじゃないかという思いから「龍が如く」を江戸時代という時代設定にすることを決意したとのこと。それに見合う作品になったと、スタッフとキャストへの感謝を述べた。
その後、キャスト登場シーンをつないだムービーが上映されると名越氏は、「実際にキャストの方々の前で上映されると恥ずかしいながらもオススメできる作品に仕上がりました。戦国時代を選んだのは日本人が日本人らしく、野蛮でありながらも純粋に美しかった時代であるという思いから。現代の我々が忘れかけた気持ちを呼び起こさせる作品になりました」と名越氏は自信をのぞかせる。その後、キャストに役柄について質問が飛ぶ。
「時代設定は変わりましたが、根底に流れる本質的な部分はシリーズ通して変わっていないように思います。男の憧れる生き方は時代が移っても変わりませんし、発言に責任を持つ生き様は一貫しているのではないでしょうか」(黒田崇矢さん)
「佐々木小次郎自体かっこいいイメージがありすぎて、(自分の似ているところは)考えてはみたのですがあまりありませんね。実際見ると想像以上にリアルにできていて、でもどこかに自分らしさも出ていてすごいうれしかったし、早くゲームをやってみたくなりました」(松田翔太さん)
「今回、映像ができていてそこに声を合わせるのではなく、好きな間合いで演技してそれに合わせて映像を合わせるということで、実際に木刀を持ってやってみたらどうなるんだろうとか、さまざまな試みをさせてもらえました。そのため、比較的臨場感が出せたんじゃないかなと思います」(加藤雅也さん)
「(出演依頼が来た時の感想は)元々ゲームのファンだったので、無茶苦茶うれしかったですね。出演されている方々が声のトーンが低い方ばかりで、僕の声がちゃんと馴染むのかと苦労しました。早くできあがったもので遊びたいです」(塚本高史さん)
「初めての体験だったのですべてが驚きでした。時代劇では現代劇ができない情や機微を表現できるのですが、自分が出演しているところを見せてもらうと見事に再現されていて、ゲームは不慣れですが勉強しながらやってみたいと思いました。最近動画でいい時代劇に出会っていないと思っていたので、なおのことですね」(松方弘樹さん)
残念ながら、会場に駆けつけることができなかった鶴屋の用心棒伊東役の寺島進さんと丸目長恵役の竹中直人さんについては、収録の風景と出演の経緯を名越氏から紹介。寺島さんは「2」からの続投で、呑みの席で剣友会に所属していたことを聞き、本を書いた段階で寺島さんをこの役にしようという気でいたことを明かす。また、竹中さんはドラマ上難しい役柄であり、セリフを淡々と語れて説得力ある方がいいと考えお願いするに至ったと説明。狙い通りになったのだそうだ。
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