さぁ魔物たちよ、ヤッチマイナァ! ―ある破壊神の場合―:「勇者のくせになまいきだ。」レビュー(2/3 ページ)
我は破壊神! やれることは“掘る”ことだけだが、それでも破壊神!! 土を堀り、魔物を育て、しゃべる以外なにもやらないグーダラな魔王のためにダンジョンの生態系を整えることで勇者を撃退する……って、それでも我は破壊神? ――などと疑問に思ったら負けになる異色の生態系構築型アクションパズルゲーム「勇者のくせになまいきだ。」を破壊神的にレビュー!
「いきものずかん」はネタ満載
ところで、スタート画面に「ずかん」という項目がある。あとで知ったが、ゲーム中もSTARTボタンで表示できるメニューの中に「ずかん」があるそうだ。こいつをなにげなく選んでみたのだが……先に結論から言っておこう。この世界(ゲーム)の創造神(クリエイター)たち、いい意味でネジが数本、ぶっとんでいる。
たとえばこれ。
ある意味で本当の両性類だったのかー!
さらに我が永遠のライバル、“勇者しょうた”の詳細が判明。
夢かよ! セーブかよ!
念のため断っておくが、これらは本当に「ずかん」に書かれている説明だ。この調子ですべての魔物とすべての勇者のことが「ずかん」に記されている。ゲーム的に重要なのは、ちょこっと記されているステータス部分だけだったりするが、それ以外のところにここまで(いい意味で)無駄な労力を裂いているとは……この世界の創造神たち、やっぱり頭のネジがゆるんでいるとしか思えない(褒め言葉である)。
破壊神(プレーヤー)として言わせてもらおう。創造神たちよ……GJ!!
通勤通学途中の気晴らしに最適なトレーニング でもネタ満載で要注意
連戦連敗が続いた我は、少しだけ心を入れ替え、「トレーニング」とやらをやってみることにした。あとにしておもえば、素直に最初から「トレーニング」をやっておけば良かったと思う。だが逆に言えば、「トレーニング」をやらずとも、直感的になんとなくやっただけでけっこう遊べてしまうあたり、実によくできたゲーム……おっほん! 実によくできた世界だ!!
さて、トレーニングだ。
「トレーニング」は最初の時点で4つしか選べない。だが「ストーリー」でステージをクリアしていったり、同じ「トレーニング」内の項目をクリアしていくと新しく選べるものが増えていく。増えていくのは、「チャレンジ」と名付けられた項目だ。これがなかなか頭を使い、通勤通学途中にちょこっと挑戦するには最適だったりする。
少し話題はそれるが、「ストーリー」のほうも気晴らしで遊ぶには最適な作りをしている。このゲームではステージ途中でのセーブができない仕様なのだが、そもそもステージというのが“魔物を強化できるタイミング”でしかないと思えば、それほど気にもならないはずだ。また、グラフィックが、いわゆるアキバ系の萌え絵とはかけ離れているため、他人に見られても恥ずかしくないのが非常にうれしい。通勤通学途中に遊ぶゲームとして、本作はかなり本気でオススメだったりする。
本題に戻ろう……いやいや、破壊神に戻ろう。
おっほん。あーっははは! 我は破壊神! その我にトレーニングをやらせるだと!? なんたる不敬! なんたる傲慢! え〜い、この世の創造神どもよ! おぬしらが用意したトレーニングなど、サクサクッとすべてクリアしてみせるわ!
えーっ、なになに。最初に選べるのは4つだけか。
- トレーニング01 きほんを知るべし:ニジリゴケの発生方法を学ぶ
- トレーニング02 養分をあつめよう:ガジガジムシの発生方法を学ぶ
- トレーニング03 食物れんさ:食物連鎖を理解してガジフライを繁殖させる
- トレーニング04 トカゲを作る:トカゲおとこの発生方法を学ぶ
本当に基本的なことばかりではないか! こんなの、サササッと終わらせて……うむ、終わった。本当にあっけないな。まぁ、基本中の基本なのだから当然か。
で。本当であれば「ストーリー」である程度のステージをクリアしていないと、これ以上のものは出てこない。だが、今回はすでにクリア済みのため、さらに4つのトレーニングが選択可能になっている。
- トレーニング05 魔分からリリス:リリスの発生方法を学ぶ
- トレーニング06 デーもんのしょうかん:魔法陣とデーもんの発生方法を学ぶ
- トレーニング07 ドラゴンバスターバスター:ドラゴンの発生方法とその特徴を学ぶ
- トレーニング08 よびだせだいさくせん:デーもんの特殊能力を学ぶ
もちろん、破壊神である我はこの4つもサクっと……
「!?」
ドラゴンバスター クロビス「くらえ、かぶとわり!」
ぶはっ!
終電で帰宅途中だった破壊神は「トレーニング07 ドラゴンバスターバスター」のこのひと言で盛大に吹き出してしまい、他の破壊神候補から白い目で見られることになった。ゆ、油断していたわ! ええい、創造神どもめ! こんなところで小ネタを挟みおってからに!!
おっほん。
8つのトレーニングをすべてクリアすると、よりパズル要素の強い「チャレンジ」が登場する。ここからは項目ごとにハイスコアやランクも記録されるため、ちょっとでもやり込み始めると、なかなか抜け出せなくなるのだから、創造神どもの練り混み具合に感服するしかない。しかも、この「チャレンジ」は、特定の魔物を一定数発生させろというものや、堀パワーが限られている状態で、最初から設定されているダンジョンをうまく活用して勇者を倒せ、というものなど、バリエーションに富んでいる。また、上級テクを教えてくれる「チャレンジ」もあるため、たとえクリアできずとも、開いている“チャレンジ”にはすべて挑戦しておくべきだろう。
我は開いているすべての「チャレンジ」にも挑戦し、まぁ、そこそこできるようになったと思えたところで再び「ストーリー」に再挑戦してみた。さぁ、今度こそすべての勇者を返り討ちにしてくれるわ!
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.