アクションと音ゲーの妙なる調和。リズムに乗って世界の果てを目指せ:「PATAPON(パタポン)」レビュー(1/2 ページ)
4つのボタンに対応した4つの音。それを組み合わせて作った歌が戦士たちに与える命令になる。前進、攻撃、防御などのコマンドを音で出しながら、立ちふさがる敵を打ち破っていこう。影絵調のグラフィックが生み出す、独特のシャーマニズム世界も楽しい。
太鼓を叩いて敵をやっつける。この発想がすごい
着眼点が面白い。柔軟な発想が素晴らしい。
いったい、このゲームの楽しさをどうやって説明すればいいのだろう。紹介などというものは、簡にして要を得たものほどいいと思うが、このゲームではそれが本当に難しい。とりあえず、順を追ってご説明しよう。
「PATAPON(パタポン)」(以下、PATAPON)で、プレーヤーがすることはたった1つ。太鼓を叩くだけだ。音は4種類あって、○ボタンを押すとポン、□ボタンを押すとパタ、△ボタンを押すとチャカ、×ボタンを押すとドンと鳴る。これを組み合わせて歌を作る。○○□○ならばポンポンパタポン。□□□○ならばパタパタパタポン。基本は四拍子なので、1、2、3、4のリズムで□、□、□、○と押せばいい。
太鼓を叩くことでいったい何をするのか。なんと戦闘をするのである。誰が戦うのか。ここで登場するのがパタポン族だ。辺境も辺境、世界のはしっこに住んでいる部族。はるか昔、遠い遠い先祖の時には結構幅を利かせていたが、今では僻地に押し込められ、滅亡しかかっている。このパタポン族を救うことがゲームの目的であり、その手段が太鼓というわけだ。
太鼓のリズムがパタポン族に大躍進をもたらす
さて、ここからはゲームの展開に沿って説明を続けていこう。「PATAPON」の面白さを語るには、ゲームの流れをそのまま語るのが一番いい。
オープニングではパタポン族の栄光に続いて、現在の窮状が描かれる。彼らは弱小も弱小、もう自力ではどうにもならないレベルまでボロボロになっている。こうなってくると、もう神頼みしかない。幸い、かつて先祖が世界にその名を轟かせていた時、部族には守護神がいたという伝承がある。パタポン族は勇士を募り、その神様を探すための旅に出た。だが、それも空しく失敗。探索隊自体が全滅しかかっている有様だ。
探索隊のリーダーである「はたポン」は最後の悲痛な叫びを放ち……それを聞いたのがプレーヤーというわけ。パタポン族の守護神となって彼らを導いて欲しいという願い。プレーヤーがこれを受け入れると、伝説の太鼓を渡される。○ボタンに対応したポンの太鼓だ。
プレーヤーが守護神になってくれたことを知った「はたポン」は、それまで彼が守ってきたもう1つの太鼓を捧げてくれる。□ボタンに対応したパタの太鼓。これでタイトルでもあるパタとポンの音が揃ったことになる。
2つの太鼓が揃ったことにより、歌を作ることが可能になった。最初に奏でてやらねばならないのが「すすめ!の歌」。パタポンたちにエネルギーを与え、前へ進もうとする気力を与える歌だ。この歌は、□□□○、すなわちパタパタパタポン、だ。
これを何度か奏でてやると「はたポン」が元気を取り戻し、前へと歩み始める。と、そこで出会うのが何人かの「やりポン」。ともに探索に出て行き倒れになっていた仲間たちだ。神の太鼓の音を聞いたことで活力を取り戻した彼らは、再び「はたポン」のもとに集うわけだが……ここから分かる通り、パタポン族の武器は槍。しかもそれだけ。なるほど、これではキビシかろう。先史時代ならまだしも、街に行けば立派な王宮が建っている時代。そんな世界で武器が槍しかないのでは。パタポン族の窮状、推して知るべし、だ。
「はたポン」と「やりポン」を救ってやれば、ステージ1はクリア。続くステージ2では、本拠地である「パタポリス」に帰還した戦士たちが次なる戦いに備えることになる。ここで、何だ、ポリスなんて名の付いたちゃんとした拠点があるじゃないか、などと思っていけない。パタポリスにあるのは、キャンプファイアーの火、神様への捧げ物をする祭壇、戦士を生み出す生命の樹、アイテムをくれる陽気な御神木、そしてオベリクなどなど。早い話が、とってもシャーマニズムにあふれた村なのだ。文明の息吹は正直あまりない。世界に冠たる栄光を取り戻すのはいいとして、目標はなかなかに遠い。
というわけで、パタポリスをベースに、神様とパタポンたちの世界進出計画がスタートする。
当面の敵となるのがジゴトン族だ。コイツらは巨大な壁を築いてパタポンたちを僻地に閉じこめている元凶。まずはこの憎っくき敵を破らねばならないが、ことはそう簡単ではない。
パタポンたちが持っているのはまだ槍だけ。これではまがりなりにも文明を持ったジゴトンに勝つのは大変だ。そこでしばらくは辺境での冒険が続くことになる。平原で獲物を狩りながら戦いの仕方を覚え、先祖の偉大なる霊を甦らせて戦士を増やし……そんなこんなでやがてパタポン族は斧と盾を装備した前衛部隊や弓を持った遠距離攻撃部隊などを編成できるようになる。歌のほうも「せめろ!」「まもれ!」などのバリエーションが増えてきて、駆け引きのある戦いができるようになってくる。ここまで来れば、ジゴドンとも戦える。かくして、パタポン族の躍進が始まるのだ。
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