衝撃の第1作目から早10年──「GT」はついにオンライン完全対応に:「グランツーリスモ5 プロローグ」レビュー(1/2 ページ)
1997年12月に第1作目が登場して以来、全世界のクルマ好きを魅了し続けてきた「グランツーリスモ」シリーズ。その最新作がPS3で登場。“レースゲームの新しいスタンダード”をテーマにさまざまな要素が詰め込まれている。
オンライン対応ならではのメイン画面“マイページ”
前作「グランツーリスモ4」(以下、GT4)が発売されたのが、今からちょうど3年前。その後、「GT4」をベースとしたオンライン実験バージョン(抽選によって選ばれたユーザーが3カ月間テストプレイを楽しめた)、PS3発売1カ月後から無料で提供された「グランツーリスモHDコンセプト」を経て、このたびついに新たなパッケージ版が登場となった。
待望の完全新作である「GT」に、“プロローグ”とはいえ待ち望んだファンは多いはずで、第1作目からプレイしている筆者も待ちに待ち望んでいた。……が、筆者は実は、先述のオンライン実験バージョンも「HDコンセプト」も、さらには本作の体験版も未プレイ(ファンとしては失格!?)。それだけに本作に対する期待は大きく、久々にハンドル型コントローラーの「GT-FORCE Pro」を引っ張り出してしまった。
さて本作は、パッケージ版とダウンロード版の2種類が存在している。価格はほんの少し異なるが、当然ながらゲーム内容はまったく同一だ。ダウンロード版はHDDにインストールして遊ぶ形式なのだが、実はパッケージ版でもHDDにインストールが必須。約5Gバイトほどの空き容量が必要になるので、これからパッケージ版を購入しようと考えている人は、HDDの空き容量をチェックしておいた方がいいだろう。ちなみにインストールした後でも、起動にはディスクが必要となる。
インストールも無事終了し、さっそくゲームを起動。超美麗なオープニングムービー(曲が「GT」のテーマ「Moon Over The Castle」ではないのが個人的には残念だった)に続き表示されるのが、本作のメイン画面であるマイページだ。これまでのシリーズでは、タイトル画面からアーケードモードやグランツーリスモモードなどへ移行する形となっていたが、本作に関しては各メニューがこのマイページに集約されている。現在用意されているメニューは以下のとおり。
- ニュース
- GT-TV
- オンライン
- ランキング
- アーケード
- イベント
- ガレージ
- ディーラー
- リプレイ
- オプション
- マニュアル
- セーブ
以上の12項目。このうちオンラインとランキングは12月25日のアップデートで追加されたものなので、それをふまえると、今後さらにメニューが増える可能性も大いにあり得る。
また、PLAYSTATION Networkにサインインしていれば、マイページに時計やカレンダー、世界各地(著名なサーキットが存在する都市)の天候&気温が表示される。しばらく何も操作しないと、メニューの表示が消え、画面下部にモータースポーツ関連のニュースが流れる。
「GT」にもついにコックピット視点が
新規スタート時は少額のCr.(ゲーム内通貨)を持っており、これで1台目の愛車を購入する仕組みだ。お高いクルマは買えないので、筆者は購入できる車種の中からなんとなく“フォルクスワーゲンGolf GTI”をチョイス。しばらくはコイツとレースを戦うことになる。
まずは任意のコースでコンピュータとのシングルレース、またはタイムトライアルが楽しめるアーケードがいいだろう。筆者はとりあえず、シングルレースを選んでみた。
本作に用意されているサーキットは、下記の5つ。それぞれ2レイアウトずつ用意されており、つごう10レイアウトが楽しめるというわけだ。
- デイトナ(オーバルの「スーパースピードウェイ」と、インフィールドを使った「ロードコース」の2種類)
- 富士スピードウェイ(シケインありの「F」と、なしの「GT」の2種類)
- アイガー北壁コース(順走と逆走)
- 鈴鹿サーキット(フルコースと東コースの2種類)
- ロンドン市街地コース(順走と逆走)
コースを決定し、シングルレースかタイムトライアルを選ぶと、続いてトランスミッションやタイヤの種類、ASMやTCSの有無といったドライビングオプションを設定する。本作では駆動系や足回り等のセッティングはできないため、イコールコンディションのワンメイクレースなどではこのドライビングオプションがより重要視されるのだ。もちろん、プレーヤー自身の腕も。
ドライビングオプションでは、クルマのシミュレーションタイプを「スタンダード」か「プロフェッショナル」から選ぶことも可能。プロフェッショナルはその名が示すとおり、よりリアルでシビアな挙動となる。試しに何台かのクルマを両タイプで走らせてみたが、プロフェッショナルの場合、高速域でのステアリング操作がややシビアになり、ブレーキング時の制動距離も長くなったと感じた。
さて、設定も終了しいよいよレースがスタート。本作は最大16台での走行を実現し、コンピュータのAI(人工知能)も格段に進化しているという。確かに、併走状態でのコーナー進入時に無理矢理インを閉めてくるようなことはほとんどないし、理不尽な追突も少なくなったように感じる。コンピュータ同士でブレーキング競争をし、一方が曲がりきれずにグラベルに突っ込むといったシーンも見られ、何だか人間っぽいな、とも思った。
また、プレーヤーが他車への追突や幅寄せ、ショートカットなどを行うと、ペナルティとして一定時間、エンジン出力が規制される(回転数が上がらない)。つまり、他車を利用して強引にコーナーを回ったり、市街地コースで壁を使って走るなど、いわゆるゲーム的な走行は順位やタイムを落とす結果になるのだ。もちろん、これはアーケードに限らずオンライン対戦でも採用されている。
走行中のグラフィックと挙動は、当然のごとく過去最高のクオリティを誇る。映像面では、今回初めて搭載された視点「コックピットビュー」に注目したい。スピードメーターやタコメーターなどのインパネ類が1台1台、リアルに再現されているのだ。
実はこの視点、過去の他レースゲームでも採用されていて、筆者も実際にプレイしたことはあるのだが、Aピラーやミラーなどの位置に違和感があり、あまりプレイする気には正直なれなかった。でも、本作ではさほど違和感なく走ることができたのだから、その再現度はかなり高いように思う。自分の愛車が本作に登場していれば、喜々としてこの視点を使うんだろうなあ(筆者のクルマは残念ながら収録されていません)。
なお先述したとおり、筆者は「GT-FORCE Pro」でプレイしているのだが、コントローラで遊ぶのはキツイのかというとそうでもない。「オプション」のコントローラ設定でアクセル/ブレーキをR2/L2ボタンに割り当てれば、ボタンのストロークが深い分、アクセルを一定開度でキープしたり、ブレーキがロックしないようにジワッとかけるといったことが、他のボタン以上にラクにできるからだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.