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やりやすくやられやすい――新生「FFIV」は手堅いRPG「ファイナルファンタジーIV」レビュー(2/3 ページ)

「ファイナルファンタジー」生誕20周年である2007年は、「ファイナルファンタジー」関連タイトルが多く世に出た年だった。そのトリを飾ったのが本作。セシルが! カインが! パロムも! ポロムも! 美麗なムービーと3頭身キャラでよみがえる! 難易度もけっこう高く、こりゃRPGファンならとりあえずやっとけ、っしょ!

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 声の話が出たので、音楽にも触れておこう。元々の「FFIV」からそうなのだが、本作の音楽は個人的に名曲ばかり!初代「FFIV」あたりの植松伸夫氏の音楽というのは、ゲームミュージックとしてかなり脂がのっているように思う。少ない音源でファンタジックな世界をドラマチックに演出するという点で、職人的にいい仕事をしていらっしゃる。そんな元々の楽曲を、音質や音感をアップさせつつもちゃんと再現しているので、植松氏のファンにも安心していただきたい出来だ。

 本作の物語は、軍事大国であるバロン王国の飛空艇団「赤き翼」(元々は「赤い翼」。本作で“赤き”に変更された)の部隊長セシルを軸に展開していく。セシルは罪もなき魔道士たちを駆逐し、ミシディアからクリスタルを奪うことに成功するも、王の命令に疑念を抱く。王に進言するセシルは反逆の意図ありと解釈され部隊長の座を追われてしまう。親友カイン(竜騎士隊の隊長)とともに幻獣討伐へと向かうセシル。そこから波乱の物語が幕を開ける……。

暗黒騎士セシルと竜騎士カインの運命やいかに…

 セシルは、行く先々でさまざまな人々に出会う。幼き召喚士リディア、ダムシアンの王子ギルバート、双子の魔道士パロムとポロム、ファブールのモンク僧ヤンなど、いずれも個性的で頼もしい味方たちだ。反して、行く手を阻むゴルベーザとその配下にいる四天王など凶悪な敵キャラの面々はニクらしいほどにアクが強い。とにかく各人のキャラが立っており、それぞれにドラマがある点が、永く愛されている理由のひとつだろう。

かわいい魔道士パロムとポロムは、人気の高いキャラクターだ

 すでにクリアして知っているファンにはご紹介する必要はなかろうし、いまだプレイしていないユーザーにはネタバレが多くて色々くちごもってしまうところだが、ここでまた極めて個人的なことを言わせてもらうと「壮大なスケールで描かれる出会いと別れの物語がたまらん!!」という点を推しておきたい。

 本作の主人公パーティは編成がとにかくよく変わる。これはプレイヤーの意思ではなく、物語の必然としてパーティ構成メンバーが変遷していくのだ。初めて「FFIV」をプレイした時には「おいおい、こいつメチャクチャレベル上げて育てたのにここで別れるんかい……」と思ったりもしたのだが、その出会いと別れを覚悟した上でプレイしてみると、物語のうねりに重きを置いた本作の演出意図を改めて味わえたりして、何だか感慨深い。中盤のとあるキャラたちの運命には分かっていても涙してしまったし、ラスト付近の盛り上がりもいい。名作は色あせないのだな、と思い知らされた。また、ゴルベーザに関するエピソードが追加されているなどファンサービスもバッチリで、未プレイの人はもちろん、プレイ済みの人もぜひプレイしてほしい内容になっている。

FFシリーズではおなじみのシドは、飛空艇の技師として登場。戦闘にも参加しちゃったりします
FFといえば、やっぱ飛空艇っしょ! 本作でも飛空艇を手に入れることで行動範囲が一気に広がります

元祖アクティヴタイムバトル! そしてらくらくオートバトル!

 「FFIV」と言えば初めてATB(アクティヴタイムバトル)が採用されたタイトルとしても有名だ。

 ATBとは、コマンド入力をしてから次のコマンドを入力するまでの待機時間が各キャラごとに存在し、リアルタイムで敵味方入り乱れてのバトルが行える戦闘システム。ATBを採用していないコマンド形式の戦闘システムだと、味方キャラの行動を決定するまでは敵が動くことがないので、極端な話、コマンド決定前にトイレに行ってきても何の問題もないわけだ。これがATBのある戦闘だと、トイレに行っている間も容赦なく敵が襲ってくるので、トイレから帰ってきたら全滅していたということも大いにあり得る。少しの油断もならない緊張感のある戦闘が楽しめる、秀逸なシステムだと言えよう。戦闘中に急に中断しなくてはならなくなった場合は、本体を閉じてスリープにするか、スタートボタンを押してPAUSE状態にすれば大丈夫だ。

 そんなATBはもちろん本作でも健在。ゲームボーイアドバンス版以降の要素として各キャラの待機時間を表すATBゲージが表示されているので、さらにプレイしやすく分かりやすくなっている。基本的に上画面がメイン画面で、下画面がサブ画面となる。タッチペンによる移動操作は可能だが、ボタンだけで問題なくプレイできる。フィールド移動時は下画面にワールドマップが表示され、行ったことのないところは非表示になっている。ダンジョン移動時も下画面にダンジョンマップが表示され、進んだ分だけ表示されていく。ダンジョンは各階ごとに踏破することでアイテムが得られたりするので、すみずみまで探索したくなるはずだ。細かいところでユーザーフレンドリーになっており、快適なプレイが実現している。

やっぱFFはATBっすな。この緊張感がたまりません
スリプルをかけられたりすると、冷や汗もんです

 快適なプレイという点で言えば、本作の戦闘で特筆すべきはオートバトルだ。戦略的に立ち向かわなくてはいけないボス戦や実力が伯仲している敵との戦闘では有効ではないが、明らかに弱い敵と戦う場合には重宝する。メニュー画面のアビリティでオートバトル時に選択する行動をあらかじめ設定しておくと、戦闘時にXボタンを押すだけでオートバトルに突入してくれるのだ。

 例えば攻撃力が高いキャラは全員「たたかう」にしておいて、回復が得意なキャラや魔法メインのキャラはひとまず「ぼうぎょ」にしておく。これでガンガン戦って、ほどほどにやられた頃に戦闘終了後にケアルをかける。雑魚との戦闘の繰り返しならこれで十分だったりするわけだ。筆者は「レベル上げなきゃ!」というケースではこのパターンで雑魚を倒しまくった。戦闘中に手があくので、Webを見たり正月の特番を観たりしながらレベル上げができちゃって、何だか得した気分になったものだ。レベル上げのためのバトルも、これなら精神的に楽に済ませられる。もちろん使う使わないは個人の判断次第だ。

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