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世紀末救世主伝説は終わらない――タッチペンで北斗百裂拳!「北斗の拳 〜北斗神拳伝承者の道〜」レビュー(2/2 ページ)

新世紀に人気が再燃した伝説的少年漫画「北斗の拳」がニンテンドーDSに見参! タッチペンで経絡秘孔を突きまくるというニンテンドーDSならではの操作感覚と、原作を再読させたくたるスタッフの“原作愛”に満ちた作り込みは、ニンテンドーDS系キャラクターゲームの中でも屈指の出来映え。

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ストーリーモード全22話のタイトルを大公開!?

“斬る”が基本となる「レイ編」と本編(ケンシロウ編)と同じように“突く”が基本の「ラオウ編」。ただ、ラオウ編は話数が進んだところで登場するため、それ意外のアクションも頻繁に求めてくる。難度も高く、ラオウ編で最高評価の「伝承者レベルS」を出すのは至難の技。かなり熱いステージばかりなので、やりごたえは充分!

 ストーリーモードは全22話で構成されており、基本的に原作の主人公であるケンシロウの視点から様々な敵と戦っていく――と聞くと、北斗ファンなら「ユダは出てこないの? あいつはケンシロウと戦ってないけど?」と思うだろう。だが、ご安心あれ。まずは、これを見てほしい。

  • 第1話「心の叫び」
  • 第2話「サザンクロス!!」
  • 第3話「ゴッドランド」
  • 第4話「地獄の果てまで」
  • 第5話「牙一族」
  • 第6話「オレの名をいってみろ!」
  • 第7話「偽りの天才!」
  • 第8話「鬼の哭く街!」
  • 第9話「凶星炸裂」
  • 第10話「南斗の漢!」(レイ編)
  • 第11話「義星の宿命!」(レイ編)
  • 第12話「妖星の赤き牙!」(レイ編)
  • 第13話「狂乱の南斗」
  • 第14話「愛深きゆえに!」
  • 第15話「天を目指して!」(ラオウ編)
  • 第16話「宿命の強敵!」(ラオウ編)
  • 第17話「悲しき魔狼!」
  • 第18話「五車星現る!」(ラオウ編)
  • 第19話「魔王への生贄」(ラオウ編)
  • 第20話「南斗最後の将!」
  • 第21話「さらば強敵よ!」
  • 第22話「生涯無悔!」(ラオウ編)

 以上のように、全22話の中にはケンシロウ以外を主人公にした特別ステージとして「レイ編」と「ラオウ編」が用意されている。それぞれ、直前のステージで高成績を収めた場合のみ選択できるようになる特別ステージであり、これがあることで、本作では第1部にすべての話が、うまく網羅されているのだ。

 また、ストーリーモードでは上画面に北斗七星と主人公キャラが表示れ、MISSが重なると、主人公キャラは傷つき、北斗七星は1星ずつ消えていくばかりか、あの死兆星が瞬きはじめるという仕様になっている。このあたりも実に小憎い演出だが、ラオウ編ではMISSが重なるとラオウ様が膝をつきそうになるところもファンならニヤリとするところのはずだ。

 もちろん、膝をついてはいけない。拳王は決してひざなど地につかぬのだ!

オマケ要素は小ネタが満載

 続いてオマケ要素の話に移ろう。

 本作で用意されているオマケ要素は「キャラクター図鑑」「名台詞カード」「秘孔突き対戦」「北斗百裂問」の4つだ。このうち最後の「北斗百裂問」を除く3つは、ストーリーモード各話で“伝承者レベル”と呼ばれる成績(具体的にはMISSが0に近く、PERFECTが多く、MISSにはならないものの間違った場所を突くととぎれてしまう連続成功数が多いが否かでSからDまでの5段階評価が下される)が高ければ新たらしいものが開くという仕様になっている。

 「キャラクター図鑑」と「名台詞カード」については、言及するまでもないだろう。ただ、本作にはケンシロウ役に神谷明氏、ラオウ役に内海賢二氏、ナレーション兼ザコ役に千葉繁氏が参加している。TVアニメ版そのままの声で「おまえはもう死んでいる」とか「わが生涯に一片の悔いなし!!」などと聞けるあたり、ファンならニヤつきがとまらないところのはずだ。

 個人的には「キャラクター図鑑」に、主要キャラのみならずウイグルやカーネルといった「誰それ?」と言われかねない敵キャラも収めたところに、スタッフのセンスを感じた。ただ「キングの部下」としてひとまとめになっている4人のうち、「北斗の拳」の超有名台詞とされているハート様の「ひでぶっ!」がストーリーモードでしか聞けなかったあたりが残念に思えた。

 まあ、ストーリーモードで千葉繁氏の「ひでぶっ!」が聞けたので、けっこう満足している自分もいるのだが。

「キャラクター図鑑」よりケンシロウとラオウ。他にも原作序盤で倒される敵キャラや、強敵と書いて「とも」と呼ぶ南斗の男たちも入っている。残念なのは、その全員の台詞がヴォイス収録されていないこと。ニンテンドーDSの容量を考えれば仕方のないところだが、やはりファンとしては物足りなさを感じる
「名台詞カード」よりケンシロウと、あまりにも有名な北斗4兄弟の三男ジャキの台詞。ストーリーモードでもヴォイスが流れている名台詞カードは、下画面左下に現れるスピーカーマークをタッチすることで、名台詞そのものを聞くこともできる。ただ、ジャキのヴォイスは収録されていないため、残念ながら聞くことはできない

北斗版潜水艦ゲーム〜「秘孔突き対戦」

 残る2つのオマケ要素は、いわゆるミニゲームだ。

 ひとつはワイヤレス通信を使った「北斗の拳」版潜水艦ゲームというべき「秘孔突き対戦」。8×6のマス目に5カ所の秘孔を決め、先に相手のHPを0にしたほうが勝ちになるというゲームだ。HPは秘孔を突くことで大きく減らすことができるものの、空振りした時には自分のHPが減ってしまうなど、少し変わった工夫がほどこされている。

 なにより特徴的なのは、最初に2名、ストーリーモード全話で高成績をあげることで最大10名になるキャラクターの中から好きなキャラを選んで対戦できるところだ。それというのも、各キャラには固有の「奥義」が設定されており、サウザー(極星十字星:1回の突きで隣り合った上下左右4つのマスも同時に攻撃する)のように早くマスを埋めていけるキャラもいれば、シン(南斗獄屠拳:通常の1.5倍のダメージの突きを放つことができる)のように一撃が強いキャラ、ジャキ(眼球潰し:相手のマス上の表示を1ターン消すことができる)のようにトリッキーな能力を持つキャラなどが用意されているのである。

 ただ……残念なことに、対戦にはROMが2つ必要であり、レビュー執筆時点ではサンプルROMが1つしかなかった。そのため、「秘孔突き対戦」についての評価は、みなさん自身で確かめて欲しい。個人的にはけっこう面白そうだと思うのだが……?


ジャキ様とクイズ!?〜「北斗百裂問」

 もうひとつのミニゲームは、いわゆる第1部のみを熱かったカルトクイズ「北斗百裂問」だ。ここでは常にジャキ様が画面に表示されるのだから、本当にスタッフは、原作をよく分かっているとニヤつくしかない。

 しかも、問題はとにかくマニアック。そのくせ、原作直撃世代であれば、意外と分かる問題も多いあたり、「北斗の拳」は時代を代表する作品だったのだなぁ、と違う意味で感心するしかなかった。もっとも、筆者にしても、先にストーリーモードをやり込んでいたからこそ分かった問題も多かった。逆に言えば、ストーリーモードをやり込めば、原作を良く知らない人でも答えられる問題が多いということだ。そのあたりの選択のセンスは、なかなかうまいと感心するしかない。

 なお、「北斗百裂問」には1問でも間違えた時点でゲームオーバーになる「南斗百問組み手」というモードがある。筆者の最高正解数は37撃(問)。最初は5、6問で間違ったが、何度もやってみるうちに、どうにか35の壁は越えられるようになってきた。だが、ここから先がどうにも進まない。こうなると出てくる問題を片っ端から覚えていくしかないようだが……100問かぁ。先は遠いなぁ。


原作を読み返したくなるキャラゲーの秀作

 あえて触れずにきたが、原作ファンにとって本作の一番の魅力となるのは、なにはおいても原作のコマを“フルカラー”にしたうえで、そのまま使用しているところだろう。あの激闘が、あの名場面が、着色されたものとして見ることができるのだ。

 これは原作をリアルタイムで読んでいた世代ほど、来るものがある。個人的には、ユリアの美しさがフルカラー化されたおかげで際だち、より彼女を巡る争いに説得力が生まれたところは原作以上だと思う。

 ただ、ニンテンドーDS系キャラクタゲームの宿命というべき容量の問題もある。音楽系は切り捨てられているため、BGM鑑賞モードもなければ主題歌を聴くこともできない。また、ヴォイスについても、全キャラ収録というわけではないため、やはりその点での不満が残る。さらに、ストーリーモードの展開も、容量とゲームのテンポの問題からばっさりと省略されている部分が多く、原作を知らない人には話の筋が理解しにくいという欠点も出ているのも事実だ。

 だがしかし、“突く”というタッチペン操作をここまでゲームに昇華できたのは、やはり「北斗の拳」という原作が持つパワーをうまく発揮できたからだろう。ゲーム中、操作そのものに違和感を感じさせないよう、うまく原作のコマを活用しているところなども、スタッフの原作に対する理解度の深さがかなりのものだと感心してしまう部分だ。

 それにつけても。

 原作を再読したくなった。実家にある全巻、送ってもらおうかなぁ。

「北斗の拳〜北斗神拳伝承者の道〜」
対応機種ニンテンドーDS
ジャンル秘孔突きアクション
発売日2008年2月14日
価格(税込)5040円
(C)武論尊・原哲夫/NSP 1983 版権許諾証GS-217


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