咲の“絶対領域”がなくなる理由――「お姉チャンバラ」を作った男たち(1/2 ページ)
「お姉チャンバラ」にはまだ秘密がある。「お姉チャンバラRevolution」を送り出した男たちは、次なる展開に動き出そうとしていた。まさか、妹のニーソにそんなワケがあったとは……。
常に新しい試みを! 「お姉チャンバラRevolution」を振り返る
毎回、「お姉チャンバラ」シリーズでは、アクションゲームとして新しい試みが施されてると、企画・開発を手がけるタムソフトの手塚俊介氏は、特に「お姉チャンバラRevolution」の爽快(そうかい)な操作感には自信があると切り出す。
2007年9月に開催された東京ゲームショウ2007のディースリー・パブリッシャーブースで大々的に発表されたWii用アクションゲーム「お姉チャンバラRevolution」は、Wiiリモコンで操作するという点において、かなりのこだわりを持って制作された。それこそ、バランス調整に一番時間をかけたといっていいほどだと、同じくシリーズ通して企画・プログラムを担当する渡邉成紀氏も胸を張る。
「お姉チャンバラ」シリーズは2004年、プレイステーション 2用の「SIMPLE 2000」シリーズの1つとして「THE お姉チャンバラ」の名を冠して誕生した。当時は、これほどまでにシリーズ化されるとはまったく思っていなかったと両者が振り返っていたが、露出度の高いお姉さんが、刀を振り回しゾンビをボッコボコにするという、お色気とアクション性を併せ持つ、ヒットする“匂い”というものは内包していたように思う。ただし、企画書段階では「THE姉チャン」だったものが、「お姉チャンバラ」に変更になったことには当初「信じられなかった」とのこと。今では「お姉チャンバラ」でよかったと手塚氏は胸をなで下ろす。
こうしてファンの声に押される形で、続編が制作されることになり、PS2にこだわらず、その時々の新しい可能性を追求すべく、プラットフォームを変え、わずか4年で計7作(DLC含む)世に送り出されることになる。
―― 「お姉チャンバラRevolution」が発売されて日が経ちますが、反応はどうですか?
手塚俊介氏(以下、敬称略) やはりWiiリモコンでの操作感には時間をかけましたし、ある程度自信がありました。それでも発売直後は不安でしょうがありませんでした。実際にアクションに関しては、皆さん好意的でほっとしています。
渡邉成紀氏(以下、敬称略) 慣れ親しんだパッドではなく、Wiiリモコンという独特の操作だったので、それをどう利用できるかが課題でした。
―― 今作でもっとも多くの意見として「ステージ数の少なさ」が挙げられると思うのですが?
手塚 やはりボリューム的には少ないという意見は多く、心苦しい限りです。ただ、プレイヤーキャラクターにその分手をかけ、アクションモードを充実させ、キャラクターの個性を立たせることに時間を費やしました。開発期間も限られていますし、同じく要望が多かった「キャラクターのアクションに厚みを持たす」ことに重視したと理解してもらいたいです。
―― その分、新しい方向性を示すことができたと思いますが?
手塚 キャラクターは使用する武器や戦い方のタイプによって吟味しました。その中でも投げやつかみもある咲に一番力を入れていますし、良い評価を頂いています。今回一番Wiiリモコンをうまく使っている面白いキャラクターになっていると思います。やはり、いかに気持ちよくプレイさせるかがキモでした。どのタイトルとは言いませんが、ほかのWiiリモコンを使用するアクションゲームを遊んでみて、ボクはとても不満があったんです。もっと面白くできるはずだと。うまくWiiリモコンを使えば、もっと面白くできるのではないか? という、イメージが頭の中にあったのでそれを実現しました。
―― プレイヤーによって振り方の差異があったりと、調整はかなりシビアだったと思うのですが。
渡邉 マスターアップ直前まで調整は二転三転してました。シリーズ通して“斬った爽快感”が第一のコンセプトだったので、そこはある程度納得する形まで持っていきたいと思っていましたし。時間も取りました。
手塚 開発期間的には実作業は半年しかありませんでした。構想を入れるともう少しかかっていますが。キャラの特性によってアクションも異なるので、開発期間の大半はそこに費やしました。
渡邉 Wiiはほかのハードと比べたら、スムーズに開発に入れたのが短期間でできた理由ですね。
―― “精度”や、長時間使用することで“疲れる”などは、Wiiリモコンを使用するアクションゲームではついてまわることだと思うのですが。
手塚 ステージ数が少ないという、先ほどの御指摘にも若干関係するのですが、今あるもの以上に1ステージが長いと疲れてしまうのではないか? という心配があったんです。賛否両論ありますが、結果としては今ぐらいの長さが疲れなくて丁度良いと思っています。1ステージが短いので、一度クリアした後も、軽い感覚で何度も繰り返しプレイして頂けるように設計しました。
―― これほどまでシリーズ化されるとは思っていなかったと聞きますが。
手塚 ボクらの中では面白いと思ってました。しかし当初は実感が伴わなかったですね。
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