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宇宙世紀を振り返り、直感的なマップで作られる新「ガンダムシミュレーション」「エンブレム オブ ガンダム」プレイリポート&インタビュー(2/5 ページ)

本作は、全く新しいアプローチでガンダムを題材にしたシミュレーションゲームだ。歴史家の視点、プロヴィンスマップ、バトンでつなぐ物語……さまざまな試みが盛り込まれたタイトルをプレイし、かつ、開発者である芝村裕吏氏に話を聞いてきたりもした。プレイのご報告とインタビューが織り成すハーモニーをどうぞ。

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バトンをつないで楽しめる複数の視点――ジオニストならシャア視点でプレイせよ!?

画像 どちらのバトンを選ぶかはプレイヤー次第だ

 芝村氏が言うように本作に“if”は存在せず、原作へ忠実に進む。しかし、ただ単に原作の各話を追っているような作りではない。本作には「バトン」と呼ばれるシステムがあり、物語に対する視点を変更しながらプレイを進めることができるのだ。

 物語に登場するキャラクターはすべて、いずれかの「バスケット」に所属している。バスケットは4つあり、各キャラ所属のバスケットは、物語を通して変わらない。プレイヤーはシミュレーションパートをプレイする前に2つある選択肢(バトン)からどちらかを選ばなくてはならない(関連記事参照)。

 序盤であれば連邦軍のキャラクターがいるバスケットを選ぶか、ジオン軍のキャラクターが多いバスケットを選ぶか、もっと砕けて言えばアムロ視点かシャア視点かなどの選択を迫られ、いずれかを選び、決定することでシミュレーションパートへと移行していく。そのステージで勝利した場合、選んだバスケットに所属するキャラ全員のレベルが一律で上昇する、というユニークなシステムが採用されている。

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 つまり、同じ話の流れでも、連邦側のバトンばかりを選択していけば、連邦のキャラが集中してレベルが上がっていく。逆に生粋の“ジオニスト”(ジオン軍ファン)なプレイヤーがジオン軍側のバトンを集中して選んでいけば、シャアほかジオン軍のキャラたちのレベルがぐんぐん上がっていくというわけだ。

 ただし注意していただきたいのは、プレイヤーはあくまでも“ストーリー上の主人公側”でプレイするということ。序盤であれば、ジオン軍キャラクターのバトンを選び続けると、味方よりも敵のレベルをひたすら上げていくことになる、という、何とも不思議な現象が起こりうる。そのあたりのバトンやバスケットについて、芝村氏に聞いてみた。

――バトンというシステムはどういったものなんでしょうか。

芝村 小説として考えた時に、原作では敵も味方も同じくらいのボリュームで描かれているんです。「一方その頃……」という表現を多用してみたんですが、並行して敵味方を描くのは難しいなと。そこで、“自分が読んでいるのはここなのだ”ということを明確にするため、「バトン」という形で分かりやすくしました。

 最初の企画としては、視点がばらけたほうがいいから、バトンを100個くらいにして40人くらいから証言を取るような形式はどうか、という案もあったんです。でもこの場合、1つのステージを何度も繰り返すようなプレイになってしまい、これはいかん(笑)。ということで、2つを選択しながらストーリーを紡いでいく形になりました。

 ただし、シャアのバトンばかり追っていったら、敵であるシャアがメチャクチャ強くなるようになっています。その場合、「じゃあシャアはなぜ負けたのか」という話になるんですが、そういったことも含めて楽しんでいただければと思います。ジオニストなら「だからシャアは強かったのだ!」という読み方もあるでしょうし。レベルの高いランバ・ラルやレベルの高いシャアに、墜とされてもいいユニットをつけたガンダムで何度も対戦して物資切れを狙って勝つとか……。

 本作は“ジオンサイドでも遊べるゲームにしてもよかったかな”とは思ったんですが、史実にあるセリフに忠実であろうとすると、正直なところ、ジオンサイドだけではセリフが足りなくなるんです。どうしても“if”を付けなくてはならないんですね。ジオニストとしては、ジオン軍がかっこいいのはジオン軍が敵だから、という、今回は敵に徹して“敵役の美学”を貫いて、ジオン軍のレベルを上げまくって挑戦してほしいですね。ただ、それではゲームバランスがあまりにもよくないので、中盤では連邦側のバトンを多くしたりして、逆転できるようにはしてあります。その間に連邦のレベルを上げてチャレンジしてもらえればと思います。

――バトンのバスケットは、どういった法則で分けられているんですか。

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芝村 人脈です。普通のゲームのように、各キャラの経験値を上げるタイプのものも検討したんですが、テストで作ってみたときに、みんなシャアとかキーキャラクターばかり育てるんです。いわゆる“脇役”の人たちのレベルは上げないんですね。例えばハヤトなんかは、初期レベルのまま最後まで行ったりしてたんです。史実にあてはめると、ソロモン戦でハヤトがやられてしまうと戦力がダウンした、というセリフがあるように、終盤はハヤトも活躍しています。そこで「アムロがレベルアップするときにハヤトもレベルアップすればいいんだ」と考え、みんなのレベルが上がるようにしました。シャア人脈にセイラさんがいるので、シャア側のバトンを選べばセイラさんが強くなったりします。

家弓 バトンを選択する際は、優先してシャア、そして宇宙の民人脈を選んでいき、ルート選択でティターンズルートを選ぶと“究極のマゾプレイルート”になります(笑)。普通はシャアのレベルを上げていれば、エゥーゴルートでシャアが強いという恩恵を受けられるんですが。自軍側のレベルはほとんど上がらず、それ以上に敵が強くなって……、かなり厳しいですね。社内のテストでも「ぎりぎりクリアできました……」という感じでした。


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