国破れて山河あり――いえいえ、国破れても勝てる方法もございます:「国盗り頭脳バトル 信長の野望」レビュー(1/3 ページ)
コーエーより発売されるニンテンドーDS対応波瀾盤上ストラテジーは、誰かと遊ぶことの楽しさと、勝負の厳しさを教えてくれる得難いソフトである。
さて、戦うとするか……
世の中には相克の関係が成り立つ時がある。それは数の論理であったり、地の利であったり、時代の流れによって簡単に逆転するものだが……。時は戦国時代――群雄割拠の世の中において、ある者は親から子への血の力で権力が委譲され、ある者は下克上の習わしのままに血を踏み越えて上にのし上がっていく時代の話。
ここにひとり、戦国に覇を唱える武将候補がいた。彼の手には、コーエーより発売されるニンテンドーDS対応波瀾盤上ストラテジー「国盗り頭脳バトル 信長の野望」が握られていた……。これは、筆者が戦国の世を切り取る生き様を描いた記録である。
「国盗り頭脳バトル 信長の野望」は、シンプルなルールと直感的な操作で、手軽に国取りの駆け引きが楽しめるボードゲーム。プレイヤーは、戦国時代の大名となり、日本地図に描かれたマスの上で、コマとなる武将たちを動かして、敵勢力と領地を奪い合いながら勝利をめざす。織田信長や武田信玄、上杉謙信など、誰しもが知る有名戦国武将となり、まずはシングルプレイで腕試しをすることにした。
まずは「ひとりであそぶ」を選択し、戦国武将の物語を進めながら遊ぶモードをチュートリアル代わりに遊んでみた。本作には2〜4人でワイヤレス対戦やダウンロード対戦ができる「みんなであそぶ」モードのほか、Wi-Fiコネクションに接続して全国の猛者たちと対戦する「Wi-Fi」モード、そしてゲーム終了時にもらえる「名声」を使って、新規武将を入手する「武将獲得」が収録されている。ちなみに「信長の野望DS 2」との連携からも武将を獲得できる。
「ひとりであそぶ」のシナリオは、初期状態では織田信長しか選択できない。ゲームを進め、クリアしていくたびにシナリオが開放され、武将獲得によって使用できる武将が増えていくという案配だ。シナリオモードは、織田信長、武田謙信、上杉謙信、そして伊達政宗の4つが用意されている。さすが、ゲームタイトルに冠されるだけあり織田信長のシナリオは、序盤は歴史に忠実だ。シナリオもやさしく、ちょっとコツをつかめば評価「S」ランクも夢ではない。
基本的にゲームは、武将のコマを移動させて、領地を制圧し石高を上げるか、城や指定のコマを占領していくことが目的となる。武将コマはそれぞれ「足軽」、「騎馬」、「鉄砲」と兵科が分かれており、武将によって特技を持つ。なお、戦場に出撃させられる武将は「知行」で決まる。シナリオごとに決まっている知行内であれば、最大8人まで戦場に出すことができるが、当然、兵数が多い武将は知行もかかる寸法だ。
武将によっては「切札」と呼ばれる強力な効果が望める能力を持っている者もいる。使用時に7カ月分の収入を得られる「七福神」や、使用ターンは戦力が倍になるがターン終了時に1になる「ど根性」など、「切札」を要する方が、何かと戦場では有利に働くのがお分かりだろう。プレイヤーが知行合算の最大値を超えないよう、どれだけ有益で、どれだけ戦略的に必要と思える武将を選択できるかが、最初の勝負のカギを握るといっても過言ではない。
ゲームがスタートすると、残りターン数と勝利条件を満たすべく、周囲の諸侯に相対さなくてはならない。織田家の場合、まずは領内のお家騒動を収めないといけない。尾張をまとめあげると、今川の上洛、そして岐阜平定、京都上洛、信長包囲網の突破と、怒とうの展開をはねのけなくてはならない。
織田信長シナリオでは前述したとおり、チュートリアルの役目も果たしているため、比較的レベル設定的にはやさしいものも多い。信長の持つ切札「天魔の炎」(=敵勢力のすべてのコマに、戦力の3分の1の被害を与える)や、羽柴秀吉の持つ「切札」である「刀狩」(=自勢力のコマの戦力を1回復し、敵勢力のコマの戦力を1減らす)などを活用すれば、起死回生の大逆転も夢ではない。
そもそも、寡兵で大勢を破るのが戦いの妙だ。本作では、それぞれの武将に設定されている兵科(足軽、騎馬、鉄砲)がまるでジャンケンのような相克関係になっている。足軽は鉄砲に強く、鉄砲は騎馬に強く、騎馬は足軽に強い。逆に相性が悪いといっさいダメージを与えることができないのだ(ただし、数の論理で兵数が多いとその限りではない)。また、コマが敗走することなく戦闘を繰り返していると、コマの「クラス」が1〜3まで上がり、攻撃力が大きくなる。攻撃側の戦力が少なくても、防御側との相性やクラス差によっては逆転も可能というわけだ。もちろん、逆も同じ。プレイヤーは、こうした相性やクラス差を鑑み、用兵に細心の注意を払い、勝利条件クリアを目指す。
1カ月が1ターン。6カ月ごとに評定が開かれる。ここで支配マスの石高に応じて毎月獲得する所持金で城の石高(戦闘ではそのまま防御兵数に反映)を強化し、支配しているコマ(街は足軽、馬産地は騎馬、鍜冶は鉄砲)の戦力強化回数の増減によって、出撃武将の最大戦力を増やすことができる。ちなみに、城はとどまると戦力が1回復し、入城と出陣ができる(クラス上げや遠方への移動などでは、この城への入城を利用し、兵数を回復させ2ターン後に再配置することが可能だ)。港もとどまると戦力が1回復。寺社は、とどまると切札や台風の被害を無効にする。なお、金山や南蛮コマは石高が上がり、金収入があがる。
筆者が織田信長で悪戦苦闘していると、いつしか「ひとりであそぶ」モードの中に、マップやルールを自由に選んで遊べる「戦乱」モードが遊べるようになった。戦乱モードについては後述するが、いつしか筆者は時には同じ兵科ごと移動させ、大軍をもって制圧したり、寡兵でも相性を見て個別に小さく移動命令を出し、数を削って城を落とすなど、こざかしい知恵を得るに至っていた。敵が敗走し、復活してくるまでの3ターン中に領内の城をすべて占領し、お家断絶を狙ってみたり、特技の発動を見極めての華麗な用兵、織田の盟友・徳川のピンチを放置するといった非情な決断もいとわなくなった。こうして、外伝も含めて、織田信長シナリオはすべてクリア。ここに、1人の戦国武将が誕生していた……。
ではここで、後回しにしていた「戦乱」モードに取りかかってみたいと思う。戦乱モードでは、大規模マップと地方マップのどちらかを選ぶことができる。シナリオモードを進めていくと選べるマップが増えていき、最終的に全12種類のマップで遊ぶことが可能だ。
マップを選ぶと、次に大名の「配置」を選択する。史実かランダムか……。史実を選べば、あるべきところに大名が配置されているが、ランダムを選ぶと織田なのに九州にいたり、伊達なのに四国にいたりと、ちょっと驚く結果になる。配置を決めたら、制限ターン15で城数を競う「お手軽」か、30ターン制限で石高を競う「通常」か、50ターンで石高を競う「やり込み」の3つから、「制限」ターンの選択を行う。その後、大名を選んでプレイ開始となる。なお、選択できる大名は、織田、武田、上杉、伊達、北条、毛利、長宗我部、島津の8家からのみとなっている。このルール選択は、対戦でも同様なので覚えておいてほしい。
ちなみに、当然ながら他大名はプレイヤー以外、NPCが担当する。このNPCの存在が対戦でも大きく影響していくのだが……それはまたのお話。
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