まだまだ課題多し!? DSの新サービス「DSvision」の使い勝手を試してみた:日々是遊戯
オンラインで購入した小説やコミック、アニメなどをDSに入れて持ち歩ける新サービス「DSvision」が、7月3日よりスタートした。ということで、さっそく筆者も試してみたのだが……。
最大のネックはコンテンツの少なさ
先日もお伝えしたとおり、7月3日よりam3と大日本印刷が共同で展開する、ニンテンドーDSのコンテンツダウンロードサービス「DSvision」がスタートした。手持ちのニンテンドーDSに小説やコミック、アニメなどをダウンロードして持ち歩ける! ということでさっそくその使い勝手を試してみたのだが、まだまだ課題は多いというのが正直な感想だ。
とりあえず最大の課題は、利用可能なコンテンツの少なさだろう。原稿執筆時点で「DSvision」上で購入できるコンテンツは、小説が9冊、コミックが34冊、アニメが8本と、合計で51タイトルしか用意されていない。無料お試し版などのコンテンツを含めればもう少し増えるが、それでも焼け石に水。作品のジャンルも、小説はすべて新潮文庫、コミックは少年チャンピオン・コミックス、アニメもすべてタツノコ作品となっており、あまりに偏りすぎている。今後サービス開始1年間で、販売タイトル1000タイトルを目指すとのことだが、本格的にコンテンツ販売を考えるなら、少なくとも開始時点でそれくらいはほしい。
またコンテンツの価格は、小説がおよそ300円〜600円、コミックが300円前後、ムービーなら1話だいたい210円といったところ。いずれも本やDVDで購入するよりは若干安めに設定されているが、“実体”のない、あくまで電子データという形態を考えると、これでも高いと感じる人は多いのではないだろうか。加えて利用するためには、最初に「DSvisionスターターキット」(税込で3990円)を購入しなければならないのも、利用のハードルを上げてしまっている。著作物を扱う関係上、いろいろと難しい点はあると思うのだが、せめてmicroSDは市販のものを利用できるようにして、アダプタだけ低価格で販売(欲を言えば無料配布)したりすることはできなかったものだろうか。
――と、いろいろ厳しいことを書いてしまったが、ニンテンドーDSを使ったビューア部分の使い勝手の良さなど、評価すべき部分もある。こうした携帯コンテンツ配信で現在、唯一成功しているのが携帯電話だが、操作性、画面の大きさ、レスポンスの良さなど、「DSvision」のビューアは、そのどれをとっても携帯電話を大きく上回る。特にコミックの見せ方は非常によく考えられていて、ボタンを押す(画面をタッチする)たびに、次のセリフへと画面がスムーズに切り替わっていき、ちょうど読者が見たいところにカメラが先回りしてくれるような感覚。セリフや文字の多いシーンでは、実際の本より読みやすく感じることもあり、このあたりは長年、電子ブックを研究してきた大日本印刷のノウハウが生かされているのではないだろうか。
というわけで、まだまだ課題は多いものの、少なくともコンテンツさえ充実すれば、十分に魅力的なサービスとなる可能性はあるように感じた。個人的にもこうした新しい試みはどんどん応援していきたいと思っているので、今はひとまず、ダウンロードしてきた「ヤッターマン」でも見つつ、今後のコンテンツ拡充を楽しみに待ちたいと思う。
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