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女子中高生が注目するコミュニケーションサービス「POKIPOKI」開発者インタビュー(1/2 ページ)

ハンビットユビキタスエンターテインメントが運営している3Dコミュニティサービス「POKIPOKI」。本作をはどのようにして生まれたのか、開発会社の方々に聞いてきました。

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左からPOKIPOKI運営チーム キム・インドン氏、Neoact代表取締役兼プロデュース担当 キム・ヒョンミン氏、同社企画担当 パク・フンチョル氏

 ハンビットユビキタスエンターテインメント(以下、ハンビット)が運営している「POKIPOKI」は、7月24日に正式サービスが開始された3Dコミュニティサービス。SNS(ソーシャルネットワークサービス)とゲームを融合させているのが特徴で、韓国では2006年からすでにサービスが開始されている。日本では2008年5月20日にクローズドβテストが開始され、7月24日から正式サービスが始まった。日本における「POKIPOKI」の最大の特徴は、ユーザー登録が“招待制”になっているところだ。SNSでは多くのところで採用されている招待制だが、オンラインゲームでは非常に珍しい。そこで今回は「POKIPOKI」の開発元のNeoactと運営チームの方々にインタビューを行った。

招待制で既存サービスと差別化

キム・インドン氏

―― クローズドβテスト開始から約3カ月経ちましたが、ユーザーの反応はいかがですか?

キム・インドン氏 ユーザーの反応はかなり良いので、手ごたえを感じております。日本では、ゲームとしてではなくコミュニティサービスとしてユーザーにアプローチをしています。クローズドβテストのときから招待制を導入していたのですが、参加したユーザーが他の方たちを招待してくれないと、ユーザー数が増えないので不安はありました。ですが、よい反応をいただけているので、大変うれしく思います。

―― 韓国版「POKIPOKI」も招待制で運営されているのですか?

キム・ヒョンミン氏 いいえ。韓国では実施しておりません。日本独自の形態になります。

―― 日本版を招待制にした理由はなんですか?

パク・フンチョル氏 日本で「POKIPOKI」の導入を検討した際、日本のオンラインゲーム市場における広告による効果というのが底付きの状態だったんですね。広告を出してもあまり効果がないんです。「POKIPOKI」の強みは、充実したコミュニティ機能に加えてゲームも遊べるというところなので、一番効果的なPR手法はユーザーの“クチコミ”だと考えました。それをより生かすために、招待制にしました。また、招待制にすることで、最初から自分の知り合いと遊べるので、ユーザーに安心感を持って利用してもらえるようにするという狙いもあります。

―― 日本版と韓国版に違いはありますか?

キム・ヒョンミン氏 招待制を行っているかどうかの違いはありますが、コミュニティサービスの基本的な部分では、日本版と韓国版に大きな違いはありません。ただ、日本のみなさんには安全なものをプレイしてもらいたいため、韓国で十分検証されてからアップデートするようにしております。そのため韓国のほうが、大きなバージョン1つぐらい進んだものが実装されています。一方で、日本の運営チームから安全性や健全性をよりよくしたいとの要請を受けているので、それを取り入れ、日本のユーザーに合わせて開発を進めております。

キム・インドン氏 「POKIPOKI」には、仲のよい友達同士が“パートナー”になれるというシステムがあるのですが、韓国では異性としか組めないところを、日本では性別を問わずにパートナーになれるようにしております。いわゆる“出会い系”と間違われてしまうと、ユーザーに安心して利用していただけないので、日本では性別の制限をなくしました。

―― 日本専用コンテンツが作られる予定はありますか?

キム・ヒョンミン氏 アイテムやミニゲームなどを考えております。7月24日から8月12日にかけて行われた「夏だ! 納涼セットプレゼント」イベントの景品アイテムで、浴衣と甚平、うちわが実装されています。今後もどんどん追加していく予定です。

ユーザー層の多くは女子中高生

―― ユーザー層の傾向について教えてください。

キム・インドン氏 日本の「POKIPOKI」のユーザーは、中学生や高校生の女性が多いのが特徴ですね。

―― 一般的なオンラインゲームでは男性ユーザーの比率が高いことが多いと思うのですが、女子中高生が多いというのはとても珍しいですね。

キム・ヒョンミン氏

キム・ヒョンミン氏 オンラインゲームのユーザー層はコアユーザー化が進んでしまっているので、既存のゲームと差別化して大衆向けのものを作ろうというところから始まりました。企画段階で、ゲーム以外に既存のコミュニティサービスについて分析したのですが、サイトに入ってもしゃべること以外にやることがないのですぐに飽きてしまうんですよ。オンラインゲームほどハードルは高くないが、興味や楽しさを維持できるほどの求心力はないのです。それなら、コミュニティサービスにゲームを付加して、サービスのなかで話題が作れるようにすれば、おもしろいんじゃないかということになったのです。

―― 本作がMMORPGではなく、3Dコミュニケーションサービスとされているのも、女子中高生というターゲット層を意識しているためなのでしょうか?

キム・インドン氏 そうですね。普段、ゲームに馴染みがない人たちは、オンラインゲームという言葉にハードルが高いなどのネガティブな印象を持っているのではないかと思います。できるかぎりネガティブな印象を薄くするために、「POKIPOKI」ではオンラインゲームやMMORPGだとは言わないようにしております。ゲーム内の用語も、なるべくオンラインゲームの印象を受けないものにしようと心がけました。例えば、MMORPGでは“クエスト”という単語は一般的ですが、ゲームにあまり触れたことがない人にとってはどういうものなのかまったくわかりません。そのため、本作ではいわゆる“クエスト”を“おしごと”というようにしました。

―― ゲームに馴染みのない女子中高生がメインターゲットということですが、どのようなところに気をつかって開発をされたのでしょうか。

パク・フンチョル氏 “気軽”に遊べるようにするというのもありますが、第1は誰でも“安全”に利用できるようにするために開発しています。安全性を確保することは必要不可欠だと考えております。

―― 女子中高生のユーザーが多いことで大変だったことはなんですか?

パク・フンチョル氏 大変だったのは、私たちオンラインゲームの開発者があたり前のことだと思っていたことが、通じないということです。用語やゲームの機能を分かりやすくしないといけませんでした。

キム・インドン氏 オンラインゲームでは分からないことがあれば問い合わせ窓口に質問するというのが一般的ですが、それを知らないため、どこで聞けばいいのか分からないというユーザーがかなりいました。そのため、まずは問い合わせ窓口まで誘導するというところから始めなければいけませんでした。ユーザーからの問い合わせの内容も「クライアントってなんですか?」や「始め方が分かりません」というような、ゲームで遊ぶ前の段階でつまづく方もいました。そのため、サービスを始めてから2週間は、基本的な部分をフォローするためのサポートに追われました。今では、そういった導入するまでの質問は減ってきていて、ゲーム内での質問が増えてきています。また、公式サイトの一言掲示板に投稿された質問に対して、親切なプレイヤーが丁寧に説明してくれたりと、ユーザーの協力していただいているので、とても助かっています。一言掲示板で回答してくれる親切なプレイヤーには、何かしらのポイントを支給したり、親切な人ランキングなどを作ってみては、という意見も社内であがっています(笑)。

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