ある意味リアルなウォーシミュレーション? 「ボコスカウォーズ」:ゲイムマンの「レトロゲームが大好きだ」(1/2 ページ)
連載第65回はアスキーの「ボコスカウォーズ」。ファミコン初期にPCから移植されたゲームですが、プレイヤーによって評価が両極端に分かれるようです。Wiiのバーチャルコンソールなどで入手できるので、皆さんも一度プレイして、ご自身の目で評価してみてはいかがでしょうか?
1985年12月14日の偶然
ずいぶん長いこと、ファミコンのゲームを取り上げてないことに気がついた。そこで今回は久しぶりにファミコンゲーム。リクエストの多かったアスキーの「ボコスカウォーズ」を取り上げてみよう。
以前、「ファミコン初のRPGは『ハイドライド・スペシャル』」と書いたことがあったが、それに関して読者の方から、こんなメールをいただきました。
「ファミコン初のRPG論争ですが、元祖はたしか『ボコスカウォーズ』だったと思います。一応ストーリー性もあり? その後のRPGの発展に少なからず影響を与えたのではないでしょうか? 現在の見方としてはRPGより、SLGとして分類されるようですが、発売当時は確かにRPGを名乗っていたはずです」
確かにボコスカウォーズのパッケージには、“二味ちがうロールプレイング”と書かれていた。ファミコン版の発売日は1985年12月14日。1986年3月18日発売のハイドライド・スペシャルより早い。
くしくも、“スクロールRPG”と銘打っていた「頭脳戦艦ガル」(その実体は、自機がパワーアップするシューティングゲーム)と、まったく同じ日に発売されている。
先のメールにもある通り、ボコスカウォーズはRPGというより、どちらかといえばウォーシミュレーションだ。マップ上で部隊を操作して、敵の部隊と戦うゲームである。
ただし、そもそもRPGの原点であるテーブルトークRPGは、ボードのウォーシミュレーションゲームが元になって生まれたものだ。RPGの元祖である「ダンジョンズ&ドラゴンズ」では、戦闘時にボードを使うこともできた。だからボコスカウォーズを“ファミコン初のRPG”と言っても、間違いではないかもしれない。
RPGっぽいファンタジー世界が舞台となっていることも考えると、後の「ファイアーエムブレム」(任天堂)などの“シミュレーションRPG”の原型と言えなくもない。
ウォーシミュレーションとしてもかなり早い。ファミコンではもちろん第1号だし、PC版が発売されたのも「信長の野望」(コーエー)のちょっと後くらい。何と「三國志」(コーエー)、「大戦略」(システムソフト)より早かったのだ。
剣と魔法の世界が舞台
バサム帝国の暴君オゴレスに、国を滅ぼされたスレン王。兵士たちは魔法で木や岩に変えられてしまい、スレン王はひとりぼっちに。しかし、ある日出会った魔女が、その魔法を解く方法を教えてくれた。スレン王は単身、バサム城へ向けて進撃を始める。はたして無事に兵士たちを助け出し、オゴレス王を倒すことができるだろうか?
スレン王と兵士たちを操作して、バサム帝国軍と戦いながら、城への600メートルの道を進み、オゴレス王を倒すのがボコスカウォーズの目的だ。100メートルごとに壁で区切られていて、その前後でフィールドの様子が変わるので、全6ステージと考えられる。ちなみにこの壁を崩せるのはスレン王だけだ。
最初はスレン王ひとりしかいないが、道の途中にある木や岩、レンガの中には、兵士が変身させられているものがあり、それらに触れると彼らを元の姿に戻せる。
兵士には、騎士と兵卒がいる。騎士は攻撃力が強く、また牢屋に捕らわれた兵士を救出できる。だが人数が少なく、100メートルあたり2人しかいない。一方、兵卒は弱いが、人数が多い。牢屋にいるのは全員が兵卒。1カ所牢屋を突破するごとに、味方が5人も増えるから、兵卒といえども大きな戦力になる。
スレン王とその兵士たちは、勝つごとに強さが10上がる。弱い兵卒でも、戦いで勝ち残れば強くなっていくのだ。
さらに、兵卒は3回勝つと重兵卒に、騎士は3回勝つと重騎士に昇格し、それぞれ強さが80も上がる。こうなれば兵卒でも戦力として期待できるし、騎士が重騎士となれば、滅多なことでは負けなくなるだろう。
スレン王自身も戦いを繰り返せば、最初220だった強さが、320までアップする。ただ、スレン王は将棋の王将(玉将)と同じで、敵に倒されると即ゲームオーバーなので、うかつに戦闘させられない。
ボコスカウォーズでは、兵士を動かす手段も独特だった。同じ種類の兵士が軍団を組んでいるという設定なのか、同種の兵士が一斉に動く。兵士ひとりひとりを、個別に動かすことができないのだ。AボタンかBボタンで、動かす兵士を“全員”“スレン王のみ”“兵卒全員”“騎士全員”に切り替えられる。
それでも一斉に動いてくれればまだいいのだが、動き始めのタイミングにズレがあり、隊列がどんどん乱れていく。大人数を動かすときには、兵士が途中で木や岩などに引っかかっていないか、頻繁に確認しなくてはならない。
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