戸越銀座ショウ2008(略してTGS2008)開催です――「勇者のくせになまいきだor2」記者イベント
悪ノリしてこその「勇なま」。10月17日、戸越銀座商店街にある戸越銀座温泉で、戸越銀座ショウ2008(略してTGS2008)と称するイベントがひっそりと行われた。魔王もひとっ風呂浴びてます。
戸越銀座商店街も、略すとTGS(Togoshi Ginza Syotengai)です
品川区豊町から戸越、平塚にまたがる、総延長で約1.6キロにも及ぶ直線距離で構成される戸越銀座商店街にある戸越銀座温泉は、銭湯ペンキ絵を継承する天然黒湯が楽しめる近代的ながら昔懐かしい雰囲気もある地域のコミュニケーションの場となっている。しかし、今日はなにやら怪しいことこの上ない雰囲気が……。どうやら本日は魔王によって貸し切りになっているらしい。……魔王も温泉に入るの?
10月16日、ソニー・コンピュータエンタテインメントよりPSP用ソフト「勇者のくせになまいきだor2」が発売された。その翌日となる10月17日、その発売を記念したプレス向けイベントが行われた。プレス破壊神として呼ばれた筆者は、商店街の魔力に負けることなくなんとかたどりついてみると、湯上がりの一杯のコーヒー牛乳ならぬ、「苔ジュース」(中身は青汁)で出迎えられた。……エット、マズイデス。
「勇者のくせになまいきだor2」は、プレイヤーが破壊神となり、穴を掘ってダンジョンを構築。魔物の生態系を維持・発展させながら、「なまいきな勇者」を倒すのが目的のゲーム。前作の「勇者のくせになまいきだ」は、独自の世界観が人気で、約15万本の出荷を記録している。
続編では、ステージ数が約4倍、魔物数が約3.3倍、勇者数が約2.5倍とボリュームアップしただけでなく、突然変異システムを実装し環境に応じた変化を盛り込んでいる。突然変異によって巨大化したり、異常化したり、レア化したりと、奥深いゲーム性を追求した。さらに、勇者侵入禁止の生態系観察モード「魔王の部屋」を追加したことで、心ゆくまで魔物たちの生態を見ることができるようになった。
イベント会場は、戸越銀座温泉の雰囲気を微妙に生かしながらも、間違い探しのように「勇なま」テイストのお遊びを加えたポスターなどが貼られていた。そのぐずぐず感はまさに「勇なま」の世界観そのまま。全体的にゆるやかな時間が流れている。
今回のイベントに登壇したのは、ソニー・コンピュータエンタテインメントよりプロデューサーの山本正美氏とアクワイアよりディレクターの大橋晴行氏の両名。本作より、なまいきな勇者の新スキルとして追加されたベイトトラップ(魔物が食べると「毒状態」や「即死」「体力回復」などの効果が発生する)の「肉」と「ちくわ」を前にしてのトークセッションとあいなった。
トークセッションは、「世界は『勇者のくせになまいきだor2』に何を求めるのか」とちょっと堅めなテーマについて。まずは、数多くあるタイトルの中で「勇なま」が選ばれた理由と、なぜ好かれたかが最初の議題となった。
山本氏は、内容もゲーム性も類をみない独自性に注目が集まったと分析し、「モンスターハンター2nd」のような遊びごたえあるゲームと、短時間でさくさくできる本作とが共存できた点が大きく、「2匹目のどじょうというより、別の生き物として認知された」ことが人気につながったと説明する。それに対して大橋氏も、短い時間をつぶす行為の選択肢の1つとして認知されたのでないかと推測した。
パロディーがふんだんに盛り込まれている点について触れ山本氏は、どこをどれくらい押さえるべきかで胃を痛めたと、いかに見て見ぬふりができるかがキモだったと振り返る。大橋氏は、それらのパロディーすべて含めて、誰しもが持つ共通体験をさらに共有できる横のつながりを感じたと、コミュニケーションが促進されたと分析した。
マニュアルの冒頭にもあるとおり、本作にはビオトープの概念が根底に流れている。開発者としての狙いとファンのユーザビリティの合致について聞かれた2人は、そもそもが小さな生態系を守っていくということをゲームに落としこめないかとしてスタートした企画だったと本作を紹介。2人は、小さい命を大切にするということが伝わればと語る。
また、前作から大幅にパワーアップしたことで、何を感じてもらいたいかについて聞かれた大橋氏は、「勇者を文化・文明、魔物を自然という意味あいをこめた。魔王が自然を取り戻すということです。しかし、それを前面に出すと魔王が魔王じゃなくなるので、お茶を濁しています。今の文明に対するアンチテーゼですね。自然を侮るな。魔物の種類が増えたのも、変異するのも生物が生き残るしぶとさを表現しています」と、実は真面目なメッセージをこめていると解説した。
変異の失敗によって生まれるピュア種については、淘汰される種としてそれが生まれることで危機感をユーザーに伝えたかったのだそうだ。
山本氏は大橋氏に、「or2」で要素をすべて出し切った感があるが、次はどういう方向にするのかと、早くも次回作について切り出す場面も。大橋氏は「次あるの?」ととぼけてみせるも、山本氏曰く「有名なゲームは3まであるじゃないか」とのこと。どうやら次回作も期待していいのかもしれない。大橋氏は「薄らボンヤリ考えてみます」と答えるにとどまっていた。
なお、トークショウの中、追加コンテンツの配信が決定したことも発表された。その第1弾として今作から登場した魔王のムスメをフィーチャーした「ムスメのはんこうき(仮)」の製作が快調に進んでいるとのこと。また、公式サイトではホリホリ動画祭と称した「SPECIAL HORI SITE」が公開されている。思わずガックリくる動画コンテンツが楽しめるのでぜひともご覧いただきたい。
イベントの最後は、魔王再誕記念のくす玉でお祝いすることに。天井ぎりぎりに設置されたくす玉を山本氏と大橋氏が割ろうとすると、「SPECIAL HORI SITE」にも登場する橋爪としひろクン(橋本利博氏/コンドルズのメンバーであり、歌舞伎町ゴールデン街でバーのマスターも務める)が乱入し、勝手にくす玉を割るという、これまたぐずぐずな展開に。どうやら偶然温泉に来ていたのだとか……。さすが「勇なま」クオリティである。こうして、よく分からないうちに、めでたくなったところでイベントは幕となった。
イベントの帰り道、命の大切さを心に「or2」で勇者に挑むも全滅するという憂き目にあったのはナイショだ……。
「勇者のくせになまいきだor2」 | |
対応機種 | PSP |
ジャンル | ダンジョン・マネージメント |
発売日 | 2008年10月16日 |
価格(税込) | 3980円 |
CERO | A(全年齢対象) |
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