ボードゲームとカードゲームの絶妙なコラボ――対人戦で魅力が広がる「カルドセプト」最新作:「カルドセプトDS」レビュー(2/3 ページ)
ダイスの目に一喜一憂しながらマップを進む楽しみ、だんだんとカードが集まっていく楽しみ、ブックを編集してオリジナルの戦法を編み出す楽しみ……。そして対人戦の相手がいれば、楽しみは無限に広がる!
魔力を稼ぐための手段はいろいろとある。まずは、単純にマップを周回するだけでもボーナスが入る。大事な収入源である。セプターは誰の土地でもない土地に止まったら自分の手札からクリーチャーを出して自分の土地にすることができる。この土地に別のセプターが止まったら、通行料を支払うか、戦闘をするかを選択しなくてはならない。通行料は初めの方こそかわいいものだが、プレイの進行に伴ってどんどん通行料をひきあげることができるので、後半では払いたくない額にまではねあがったりする。
それぞれが土地を確保し、通行料を上げ、止まった敵セプターから魔力を奪う。これがバッチリ決まると実に気持ちがいい。しかし、止まった側だってただただ魔力を奪われるだけではない。戦闘を仕掛けて勝利すれば、通行料を払わずに済み、その土地を奪えるのだ。
クリーチャーカードには火属性、水属性、地属性、風属性、無属性という5つの属性と、人族、獣族、竜族、植物族、不死族という5つの種族がある。クリーチャーごとに属性と種族があり、ST(攻撃力)、HP(耐久力)という数値がある。さらにクリーチャーによっては特殊な能力を持っている者も多く、ある属性の攻撃を無効化する、ある種族に強打する(ダメージ1.5倍)など、相性のよしあしがあるのだ。
実際の戦闘の際は、これに加えてアイテムカード(STやHPを上げたり、攻撃を無効化するなどの特殊効果がある)の使用ができるので、より深い駆け引きができる。相手はこの戦闘に対してアイテムを使ってくるのかこないのか、使ってくるとすればどのアイテムか……お互いにそれを読み合いながら、戦闘に臨む。思惑があたったときのニヤリとしてしまう感覚がたまらない。クリーチャー同士の戦闘こそが、本作の要だと言っていいだろう。
また、ダイスを振る前に使用するスペルカードの存在も重要だ。スペルカードとはダイスの出目をコントロールしたり、土地の属性を変えるなど、戦局を大きく動かすさまざまな効果を持っている。例えば「ホーリーワード6」というカードは次の出目を必ず6にするカード。自分が通行料の高い土地を回避するために使ってもいいし、敵セプターの止まっているマスからちょうど6つ先に止まってほしいマスがある場合に、敵に使ってもいい。ここぞというところで効果的に使えば、ピンチをチャンスに変えることができるはずだ。
セプターはこれらクリーチャーカード、アイテムカード、スペルカードを駆使してマップ上を周回していく。50枚で構成されたブックには同じカードは4枚しか入れられず、よくシャッフルされた状態から自分のターンが来るたびに1枚をドロー(山札からひいて手札に加えること)するので、必ずしも使いたいカードが使いたい時にあるとは限らない。逆にカードの回り具合がよければ、強力なコンボが発動したり、勝てなそうなクリーチャーにも勝てたりする。
ダイスの出目とカードの引きという2つの運の要素が絡んでくるので、運と戦略の比率で言えば、運の方が大きいように思うかもしれない。しかし、優秀なブック構成や的確なプレイングは確実に勝率を上げてくれるはずだ。勝利を目前にしながら、敵のたった1枚のスペルカードで予定が狂わされ、逆転されてしまう、なんてこともよくある。最後の最後まで油断ならない絶妙なバランスが、10年間愛されてきたゆえんだろう。
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