世界中のリビッツと一緒にジャ〜ンプ!――自由度無限大、何でもありのアクションゲーム:「リトルビッグプラネット」レビュー(1/2 ページ)
「リトルビッグプラネット」って何だ? 端的に言えば横スクロールのアクションゲームだ。しかし、単なるアクションゲームと思うなかれ。自由にステージが作れて、自由に世界中とつながる。そう。ここには、なんというか、自由があるのだ。
温故知新? PS3で横スクロールのジャンプアクションを
横スクロールのジャンプアクションゲームといえば、みなさんは何を思い出すだろうか。さあ、挙手してタイトルを言ってください!
「スーパーマリオ」シリーズ! うんうん。そうですね、定番ですね。「ソニック」シリーズ! うんうん。スピード感が爽快ですよね。 「ロックマン」シリーズ! うんうん。難易度の高さがたまりませんね。「マイティボンジャック」! おっと、かなり懐かしいですね。「忍者じゃじゃ丸くん」! これまた、渋いですね。久しぶりにやりたくなってきました。
とまあ、いったいどういうシチュエーションで誰が挙手しているのかは置いておいてゲーム好きであれば、それぞれにジャンプアクションの好きな作品はあることと思う。そしてこれからは「リトルビッグプラネット」! と手を挙げる人も増えるのではないだろうか。ソニー・コンピュータエンタテインメントから発売された「リトルビッグプラネット」は、ざっくりと言ってしまえば、横スクロールのジャンプアクションゲームなのである。
PS3の高機能を生かしたアクションゲームといえば、美麗な3D空間を自由に動き回れるタイプのものが多い。「最新ハードであえて横スクロールアクションの新作?」と思っている人もいるかもしれない。しかし、本作は温故知新のジャンプアクションゲームでありながらも、最新環境だからこそ楽しめる要素が詰め込まれた、とびっきり面白いゲームに仕上がっている。
新たなアクションゲームの地平を切り拓く「リトルビッグプラネット」の世界をご紹介しよう。
操作はいたってシンプルなのです
本作には、地球のみんなのイマジネーションが宇宙の先まで飛んでいって摩訶不思議で夢のような惑星“リトルビッグプラネット”ができあがった――という大まかな設定がある。要はリトルビッグプラネットの世界では「何でもあり」なのだ。プレイヤーの分身である“リビッツ”は、全長7センチの不思議な生き物。最初は茶色いぬいぐるみのようなシンプルな姿をしているが、プレイヤーのカスタマイズで自由に見た目を変えることができる。
本作を初めてプレイする際には、オープニングステージが用意されており、ナレーション付きの丁寧すぎるほどに丁寧なチュートリアルが行われるので、どんなにゲームに疎い人でも、操作に戸惑うということはないだろう。しっかりと操作を覚えた頃にようやくタイトル画面になる、という演出は、ゲームの導入としてなかなか面白い。
タイトル画面のあとは“ポッド”と呼ばれる画面になる。ポッドとはリビッツが乗っている宇宙船のことだ。ここで画面中央下にあるポッドコンピュータ(PS3のコントローラそのもの?)を操作して、惑星に移動することができる。
惑星は大きく分けて3つある。“リトルビッグプラネット”、“インフォプラネット”“ぼくの惑星”だ。ステージで遊びたい場合はリトルビッグプラネットを選択するといい。リトルビッグプラネットの中には“ストーリー”、“クイックマッチ”、“コミュニティ”があるのだが、オフライン環境の場合はストーリーを選ぼう。
いざゲームが始まると、リビッツを動かしてステージをクリアしていくことになる。ステージでの操作は驚くほどに単純明快だ。左スティックで移動し、×ボタンでジャンプ、R1ボタンを押すとステージ上のものをつかみ、押しながら移動することでものを動かすことができる。ステージの仕掛けを解いたり利用したりしながら先へ先へと進み、ステージ上の大小さまざまなバブル(アイテムやリビッツ用コスチュームが入っているものもある)を取りつつ、ゴールへと向かっていく。基本的にはこれだけなのだ。
あまりのシンプルさに「そんな単純な内容だと、単調なステージばかりで飽きてしまうんじゃないの?」と考えるコアなユーザーもいるかもしれないが、そこは安心してほしい。操作はシンプルでも、アクションやちょっとした謎解き要素のバリエーションは相当に豊かで、先に進めば進むほど面白い仕掛けが盛り込まれ、確実に難易度が上がっていく。また、難易度が上がると言っても理不尽な難しさではなく、何度かゲームオーバーになって学習してコツをつかんで進めるくらいの、いい感じの難しさなのだ。アクションゲーム好きを唸らせる絶妙なバランスだと言っていい。
ステージ上のチェックポイントがこまめに設定されているのもうれしい。リビッツが力尽きてリトライすることになっても、割と近くのポイントから始められるので、「またここからかよ〜」とうんざりさせられることがない。あくまでもユーザーフレンドリー、でも一筋縄ではいかない。そんな楽しいステージの数々が用意されている。ステージでどれだけアイテムを集めたかなどの要素がコレクター心をくすぐるので、何度も同じステージをプレイしてやり込めるようになっている。
そして本作について特筆すべきは、やはりそのグラフィック。CGだと分かってはいても、実写なんじゃないか? と疑いたくなるような見事に立体的な質感のオブジェクトやキャラクターたちは、暖かみがあって時に奇妙で時に愛らしい。その優れたデザインはプレイヤーをきっと虜にするだろう。横スクロールアクションではあるけども、けして2Dなわけではなく、しっかりと美麗な3D描写なのだ。3Dであるがゆえに、横スクロールアクションには珍しく奥行きの概念が存在し、奥や手前への移動ができる点もユニーク。奥行きがゲーム性にも直結していて、本作独特の面白さを作り出している。
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