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日本のゲーム会社は“島国根性”を捨てよ――iPhone・Facebookアプリで世界へOGC 2009

iPhoneやFacebook向けアプリは、中小のゲームメーカーでも世界展開できるチャンスだ。だが英語への苦手意識と“島国根性”が邪魔し、参入する企業が少ないという。

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 中小のゲーム開発会社にとって、「iPhone」やSNS「Facebook」は、新たなビジネスチャンスをつかめるプラットフォームだ。実績の少ないベンチャーでも、自社のゲームアプリを世界に向けて配信でき、ユーザーから直接対価を得られる。

 コナミ出身の南雲玲生社長が運営するゲームベンチャーのユードーは、App StoreやFacebookでゲームやアプリを配信。App Storeで公開したアプリは、3カ月で有料・無料合わせて250万回ダウンロードされたという。

 だがユードーのように身軽に世界展開する日本のゲーム会社は少ない。英語への苦手意識や“島国根性”が邪魔をしていると、ベンチャー共同創業・経営支援会社の赤羽雄二マネージングディレクターは指摘する。

 「OGC 2009」のパネルディスカッションで、南雲社長と赤羽さんが議論。ゲームジャーナリストの新清士さんがモデレーターを務めた。

「iPhoneやFacebookは事業価値がある」と南雲社長

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南雲社長

 「iPhoneやFacebookは魅力的で、事業価値のあるプラットフォーム」と南雲社長は強調する。iPhone・iPod touch向けアプリをダウンロードできる「App Store」ではギターやピアノなど楽器演奏が楽しめるアプリを、Facebookではリズムゲームを作って投稿できるアプリを配信している。

 App Storeで公開したアプリの中には、日本よりも米国の方がダウンロード数が多かったものもある。2003年のユードー設立当初、事業の中心はゲームの受託開発だったが「App StoreやFacebookならユーザーから直接お金をもらえる」と南雲社長は魅力を感じている。

アプリ参入を妨げるもの「英語の苦手意識と“島国根性”」

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ユードーのiPhoneアプリを見せる新さん

 ユードーがApp Storeに参入しようと決めたのは2年ほど前。App Store登場前だが「『iPodに音楽アプリを入れたい』という話をスティーブ・ジョブズにしたい」と考え米Appleを訪問したという。

 ジョブズ氏には会えなかったが、Apple社員に会って「面白いけど、まだ早いね」と言われたという。いずれはApp Storeのような仕組みが発表されるだろうと予想し、開発を進めてきた。

 「思い付いたときに、とりあえずやってみた方がいい。iPhoneアプリの準備を今から始めるのでは遅い。Facebookは今が最後のチャンス。Android端末向けアプリなら、3月までに準備すべき」(赤羽さん)

 だがiPhoneやFacebook向けアプリに積極的に取り組む日本のゲーム会社は少ないという。「iPhoneやFacebookアプリを始めると決めたとき、ほかのゲームクリエイターからは『何でそんなことをやるのか』と言われた」と南雲さんは明かす。

 日本のゲーム会社が消極的な理由の1つとして「英語に苦労しているのでは」と新さんは指摘する。

 赤羽さんは「日本人には、英語の苦手意識と“島国根性”があって、どうにもならないほど不利な状況だ」と漏らす一方、「日本のゲーム会社は、企画力、デザイン、ユーザーインタフェースなど良いものを持っている。もうちょっと外に目を向けてみてはどうか。Facebookには月間1億5000万人のアクティブユーザーがいるのだから」とエールを送る。

 ユードーの場合は、「私自身は英語が全然ダメだけど、日本人以外の社員が2人ほどいるので」(南雲社長)英語のハードルが低かったようだ。

Facebookのアプリは「酒のさかな」「刺身のツマ」

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赤羽さん

 ユードーのiPhoneアプリの開発期間は1週間〜1カ月。アプリのキャラクターや色使いが、海外ユーザーの好みに合うよう心掛けて開発しているという。

 Facebookでアプリを広く使ってもらうためにはどんな工夫が必要だろうか。赤羽さんは「まずは米国のユーザーをターゲットに作ることをお勧めする。日本向けに作ったものを世界で売るのは難しい」とアドバイスする。

 赤羽さんは「Facebookのアプリはゲームではなく、コミュニケーションツールだと思った方がいい」とも指摘。「Facebookユーザーにとってアプリは、酒のさかなや刺身のツマのようなものだが、ゲームをばりばり作っている人がそう思えるだろうか。Facebookアプリをゲームと思わないで作ることに、心理的な壁がある」とみる。

月300万円、アプリで稼げ

 中小のゲーム会社の現状について、赤羽さんは「ほとんどが受託開発しており、“カツカツ”な状況でやっている。海外の企業が伸びてくれば、さらに疲弊し、リスクが大きい状態になるだろう」と指摘する。

 景気が悪化していることもあり、ベンチャーキャピタル(VC)からの出資も見込めないという。「VCが今、投資するとすれば環境技術分野。ゲーム会社は、VCと話すのは時間の無駄だと思ったほうがいい」(赤羽さん)

 受託開発中心のゲームベンチャーが経営を安定させる方法として、赤羽さんはアプリ開発を勧める。「受託を続けながら、数週間頑張ってアプリを作り、月に300万円ほど稼ぐ。大企業にとってみれば何にもならない額だがそれでいい。そうすれば、VCなどが出資してくれる確率が高まる」

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