「メタルスレイダーグローリー」が600Wiiポイントで買える!:ゲイムマンの「レトロゲームが大好きだ」(2/2 ページ)
中古価格が高騰し、プレミアソフトとして有名だったHAL研究所の「メタルスレイダーグローリー」。私もなかなか買う踏ん切りがつかなかったのですが、Wiiのバーチャルコンソールで入手可能となったのでプレイできました。良い時代になったものです。
建物をじっくり探索する中盤、緊迫感ある戦闘が展開される終盤
こんな感じで明るく物語が進んでいくのだが、ある事件を転機にガラリと様相が変わる。
今でもプレイできるアドベンチャーゲームなので、あまり詳しくは書かないが、切迫した状況の中、新たな仲間たちとともに(仲間が増えない場合もある)、別のスペースコロニーにある建物を探索することになる。人々との会話で進んできた序盤から一転。ひとけのない迷宮と化した建物の通路を、ひたすら歩いて探すのだ。建物の構造をいち早く把握しないと迷ってしまい、どの部屋に行ったのか分からなくなる。
過去のデジタルコミック的ゲームや、もっとさかのぼればゲームブック(「火吹山の魔法使い」など)にも途中で迷宮の出てくる作品はあったが、メタルスレイダーグローリーの場合は各部屋に入って、部屋の中にある物を指さして調べることができる。
要はファミコン版「ポートピア連続殺人事件」の虫眼鏡システムなのだが、エリナがいちいちその場所まで行って、たたいて調べるのがおもしろい。
それぞれの部屋は似ているが、中にある設備が少しずつ違う。アイテム以外にも、かつて使われたメタルスレイダーの資料など、ストーリーには影響しないものの、世界観を感じさせる情報が良く見つかる。
物語終盤では戦闘シーンが中心となる。アクションゲームではないが、もたもたしてると敵がどんどん近づいてきて、ミサイルを撃ってくるので状況が不利になる。急いで行動を決めなくてはならない。
終盤での忠は、序盤とは打って変わって、メタルスレイダーの搭乗者として積極的に行動。人間的な成長を感じさせる。最後には、残っていた謎も忠が(というかプレイヤーが)解明。緊迫感を保ったままエンディングに流れ込む。
序盤の聞き込み調査、中盤の迷宮探索、そして終盤の戦闘シーン。展開に変化があって飽きさせない。メタルスレイダーグローリーは、単にグラフィックの良さと女性キャラの魅力だけで成り立っているゲームではなかったことを、今回プレイして実感した。
ちなみに、わたしのプレイ時間は6時間ほど。コロニーで長時間迷うようなことさえなければ、多分もっとスムーズに終えられるだろう。もしわたしが、このゲームを数万円出して買っていたら、コストパフォーマンスが気になっていたかもしれないが、600Wiiポイントであればリーズナブルだと思う。
数万円出して買う人なら、プレイ時間の長さを気にすることはないと思うけど……。
2008年に新たな展開が
ごく初期のテキストアドベンチャーを除けば、アドベンチャーゲームには大きな絵が必要となり、その分、データ量がどうしても大きくなる。
メタルスレイダーグローリーのデータ容量は、ファミコン唯一の8メガビット。スーパーファミコンの「スーパーマリオワールド」や、メガドライブ「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」の2倍だ。
グラフィックだけではなく、音にも凝っている。登場人物がしゃべることはないけれど、BGMはいいし、効果音もリアル。
音といえば、メタルスレイダーグローリーのドラマCDが、現在発売されている。
発売日は何と、2008年7月24日! つい最近である。声優も、宮野真守さん、柚木涼香さん、田村ゆかりさん、今井麻美さん、折笠富美子さんなど、旬な声優陣というか、もしゲーム発売後まもなくドラマCD化されてたら、キャスティングされてなかったであろう方々ばっかりだ。
バーチャルコンソールで配信されているとはいえ、もともとは1991年のゲーム。17年も後にドラマCD化されるなんて、さすがに異例中の異例だ。それだけ根強いファンが存在することの証明といえるだろう。
最後はネタに走ってみました
……さて最後に、また余計なネタをつけ加えるとするか。
メタルスレイダーグローリーで美しく描かれているのは、何も登場人物だけとは限らない。背景も実に細かく描かれているのだ。そこで、そうした背景のグラフィックを、よく似た現実の風景と比較して、描き込みのすごさを実感してみよう。
まず、地球上での忠の作業所前。まっすぐな海岸に沿って道路が通っている。小さな丘が海に突き出しており、そこが宇宙行きのエアポートになっている。
この景色が、湘南の鵠沼(くげぬま)海岸に似てるような気がしたので行ってみた。国道134号線から江の島を眺めたら同じような風景になるんじゃないかと思ったが、道路と海岸の間が意外にあいていて、道路から海を見ることはできなかった。
それと、往復3キロくらい歩いてみて気づいたが、ここだと島が大きく見えすぎる。茅ヶ崎のサザンビーチのあたりなら、ちょうどゲーム画面に似た景色が見られるかもしれない。
続いて、エアポートから忠たちが乗ったスペースシャトル。現実のスペースシャトルとは異なり、外部燃料タンクを持たず、離陸時には滑走路を使う。この世界では環境保護のため、油脂燃料の使用が禁じられており、使えるのは水素か太陽電池。離陸方法が違うのはそのせいだろうか?
実際、北九州市のスペースワールドで、ディスカバリー号の実物大レプリカを見てみると、外部燃料タンクがあることで、見た目の印象がゲーム内のシャトルとだいぶ違っていることが分かる。余談だが、スペースワールドが開業したのは、メタルスレイダーグローリーが発売される前年の1990年だ。
それから、スペースコロニーの居住区。見渡す限り続いている、広くて長い中央通路の真ん中に、巨大な木が生えている。さらにその木にはイルミネーションがまたたいている。
これと良く似た風景を見たことがあると、記憶の糸をたぐっていったら、横浜のクイーンズスクエアに行き当たった。何年か前に撮った写真には、巨大なクリスマスツリーが写っている。いくつものビルをつなぐショッピングモールの形も広さも、スペースコロニーっぽい。屋根が曲面なのも、円筒型のスペースコロニーを連想させる(このゲームのコロニーは、円筒型じゃなさそうな気もするけど)。
☆よしみるさんがクイーンズスクエアを参考に、居住区の場面を描いたのだろうかとも思ったが、調べてみたらクイーンズスクエアができたのは1997年。どうやら偶然似ていただけのようだ。……クイーンズスクエアを設計した人が、メタルスレイダーグローリーをプレイした可能性もゼロではないけれど。
最後に、忠が搭乗するメタルスレイダー「GLORY」。大きな人型の物ということで、思いついたのが名古屋駅近くの名鉄百貨店ヤング館前にあるナナちゃん人形。真下から見上げると威圧感があるほどデカい。
しかし、ナナちゃん人形の身長は6.1メートル。GLORYの高さは、ゲーム中のグラフィックからも見当がつくとおり、ナナちゃん人形の倍以上ある。あれの倍以上って、相当なデカさだと思う。
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