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GDCに行って来た! キーワードはトライアル&エラー?くねくねハニィの「最近どうよ?」(その30)(2/3 ページ)

記念すべき第30回目を迎える「最近どうよ?」。ずいぶんサボってたくねくねハニィが、3月23日〜27日に北米サンフランシスコで開催されたGame Developer Conferenceのリポートをするよん。このテイスト、ちょっと久々だから新鮮だったりしない?

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2009 Game Developers Conferenceって?

 その名の通りゲーム開発者のための講義や勉強会なわけですが、サンフランシスコのMoscone Convention Centerで3月23日〜27日まで行われました。サテライトと呼ばれるローカルのGDCも今年は5月にカナダ(バンクーバー)で行われるらしいです。

 5日間のうち前半2日間はAI、カジュアルゲーム、モバイル、シリアスゲームなどなど、トピックをフォーカスしたサミットが行われてて、その道のプロたちが講義やパネルを1日中展開するというもの。うーん、座学の苦手なハニィはムリだったかも(笑)。

 後半3日間はいわゆるジェネラルトピックなGDCなので、水曜からの人出はそりゃあもうすごかった。サンフランシスコ市内の会場周辺では入場カードを身につけた人ばっかりだったしね(笑)。今年は史上最多と言われた昨年の1万8000人からちびっとだけ減って、1万7000人が参加したとのこと。サテライトがどんどん立ち上がっても本家本元のGDCにはやはり人が集まるっちゅーことよね。2008年7月のE3もショボかったし、業界の面々が集まるって意味では、実はビジネスミーティングも周りのホテルなどで行われてます。

 そうそう、参加費も更に値上がりしてたわ。すべてのセッションに参加できるパスが1人当たり2200ドル(約22万円)、メインカンファレンスパス(後半の水曜〜金曜のみ)が1495ドル(約14.5万円)、サミットのみが850ドル(約8.5万円)だって。ひぇぇー、円高とは言えなかなかの金額。

 さて、前半2日間のサミット、チュートリアル後にキーノートスピーチ(基調講演)、セッション(座学)、ラウンドテーブル(パネルディスカッション)なんかがあって、Expoと呼ばれる展示会もありました。ゲームというよりは開発者向けってこともあって技術にフォーカスされたものが多かった。あ、もちろんIGF(Independent Games Festival)アワード、Game Developers Choiceアワードなどのイベントも水曜の夜にございましたね。

 昨年に続いてCareer Pavilionっていう転職窓口コーナーも(苦笑)。大手さんがこぞって出展されてましたけど、こんな高いチケット代を払ってくれてる会社を裏切って転職すんのかい? としばし首をかしげました。

 今年は昨年より日本のスピーカーが多かった関係もあるのか、日本人が多かった気がするわ。でも、とても気になったのは韓国をはじめとするアジアの各国からの参加者が多かったこと。日本は欧米に負けていられない、ってばっかりじゃなくて、アジアの活力とも闘っていかなきゃなんだわとあらためて考える場となりましたわ。

 ゲームと言えばコンソールって思ってる日本人にとっては、PC側から攻めてきてる韓国勢がどう入り込んでくるかってのも考えないとね。

キーノートスピーチ(基調講演)

任天堂・岩田社長

 3月25日(水)朝9時からMosconeコンベンションセンターのサウスホールにて“Discovering New Development Opportunities”というテーマで話されましたね〜。「新たな開発機会の創造」とでも訳しておきましょうかね〜。ハニィにはとっても聞きやすいハッキリとした英語でお話してくださいましたよ。

WiiとNDSの実績紹介

 ニンテンドーDSが1億台、Wiiが5000万台の出荷を達成したという報告の後、昨今の北米市場および欧州ゲーム市場での大きな成長について、任天堂がいかに寄与しているかってデータで説明。誰も否定しない、っつか否定できないよね〜(笑)。

 デベロッパー向けのカンファレンスであることから、「ソフトウェアがハードを売るのです。よいソフトを作ってくれてありがとうございます」と岩田さんが深々とお辞儀をしたのがとても印象的だったのよ〜。「Software sells hardware.」そう、任天堂ハードはソフトが牽引したことは間違いないんですからねっ!

Death SpiralとUpward Spiral:宮本さんのお話

 WiiとDSではサードパーティのタイトルは任天堂タイトルにかなわない、任天堂はお金と余裕があるからいいゲームが作れるんだ、という批判があるけど、それは違いますよと。実はそういうことを岩田社長ご自身もHAL研究所時代には思っていたらしいんですけどね。

 ゲーム制作をする上で、まずは「予算」という金銭的なプレッシャー(Financial Pressure)があり、さらにマスターまでの時間の拘束(Less Time)があるため、これらに圧迫されて制作されたゲームソフトはクオリティが低く(Poorer Quality)、そのため売れない(Poorer Sales)、というDeath Spiralに陥ることが多いと岩田社長。

 ここで任天堂の開発について話があったんですけど、ええ、もちろん海外でレジェンド(伝説)と崇められている宮本さんのお話ですね〜。お金があるからいいゲームが作れるっちゅーわけではないのよ? と諭した訳ですね(笑)。それでは宮本さんのUpward Spiralの7つのポイントの解説を。

  • 1.Ideas are everywhere 〜アイデアはどこにでもある〜:実際に宮本さんが新しく飼った犬がNintendogsに結びついたとかって例がでたけど、宮本さんのアイデアは個人の生活や趣味に根差していることが多いので、宮本さんの趣味に関しては任天堂社外で話すのを禁じたって(笑)
  • 2.Personal communication 〜コミュニケーション〜:宮本さんはドキュメント(企画書などの書類)がお嫌いで、小さなチームでブレーンストーミングという名の濃いコミュニケーションをとるんだって。例としてWii Sportのボクシングゲームのメカニックの話が出たけど、細かいことは後回しにして、大きな枠だけ話し合うってことみたいですぜ。
  • 3.Prototype Stage 〜プロトタイプステージ〜
  • 4.Small Teams 〜小さなチームで〜
  • 5.Mulitiple Project 〜複数プロジェクト〜
  • 6.Trial and Error 〜トライアル&エラー〜:宮本さんのゲームにおける重要な要素、それは「楽しさとは何か?」ここで初めてどうすれば楽しいかが見えてくる。小さな複数のチームが「何が本当に楽しいことなのか」を実際に実現できるまでトライアル&エラーを繰り返すとな。事実宮本さんは「もしかしたら楽しさを導き出すかもしれない」失敗を奨励していると岩田社長。
  • 7.Mass Production Stage 〜マスプロダクションステージ〜:このようにたくさんの小さなチームが動かすプロジェクトのうち、マスプロダクション(本制作)に移行できるのは2、3個なんです。

 もちろん「Upend the table」すなわち「ちゃぶ台返し」にも触れられてました。お決まりですね(爆)。ちゃぶ台返しはつい「損」な感じがするけど、別のところで必ず役に立ちますからね! 宮本さんの社員誘拐(笑)の話もありました。任天堂社内でゲームに疎い社員を連れてきて開発中のゲームをプレイさせ、そのゲームのどこにイラついたりどこにおもしろさを感じているかをそっと後ろから眺めるんだそうよ。

 うーん、でもハニィとしては、お金があって余裕があるからスタック(ある意味無駄と思われるもの)にも投資できるんでは? なんて皮肉を言ってみたい気もしたなぁ(だからかわいくないハニィと言われる)。ま、Death Sprialに陥る前にこのUpward Spiralに転換しておけばいいって話なんでしょうけど、Death Spiralを回している開発会社にはあまりに酷なお話な気もしたりするわけですよ。

 基調講演中には、「リズム天国ゴールド」のDS版の紹介もありました。アメリカでは11日後に発売されるこのソフトを参加者全員にプレゼントなんて場面も! さすが任天堂! 太っ腹! そういえば数年前も、DSの脳トレソフトローンチの時もGDCで配ってたな……。あ、その当時ハニィはキーノートに参加できるパスを持っていなかったので、外で待ってました。中からソフトを持って嬉しそうに出てくる同僚をうらめしく見てたのを思い出します。

Wii WareとバーチャルアーケードとSDカード

 NPDによると、北米のWii所有者の20%は今までゲーム機を持ったことのない人たちで、ニンテンドーDSに関しては実に47%が女性であるとのリポートがあったんだって。だからと言って任天堂がコアゲーマーを無視しているわけではなく、「Zelda」、「Mario Kart」などはまさにコアユーザーに向けて任天堂が発したゲームであり、またVirtual Consoleに関してもこれらのコアユーザーに向けたものである、と強調したの。

 また、現在サードパーティが一番売り上げている対象ハードはWiiだ、って話もあったけど、これってただ単に売上金額の話。発売タイトル数考えたら当たり前なんです(笑)。っつか、そうじゃないと困るっちゅー気もするハニィでした。

 実は今回のキーノートの中でハニィが一番うれしかったのは、Wiiウェアに触れてくれたこと。去年のGDC以来、E3でもまったく触れてくれず、やる気ないのかなぁとちょっと心配してたんですよ。「小さなデベロッパーでも大きなデベロッパーでも規模に関わらずゲームが供給できる」Wiiウェア。おおお、そういう話だったよねぇ。現在Wiiウェアに供給されているタイトルの実に90%がサードパーティからのものである、って紹介もあったけど、売れ行きは? これは、教えてくれなぁいのかぁ……。

 ヌンチャクとバランスボード(北米ではPS3本体と同じくらい出回ってると皮肉を言うメディアもいるくらい売れている!)を使ったロッククライミングゲーム「Rock N' Roll Climber」の実演も。これはWiiウェアです!

 加えて「バーチャルコンソール アーケード」の発表。懐かしのアーケードゲームをWiiでも遊べるようにしたのね〜。「スターフォース」、「スペースハリアー」、「ギャプラス」、「ソルバルウ」、「イシターの復活」、「エメラルディア」の6タイトルが即日ダウンロード可能で、後日「スペースインベーダー」が追加される見込みよん。


 そんなこんなで、ハードディスクがついてないWiiはどこにダウンロードすんねん! って話があるから、どうすんだろ? って思ってたら、SD-HC規格(32Gバイト:最大240ゲーム保存可能)に対応するとな。さらに今までWii本体を経由してアクセスしていたSDカードに、これからは直接アクセスできるようになったとな! はい、Wii System Menu 4.0Jへの本体のアップデートをお願いしますね〜。

 それから、「FINAL FANTASY CRYSTAL CHRONICLES: My Life as a Darklord(英題)」と「FINAL FANTASY IV: The After Years(英題)」を2009年末に北米でWiiWare配信するって。バーチャルコンソールでは、日本向けに5月から「ファイナルファンタジー」のI〜?が配信されるってよん。あの感動をWiiで再び(まんま?カスタマイズなしかいな?)!っちゅーことですね!

ニンテンドーDSi

 4月5日にDSiが発売される(今となっては「された」が正解)わけだけど、日本ですでに200万台を販売しているDSiはアメリカでも前評判上々とのこと。Amazonは過去例を見ない数の予約を受けていると語ってるし、GameStop(ゲーム専門店)はDS Liteの時の2倍の予約が入っていると言ってるとな。4月の売上データは要チェックですなぁ。

 DSiの目玉はダウンロード。「Moving Memo」(仮称:うごメモ)、「WarioWare: Snapped!」などを、いつもものすごくうまい通訳をするNOA(Nintendo of America)の彼が実演紹介してました。そして、「ゼルダの伝説」シリーズのDS向け新作「The Legend of Zelda: Spirit Tracks」が最後に紹介された! これは楽しみ!

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