「ドラクエIXは出る、FFは神のみぞ……」 スク・エニ今期は大幅増収増益へ
「ドラクエIX」発売延期の影響とFF最新作の投入で、スクウェア・エニックス・ホールディングスの今期は大幅増収増益になる見通し。ただしドラクエはマスターアップしたものの、「FFは……」
スクウェア・エニックス・ホールディングスは5月19日、2009年度(2010年3月期)の連結営業利益が前年度比で2倍となる250億円になる見通しだと発表した。7月に発売を延期した「ドラゴンクエストIX」が期ずれで貢献する上、年内に「ファイナルファンタジーXIII」の発売を計画しているため。ドラクエXIの発売延期で下方修正を余儀なくされた前年度から大幅な増収増益となる。
売上高は32.7%増の1800億円になる見通し。大型タイトルの投入に加え、完全子会社化した英Eidosの分がプラスになる。経常利益は2.2倍の250億円、最終利益は2.3倍の150億円を見込んでいる。
決算説明会で、和田洋一社長は「ドラクエが出るからそりゃそうだろうという話で、過去最高益すれすれになっていて、そこを目指していく」と話した。
ゲームソフト販売は世界全体で2600万本を計画。日本の1300万本に加え、Eidos効果で北米で600万本、欧州で700万本を見込んでいる。「ものすごく売れていない」という08年度は全体で1098万本(日本519万本、北米371万本、欧州208万本)にとどまった。和田社長は「09年度はドラクエとFFだけというわけではない」と話し、2大タイトル以外にも数を見込めるタイトルの投入を計画していることを明らかにした。
7月11日に発売日が迫るドラクエIXと、年内発売予定のFFXIII。間違いなく発売されるのか──というアナリストの質問に対し、和田社長は「ドラクエはマスター提出したので出るでしょう。FFは……神のみぞ知る」と話し、会場の関係者が苦笑する一幕も。最後には「うそです。頑張って出します」と明言していた。
セグメント再編 「オンラインを分ける意味がない」
09年度から事業セグメントを再編し、従来は独立していたオンラインゲーム事業(FFXIなど)をゲーム事業に統合した。家庭用ゲーム機のネットワーク対応が当たり前になり、ソフトをパッケージで購入した後で追加コンテンツをオンラインで購入するといった展開が浸透してきたため、「オンラインを分ける意味がなくなった」ためだ。iPhoneなど新しいモバイル市場を含め、「オンライン化はグループの総力を挙げて取り組むべきもの」と意気込む。
09年度のゲームソフト販売計画は国内向けが半分を占めるが、将来は「市場の大きさと同じ比率に持っていきたい。日本はどんなに多くても2〜3割にしたい」。そのポイントになるのがEidosだ。09年度は利益にはほぼ貢献しないとみているが、ゲームプラットフォームと地域が多様化する今後の変化に対し、「Eidosと一緒になることで対応能力が得られる」ことが大きいという。和田社長は「Eidosの買収でグループの骨格ができた。そのスタートを切れるのが09年度のポイントだ」と強調。真のグローバルパブリッシャーへの飛躍に向けたスタートの年度という位置付けだ。
昨年12月の発表会で、任天堂の岩田聡社長は「タッグを組んでドラクエを海外で普及させていきたい」と話したが、ドラクエIXの海外展開は現時点では「まだ議論の最中」。ドラクエIXがニンテンドーDSの通信機能を活用しているため、地域ごとの遊び方の違いなどを考慮する必要があるといい、「日本と同じ戦略ではない。かなり慎重に戦略を練りたい」とした。
08年度の連結決算は、売上高が8.0%減の1359億円、営業利益が42.9%減の122億円、経常利益が40.3%減の112億円、最終利益が31.1%減の63億円だった。
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