将来を見越した「エクストラアップデート:イリス」を実施――「エミル・クロニクル・オンライン」
ECOの5年後、10年後を見据えたサービスを提供することが急務と、ガンホー・オンライン・エンターテインメントは従来のアップデートとは異なる施策を打つ。
ガンホー・オンライン・エンターテインメントが運営するMMORPG「エミル・クロニクル・オンライン(ECO)」では、5月28日に「エクストラアップデート:イリス」が実施された。従来の大型アップデートには「SAGA○○」とナンバーおよびメインシナリオに絡めたタイトルがつけられていたが、今回はやや異なっている。これは本アップデート内容が単純な新マップやモンスターの追加ではなく、大幅なゲームバランス調整が中心となっているためだ。ユーザーの成長と成長に合わせた行動範囲などをすべて洗い直し、フィールドだけでなくダンジョンも本アップデートでだいぶ様変わりしている。
既にアップデートを体験済みのプレイヤーも多数いると思われるが、しばしお休みしていた人も本記事を読めば、戦闘がより面白みを増した新たなECOに帰りたくなることだろう。
属性強化で大きく変わる戦闘システム
本アップデートのポイントは二つあり、一つは従来からある6つの属性とその影響をより強化したことで、魔法や装備に付与した属性によって戦闘時のダメージが大きく変化したという点だ。今回は水属性のモンスターが多いダンジョン、「氷結の坑道」でその効果を試してみた。ちなみにECOの属性は通常のものとやや異なり、水属性は火に弱く、土に強くなっている。
ダンジョン内では実際に、火属性と風属性の攻撃スキルを使ってみたが、水属性「フローズンプルル」相手に四桁のダメージをたたき出しているが、属性が異なるモンスター相手では二桁にしかならず、与ダメージを見ればその違いは明らかだ。今までは「ちょっと違うかも?」程度だった属性だが、現在は狩場とモンスターに合わせてのスキルのセット、さらに後述するイリスカードの重要性がかなり高まっている。淺間氏によれば、既存のシステムをいかしつつ、戦闘を単純化させないためにあえて極端なバランス調整を行なったとのことだ。
また、氷結のダンジョンに関しては、ダンジョンの階層が深くなれば出現する敵もより強くなるという基本部分は同じだが、従来は最深部でもLv30〜Lv40のキャラクターで到達できた階層が、Lv40〜50になるなど中級またはそれ以上のプレイヤーでも楽しめるように修正されている。その他8個の既存ダンジョンについても、アクティブモンスターを増やす、より強いモンスターを一部再配置するといったリニューアルが行なわれた。
コレクション要素もたっぷりの「イリスカード」システム
先述の属性とも関連してもう1つ導入されたのが、武器や防具のスロットに装着できる「イリスカード」である。カードにはそれぞれ属性値が設定されており、これを装着すれば武器そのものに属性効果が付与されるというわけだ。また、一部のカードには「アビリティベクトル」と呼ばれる性能があり、そこに書かれた条件を満たすと、レベル差による命中補正の軽減や最大HP/MP/SP増といったボーナスも得られる。
まだイリスカードを試していないプレイヤーが気にするのは、カードを一度装着すると、新しい装備を手に入れてもカードの再利用ができないのか? という点だろう。装備品の詳細ウィンドウに追加された「カード」タブを開くと分かるが、カードスロットと並んで「SLOT LOCK」と書かれたボタンがある。このLOCKボタンを押すまで、カードは好きなときに差し替え可能だ。ではなぜロックする必要があるのかといえば、実はロックせずにカードを刺した武器、防具で戦闘し続けると、一定確率でカードは剥がれ落ち、失ってしまうのだ。どの程度の確率かとたずねてみたところ、「1時間ずっと狩りを真面目にしていると1枚ぐらい」とのこと。MMORPGの場合、友達とダンジョンなどでPTプレイをすれば1〜2時間はあっというまに経過するので、これはわりと高確率だろう。高性能なカードをなくしたくなければロック機能は使ったほうが良い。より高性能な装備にカードを差し替えたいときには、ロック解除アイテムが必要となり、こちらは有料となる。
イリスカードの入手方法だが、モンスターからのドロップや、ゲーム内通貨と引き換えでもらえる「ブランクイリスカード」、または有料アイテムとして販売される「EXブランクイリスカード」をもって、「カードラボ」のNPC「夢見のハレルヤ」に話しかける必要がある。ブランク、つまり最初は何の効果も持たないブランクカードが、NPCの力によって何らかのカードに変化するのだ。もちろんこれはくじ的要素も含んでおり、ほしいカードが手に入るとは限らない。5月28日の実装時に36種、毎月徐々に追加され、年内だけで約100種の実装が予定されている。
また、あるんじゃないかなあと思っていたら案の定実装されていたのが、入手済みのカードの絵柄や性能をまとめて閲覧できる、カードホルダーだ。カードホルダーは家具扱いとなり、普段は飛空庭に飾りとして配置することも可能だ。中には有名イラストレーターによるレアカードもあるので、お財布と相談しつつコンプリートを目指していただきたい。
常に変化を求められるMMORPGでは、マップの追加による目新しさを狙ったり、部分的に少しずつ改善を行なうことでその寿命を延ばすことは可能だが、今回のアップデートはECOが5年後、10年後にもサービスを続けていたとき、今のままで果たして新規ユーザーがECOに魅力を感じてくれるのか。あるいは既存のユーザーが遊び続けられるタイトルでいられるか? を熟考した上で大きな変更を加えたとのこと。「このバランス調整にはかなり自信があります」という浅間氏のコメントであったが、もちろん既に本アップデートを体験しているプレイヤーの意見・要望に耳を傾け、息の長いタイトルになってほしいものである。
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