今さらっ? E3 2009を振り返るのだ!:くねくねハニィの「最近どうよ?」(その32)(2/3 ページ)
夏休みもすぐそこですが、今年のE3を振り返っちゃってるくねくねハニィ。そこから見えるゲーム市場をハニィ視点で語ってみたので、「おっせぇよ」と言わずに読んでみてくれぇい。
「UFC 2009 Undisputed」のTHQはここのところ大きなヒットタイトルを出していなかったため、非常に厳しい経営状態と噂されていたんだけど、このタイトルで何とか回復の兆しですな。2009年末に発売予定のタイトルも評判がいいらしいんで、何とか踏ん張っていただけそう。
市場はそれほど冷え込んでないんですが、やっぱり業界は勝ち組と負け組が鮮明にあらわれてきてますね。2月に倒産した(会社更生法上の倒産)Midwayだけど、「Mortal Kombat」などプロパティをWarner Bros.のゲーム部門が3千3百万ドル(約33億円)で買うという話があげられます。
欧州メーカーはどうかと言うと、Atariが昔懐かしい「Ghostbusters」の版権を取って6月にマルチプラットフォームで発売したんだけど、この数字が悪いと相当つらいと思うのですわ。ここのところヒットどころか、タイトル自体もほとんど出ていない。インフォグラムという社名だったフランスの老舗ゲームメーカーが迎える最大の危機とも言えるよね。4月に倒産が報じられたEmpireも含め、欧州勢はなかなか苦しいところ。そういう意味ではフランスのビッグパブリッシャーUBIソフトは光るよね〜。
欧州メーカーが苦しい、で思い出したんだけど、毎年8月にドイツのライプチヒで行われていた欧州最大のゲームショー「Game Convention」は今年はキャンセルされた模様。キャンセルと言うと、ちと語弊があるんだけど、名前を「Games Convention Online」に変えて、カジュアルゲームとモバイルゲームを中心としたオンラインにフォーカスしたコンベンションとなるとのこと。
では、いわゆる「Games Convention」の後釜は? と言うと、ケルンで行われる「GamesCom」に。GDC Europeが開催される8月17日、18日に引き続いて行われる予定。2002年に始まった来場者20万人弱(東京ゲームショウとほぼ同じ規模)のショーが継続できない理由をいろいろと考えてみたりもするハニィでした。
話がそれちまいましたが、「くねくねハニィの E3 2009 こぼれ話!」に行こっと。E3のまとめは記事(「E3 2009総括:E3 2009で何があったのか? まとめて読みたいあなたのために(前編)」、■「http://gamez.itmedia.co.jp/games/articles/0906/18/news043.html□(後編)」■)をご覧いただくとして、ハニィはこぼれ話に特化しようかと思ってまぁす(タイミング的にはもう遅いしねぇ……)。
いい感じだけど、やっぱり金がかかるExpo
ハニィの記憶にある過去のE3にめちゃくちゃ近いものでしたよ。6万人規模だったものが失われた2年間では5千人とか6千人とかいう規模になってしまっていたので、久し振りにちゃんとしたE3を見たって感じでしたね。2009年のE3は公式発表では4万1千人の参加者とのこと。一般公開はなく、ビジネスショーなので4万1千人の業界関係者が世界から集まって来たってことですよね〜。日本からは新型インフルエンザの影響でかなり参加者も少なかった模様ですが、それでも旧知の方々にお会いできてうれしかったっす。
前の大規模E3では、West、Southに加えて、Kentiaという半地下のホールも使ってて、Westはハードメーカー+ソフトメーカー、Southはソフトメーカーが占領、Kenthiaはペリフェラルや周辺モノ、メディアなどがブースを連ねていた……。つまり、ある程度カテゴリ分けされてた。今年はマイクロソフトがサウスに移ったので、ハードもソフトも入り乱れての展示となり、さらにKenthiaが今年使われなかったので、カテゴリ分けもなく展示されているといった感じに。いや、これはこれでありだと思います、はい。
過去にはぎゅうぎゅうのイメージのあったE3ですけど、今年は端っこに若干の空きスペースがある。Kentiaも使用されず、WestとSouthをつなぐ廊下沿いはもはやブースとしては使われておらず、ギャラリーとして使われてました。
ここで、不思議なことを発見。E3ってあまりにお金がかかるのでいったん止めた、って話なのに、コマあたりの単価はかなり上がってる。あれれ、それっていいのか? ESAは大丈夫なのか? ちなみに、E3である程度のブースを持つと、日本円で数億円で済めばいいけど、って世界(コマ代、内装費、衣装代、コンパニオン代、ケータリング他すべて含む)ですぜ。大きなパブリッシャーは3日間のために10億円以上かけている、と考えれば、そりゃー金喰い虫ですよねん。
アメリカでは、日本同様プラットフォーマーのExpo(日本でいう任天堂スペースワールドとか、ああ、そう言えばこれもなくなったなぁ)やメーカー独自のゲームお披露目会なんかがあって、効率的な認知の機会を持っているので、パブリッシャーにとってE3はむしろ「お金のかかるだけ」のExpoだったと言われているの。
ただ、結局は業界あげて大きなイベントをすることによって、エンターテインメントとして一般のメディアにもアピールできるいい機会だったわけですね。いろいろなメーカーのパーティがなくなったり(特に、SCEとMSがなくなったのは大きいね〜)、縮小されたりしてるから、結構緊縮財政は感じるけど、前が行き過ぎだったと考えれば、比較論は置いておかないとね〜。
あ、そんでもって来年も行われると早々と発表されていました。同じLAコンベンションセンターで2010年6月15日〜17日の予定です。来年は新型インフルエンザがおさまってるといいんですけどねぇ。
マイクロソフトのコーポレイト バイスプレジデント
マイクロソフトのプレスカンファレンスはExpo前日の午前10時30分からLA市内の南カリフォルニア大学内で行われたんだけど、前日に参加者宛にMSからメールが来て、「5分前に始めるんで5分前に来てね」という内容。行ってみて納得したんだけど、豪華キャストの雨あられ。これは時間がかかりますねぇ。
カンファレンス中、元EAのコーポレイト バイスプレジデント、ジョン・シャパート氏がXbox 360タイトルのところでプレゼンを担当してたんだけど、何とこのシャパード氏、E3の後すぐにEAに戻ったとのニュースが。確か一昨年も同じことが……。セガからMSに来てコーポレイト バイスプレジデントになったピーター・ムーア氏も、E3でのカンファレンス後にEAに転職されたはず。他社からいらしたコーポレイト バイスプレジデントさんはE3後に辞めてしまうという何だか因縁じみたお話でしたぁ。
ま、ジョブホッピングの激しいアメリカのことなんでしょうがないとは思うけど、要職に就いている人があまりにも業界内で動くので、誰がどこの人か分かんなくなっちゃうくらい。日本ではさすがにそうそうない話ですよね〜。
任天堂の余裕を感じた瞬間っ!
プレスカンファレンス(メディアブリーフィング)自体は午前9時からExpo会場のClub Nokiaで行われたんだけど、その日の夕方に、朝のカンファレンスでは姿を現さなかった宮本茂氏が登場して、「New Super Mario Bros. Wii」 、「Super Mario Galaxy 2」、 「Wii Sports Resort」と「Wii Fit Plus」、 「The Legend of Zelda: Spirit Tracks(日本名:ゼルダの伝説 大地の汽笛)」などの詳細を語ってくれました。また、記者の質問にも答えてくれました。
このラウンドテーブル、恒例のインタビューになっていて、去年までは写真撮影OKだったはずなのに、今年はNGとのこと。せっかく熱く語ってくれているのに、宮本さんの写真を撮れないのは残念でした。
記者の質問で、任天堂が昨年発売したWii Speakを使ったタイトルが今年はない、との痛い指摘もあったけど、ペリフェラルとは普及してなんぼ、というところもあるので、それは酷な質問だろうね。それよりももっとおもしろかったのは、「他社のモーションコントローラ(MS:Natal/SCE:PSMC)についてどう思うか?」との質問に、宮本さんの答えはものすごく説得力のあるものだったよ。
「技術があることはだいぶ前から認識しているが、それをユーザーが快適に遊ぶところまで持って行くのが難しい。Wii Motion Plusは半年で出来ると思っていたのだが、結局1年以上かかってしまった。これが任天堂の強さであり、そこには自信を持っている。従って、実際に手に触れてプレイできるようになるまでは判断できない」(宮本氏)
既にモーションコントローラの先駆者となっている任天堂。満点の回答でしたぁ。ハイスペック機がモーションコントローラを引っさげてWiiとどう差別化していくか、つまりはタイトルの出現を待たないと、どうこうは言えないなと言うところですねぇ。
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