「信長の野望・天道」連載(第3回)――「街道」を核にシステムを整理した「天道」:伸ばせ街道! 戦国ニッポン改造論(2/3 ページ)
製品版が発売されているけど、まずは体験版でノウハウを身につけたい。あなたは四国を平らげることができるか?
電撃的な四国統一を通して、今作を味わう
さて、体験版の目玉であるオリジナルシナリオ「鳥なき島の蝙蝠」は、チュートリアルで憶えた事柄を実際に試す機会といえる。元親を戴く長宗我部家を率いて、一条家、西園寺家、河野家、三好家を打倒し、四国を統一するショートシナリオだ。3年というタイムリミットが、このシナリオを手ごろなサイズに収めると同時に、緊張感のある展開を演出している。実際、外交要素を除いたほとんどのルール/システムを体験できる一方で、家中の武将達にあまり余計なことをさせていると、たちまち時間が足りなくなる。各種ルールを試してみるのと、シナリオの勝利を目指すことは別に考えて、繰り返しプレイしてみるのがよいだろう。
この記事では、難易度設定「上級」で、シナリオをクリアするまでの過程を通じて、プレイ内容を紹介してみたい。必然的にネタバレ的要素も含んでしまうため、「自分で考えてクリアしたい」という人は、ここでいったん記事を読むのを中断していただいたほうがよいだろう。
プレイを始めると重臣達が、現在の長宗我部家および周囲の大名家について説明し、どの順番で各大名家を攻略していくべきかアドバイスをくれる。個別の状況を確認してみても、このアドバイスはいたって適切なので従うべきだろう。つまり、まずはもっとも近い土佐西部の一条家を降し、時計回りに西園寺家、河野家と攻めていき、最後に阿波の三好家を打倒しましょう、という順番だ。三好家は城を複数持っている大勢力なので、いきなり攻めてつまずくと、シナリオのタイムリミット内にリカバリーが利かないおそれがある。また、初期状態で阿波と土佐の間には街道が通じていないため、こちらの本拠地である土佐が衝かれる心配は、比較的小さいのだ。
そんなわけで第一ターゲットは一条家である。お隣伊予の西園寺家と同じく、藤原氏一門であるあの一条家の一派が、現地の荘園に下って直務(じきむ)支配を繰り広げるうちに、現地の豪族達を従えて戦国大名になったという名門だ。実を言うと長宗我部家から見ると主家筋に当たるわけなのだが、そういった事情はとくにゲームのプレイには影響しないので、とりあえず手ごろな征服先といえよう。
土佐中村に陣取る一条家の兵力は8000強、こちらは2万強といったところで、家中の武将達の禄高設定から言って、全兵力を同時に動員できる。ここではとくに何も考えず、「統率」の値が高い順に武将を5人選び、全兵力で出撃すればよい。
武将のトップ5を選ぶと、そのまた頂点が当主たる長宗我部家元親になってしまうのはちょっと寂しいものの、小大名家ではよくあることなので気にしてはいけない。そしてやや面白いのが、長宗我部家で軍事向きの武将を見ると、その「兵科特性」がほとんど「足軽」であることだ。きっと「一領具足」と呼ばれる郷士の大動員が、長宗我部家の覇業を支えていたというイメージの表現なのだろう。
城を陥落させたあと、やるべきことは4つ
出撃時の「陣形」は、城攻めに向いた「包囲」でよい。こちらの半分以下の兵力とあっては、一条家が迎撃を意図して野戦に打って出てくることはまずないし、途中の村々を個別に攻略していく必要もとくにない。後者については、製品版のプレイでは重要なテクニックになりそうな気もするが、このシナリオ、この状況では一直線に中村御所を目指してしまって差し支えないのである。
2〜3カ月包囲し続ければ、中村御所は兵力と士気を減らしていき、やがて陥落するだろう。城が陥落してこちらのものになったら、ゲームの進行をいったん止めて、次のことを一通りこなしておきたい。次に陥とした城でも基本的に同じ作業を繰り返すべきなので、よく憶えておいてほしい。
- 本拠である岡豊城から中村御所へ、主要な武将を「呼寄」せる
- 捕虜から有用な人材を召抱える
- 岡豊城から中村御所へ物資と兵士をほぼすべて「輸送」させる
- 「呼寄」せたあるいは召抱えた内政系人材で、中村御所付属の武家町を開発する
3年しかないショートシナリオなのだから、とにかく先を急ぐべきだと思う人もいると思う。だが「信長の野望・天道」の城攻めには、陥落させてある程度の時間をおくことで、負傷者が戦線に復帰し、表面上失った兵力の大半が“返ってくる”という特徴がある。要はこの、負傷兵の療養期間を利用して、次なる敵を攻めるための準備を進めるのがセオリーなのだ。また、上に挙げた四項目については、実際にこのとおりの順番で、上から下へこなすのがよいと思う。例えば人材の登用には、使者の能力や性質も影響してくるので、まずは自家のほとんどの武将を使える状態にしてから、使者を決めたほうがよい……といった具合である。
まず、当主不在の岡豊城の守備をある程度任せられる武将1名、そしてそれ以外の雑事をこなす武将1名の計2名を残して、全武将を中村御所に「呼寄」せてしまおう。武将単独での移動は瞬時に済むので、タイムロスはほとんどないはずである。そして、城が落ちた段階で捕虜にした一条家の家臣のうち、「統率」や「知略」、「内政」の値に見るべきところのある武将を3〜4人くらい召抱えると、あとの展開が楽になる。
同時に、岡豊城に残した“雑用係”の武将を使って、軍馬や鉄砲、兵士といった物資を中村御所へ運ばせることで、戦線を前に進めていく。陣取りストラテジーの基本テクニックとして、新たに獲得した領地の物資/人材を根こそぎ主力部隊側に吸い上げて、次なる領地征服に向かわせる「イナゴ攻め」という方法があるが、このシナリオでやるべきは、まさにそれだ。
そしてこのシナリオの特殊事情だと思うが、ほかの大名家は自領内に「募兵」ができる施設をいっさい建てていない。結果論から言えば、長宗我部家としても敵の領地を吸収していく過程で十分な兵力が確保できるので、とくに「募兵」を行わなくても大丈夫なのだが、どこかで手痛い敗北を喫したときの保険として、中村御所城下の武家町に「道場」をいくつか建てておき、岡豊城ともども、夏と冬の農閑期には「民忠」を見つつ、随時「募兵」を行うと安心だ。どうせ、軍資金は有り余るほどあるのだから。
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