ファミコン初期のナイスボート「ミシシッピー殺人事件」:ゲイムマンの「レトロゲームが大好きだ」(2/3 ページ)
連載第87回は「ミシシッピー殺人事件」(ジャレコ)。ファミコンで2番めに古いアドベンチャーゲームですが、何しろ難解なことと、理不尽なゲームオーバーで有名でした。
ミシシッピーっぽいところ周航の歌
京都市営地下鉄東西線の駅のホームは、真新しいホームドアで仕切られ、都会然としている。でも乗り入れ先の京津(けいしん)線に入り、終点・浜大津駅近くの市街地まで来ると、同じ電車が走るとは思えない路面区間になる。地下鉄に乗り入れるような4両編成の電車が、交差点の赤信号で止まる。
浜大津駅のすぐそばに、琵琶湖があり、大津港があった。今回わたしがここに来たのは、大津港から外輪船ミシガン号に乗るためだ。
ミシガン号は、「ミシシッピー殺人事件」のデルタ・プリンセス号同様、船尾についた円筒形のパドルを回して進む外輪船。1982年就航だから、ファミコン本体よりも古いのだが、乗ってみると古さを感じない。地上は蒸し暑かったが、湖の上に出ると風が吹いて涼しくなった。
デルタ・プリンセスと異なるのは、個室がなく、1・2階が予約制のダイニングになっている点だ。屋上にブリッジがあり、船長がいるのは一緒。しかし舵をとっているので、ここから離れるのは難しいと思う。
予約なしでも3階デッキで軽い食事はとれるし、ステージでのショーも見られる。楽しい90分のクルーズだった。……でも1つ残念だったのは、船内のどこにも落とし穴がなく、ナイフも飛んでこなかったことだ。
ちなみにミシシッピー川には、「デルタ・クイーン」という名前の外輪船が実在する。名前からして、この船がデルタ・プリンセスのモデルかもしれない。1927年製だが、ごく最近までミシシッピー川クルーズの観光船として活躍していたらしい。とはいえ、下の階まで貫通するような穴が、客室の床に開くことはやっぱりなかったようだ。
大事なことだけど2回言いません
実は「ミシシッピー殺人事件」で、ワナが仕掛けられている3部屋のうち2部屋には、重要なアイテムが隠されている。十字キーの下を押してワナを避け、室内の調度品を調べれば見つかる。
無人の客室で、アイテムがあるのはこの2部屋だけ。ちなみにこれらのワナは、犯人が仕掛けたものではない。むしろよく犯人が引っかからなかったもんだと思う。
ところでまだ、肝心の殺人事件が発覚していないのだった。この時点では、チャールズはほかの乗客やクルーに会ってあいさつすることしかできない。4号室に入り、チャールズが死体を見つけて、ようやく事件の捜査が、というかようやくストーリーが始まる。
まず被害者の身元を確認しよう。船長を呼んでくるのが確実だろう。このゲームには、船内の人々に「ついてきてもらえないか」とお願いするコマンドがあるが、このコマンドはここでしか使わない。
被害者はブラウンという名で、デルタ・プリンセス号の共同経営者の1人だった。ここからの捜査は、乗客やクルーへの聞き込みが中心となる。チャールズは著名な探偵という設定なので、事件が起こったことを知らせれば、乗客もクルーも捜査に協力してくれる。被害者や他の人物について証言してくれるし、部屋の捜索もOKしてくれる。
ただし彼らの証言も、普通のアドベンチャーゲームのつもりで聞くと面食らう。同じことを2度尋ねると、「もういいました」と言われてしまうのだ。
このゲームでは、証言をメモして、それをほかの人に見せることができる。そうすることでフラグが立って、話が先へ進む場合があるのだが、「もういいました」状態になると、当然メモも取れなくなる。必要な証言をメモっていなければ、もうどうやってもゲームクリア不可能となり、最初からやり直すしかなくなってしまう。
じゃあ全部の証言をメモすればいいかというと、そうもいかない。1人の証言者について、メモは3つまでしかできないからだ。重要そうな証言を選んでメモして、その内容に関係する人にそのメモを見せる、試行錯誤の繰り返し。
特に、判事のカーターが、船員のヘンリーについて語った証言は、一見ただの悪口でしかない。これをメモしてヘンリーに見せることが、事件解決の糸口になると考えたプレイヤーは少なかっただろう。
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