「デバイス・OSフリーへ」 DeNA南場社長が語るスマホ時代のゲームプラットフォーム論:CEDEC 2010(1/2 ページ)
「あと1年はアドバンテージがある」――DeNAの南場智子社長は、ゲームのプラットフォームの未来を語り、開発者に「グローバルへの挑戦を一緒にしていきませんか?」と呼び掛けた。
iPhoneやAndroidなどスマートフォンが躍進し、App StoreやAndroid Marketが世界規模のアプリ市場として存在感を高めている。世界に挑戦できるこのチャンスに、ソーシャルゲームプラットフォーム事業者やゲームメーカーはどう挑むべきか。DeNAの南場智子社長が8月31日、ゲーム開発者向けイベント「CEDEC 2010」で講演した。
日本の携帯向けサービスは“ガラパゴス”と揶揄(やゆ)されるが、日本のサービス事業者が携帯ユーザーのニーズを「一番知っている」のも事実。「あと1年はアドバンテージがあるんじゃないか」と話し、「グローバルへの挑戦を一緒にしていきませんか?」と来場者に呼び掛けた。
「うまみがない海外市場」がiPhoneで開花
日本は、携帯からのインターネット利用が多い。日本全体のネットのページビュー(PV)の推移を見てみると、PCからのアクセスが横ばいからやや減少傾向であるのに対し、携帯からのアクセスはPCを追い抜き、毎月ぐいぐい伸びていると南場社長はグラフで示す。
7月は、Yahoo!JAPANのPC・携帯合計PVが485億であるのに対し、ほぼ携帯のみのモバゲータウンは740億。日本は「モバイル大国。世界的に非常に珍しい市場環境だ」。
だが、日本で一定の成功を収めた携帯サービスが、海外へ打って出てもうまくいくとは限らない。世界には40億の携帯ユーザーがいるが、市場は国やキャリア、端末ごとに細分化されており、それぞれで全く違う対応が求められるため、大規模な投資が必要になるという。
海外市場では端末のスペック差が大きいという事情もある。例えば英国でサービスを展開するとしても、6100万人の携帯人口のうち、キャリア最大手のVodafone(シェア21%)で、Nokia端末(シェア30%)の最新世代(うち30%)をターゲットにすると、最大126万人にしか届かない。高スペックの端末が普及し、数百〜数千万人単位の潜在顧客を期待できる日本と比べると、海外の市場は「うまみを感じない構造だった」。
だがiPhoneとApp Storeの躍進で、昨年ごろから状況は一変したと指摘。国やキャリアの差を感じさせないiPhoneとApp Storeによって、携帯市場の細分化というボトルネックが取り除かれ、“うまみなし”から大きなチャンスの場に変わってきたと見る。
南場社長は、ほかのスマートフォンやアプリストアの成長にも期待。「日本のサービス事業者は、iPhoneやAndroidを心から大歓迎するべき」と話す。
モバゲーはプラットフォームの差を埋める緩衝材
スマートフォン時代にソーシャルゲームのプラットフォームはどうあるべきだろうか。
コンピュータエンターテインメント協会(CESA)のデータによると、国内の家庭用ゲームの市場規模は2000年から伸びていない。任天堂やソニーなどプラットフォームを提供する企業は、他社と差別化を図るためタイトルの囲い込みを狙うが、ゲーム開発会社には効率的にマルチプラットフォーム対応したいという意向があり、方向性が一致しないからだと指摘する。
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