「パチンコのような単純さ」で1000万ユーザー獲得 グリー田中社長が語るヒットの極意:CEDEC 2010(2/2 ページ)
「ソーシャルゲームでは1000万ユーザーにいかないとヒットじゃない感覚」と語るグリーの田中良和社長。ヒットを狙うには、パチンコやテレビのような“単純さ”が必要と説く。
「作ってからがスタート」 パッケージゲームとの違いは
ソーシャルゲームとパッケージゲームの違いとは。GTE田中社長は、おみせやさんについて「ぶっちゃけゲームじゃない」と明かす。「ゲームって目的やルールがあってミッションを達成するのが喜びだと思う」が、おみせやさんは「自由に遊べるツール」で、「コミュニケーションを楽しむこと自体が面白い。家庭用ゲームにはない新しい文化だと思う」。
オンラインでプレイすることが前提となっているGREEのソーシャルゲームは、ユーザーの動きをログからチェックし、そのデータに基づいた開発ができる。グリー田中社長はこの点も「出したら最後」のパッケージゲームとの違いだ指摘。ログを収集して高速に処理する仕組みを構築することに取り組んでいると明かす。
原口専務もグリー田中社長の意見に同意。パッケージゲームは「ある程度の期間をかけて作りこんでいる」が、ソーシャルゲームは機能をそぎ落とし、提供開始時は「なるべく単純に」作り上げ、ユーザーの行動を見て、後から修正していると説明する。
おみせやさんでも同様で、ユーザーの要望を取り入れて新しい機能を追加したり、不評なアイテムを下げたりしている。GTE田中社長は「パッケージではできなかったこと。(ソーシャルゲームは)作ってからがスタートだ」と話す。
「入っていく人も出て行く人も多い」ソーシャルゲーム
オープンしたソーシャルゲームに、人を集め、盛り上げていくノウハウは、グリーからサードパーティへ積極的に提供しているという。「こういう売り方をすると売れるという大枠はあるので。グリーの内製ゲームが成功したら、転用していく」(グリー田中社長)
GTE田中社長は、グリーからのアドバイスで「すごく助かっている。僕らはゲームを作るので精一杯で、データのマイニングまで追いつかない部分があるので」と話す。実際におみせやさんに関しては「このアイテムは値段が高すぎてユーザーの手が出ていない」といった指摘をグリーからもらい、「そんなところまで教えてくれるんだ」と驚いたという。
原口専務は、ソーシャルゲームは「入ってくる人も多いけど、出て行く人も多い。65%の人は次の月にいない」という悩みを明かす。
ゲームを盛り上げていくためには、お金を使うユーザーと無料ユーザーの「バランスが難しい」(原口専務)。お金を使うユーザーはほかのユーザーを「引っ張っていく優越感」があるため、「無料の人がいなくなったらつまらない」。つまり「無料ユーザーが多くいるところはにぎわう」というわけだ。
GREEの海外進出 「挑戦の心が燃える」
GREEは今後1億会員を目指し、海外進出も狙っている。1億の会員を抱えるサービスは「日本で聞いたことがないが、世界的にみるとFacebookやTwitterのようにいくつもある」(グリー田中社長)。「日本にオフィスがあるかどうか分からないような」米国のサービスが、日本で多くのユーザーを獲得しているのを見ると「なんで僕らにできないんだと挑戦の心が燃える」と語る。
そのためにはまずは「日本のトッププレイヤーが集まる会社にしないと」と語り、はてなを退社した伊藤直也さんがグリーに入社したことを明かすと、会場は一瞬ざわついていた。
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