“第2の標準コントローラ”となる「PlayStation Move」――メディア向け体験会に参加した(2/2 ページ)
9月3日、メディア向けに「PlayStation Move」の体験会が開催された。東京ゲームショウ2010にも出展される予定の11タイトルの試遊だけでなく、開発者からのプレゼンテーションも実施された。
PS Move開発担当者によるプレゼンテーション
体験会では、PlayStation Moveの開発に携わった、ソニー・コンピュータエンタテインメント ワールドワイドスタジオ プレジデントの吉田修平氏と、同社第二事業部 設計部5課 課長の宮崎良雄氏、そして同社商品企画部 企画1課の磯部洋子氏の3名によるプレゼンテーションも行われた。
吉田氏は冒頭、PlayStation Moveはそもそもプレイステーション 3のためではなく、プレイステーション 2に対応した「EyeToy」の技術を元にしていると、PlayStation Eyeでとらえたコントローラ側のスフィア(発光している球体)から位置を検出している説明。元になったRichard Marks氏の技術を紹介し、簡単ながら基本性能について解説した。元々、SIXAXISでは両手がふさがれてしまうという“制約”に違和感があったと吉田氏は、さまざまな検証を重ねた結果、現在のPlayStation Moveの形に行きつくことになる。吉田は、Wiiコントローラに対応したソフトを開発した関係者から、Wiiコントローラでも実現できないことが多いことを知ったことも大きかった。現在、モーションコントローラでできることは氷山の一角でしかないという。
PlayStation Moveは従来のハード開発の手順を踏まず、ハードウェア開発だけでなくゲーム開発やソフトウェアR&Dの、3方向からの共同開発体制を築いて行われた。通常はシステムが決まる前からゲーム開発が加わることがないだけに、異例だったことが分かる。ソフト開発の現場からの意見を柔軟に取り込み、宮崎氏の強力なバックアップを受けてPlayStation Moveは「高精度・高信頼性」「リアルタイム性」「ゲームへの取り込みやすさ」というコンセプトを貫いていく。
宮崎氏はコントローラを設計する際に、ボタン配置に苦労したことを明かす。新たに追加された「Moveボタン」を大きく配置しつつ、従来の○×△□ボタンも疎かにできない。また、従来のゲームが遊べないと意味がない。結局、DUALSHOCK3にあるものは全部入れることになった。PlayStation Moveモーションコントローラとナビゲーションコントローラで構成される2つの入力コントローラは、それぞれの役割以上の期待値を込めて設計された。
モーションコントローラはすべて「見立て」ができることを前提としている。宮崎氏は、両手にモーションコントローラを持ち、見立てとして“剣”や“地球”“モーションコントローラそのもの”を出現させて、手の返しや距離感、スピードに対応する様子をデモンストレーションとして見せてくれた。気持ちいいほど、微妙な操作や急激な動きにも即時に反応している。また、写真や図形をテレビ画面に張り付けたり、折り曲げたりとバーチャルデスクトップとしての可能性も示してくれた。デモンストレーションでは正確に張り付けた写真や図形の位置をはかれることから、コントローラで視点をずらして表示するなんて荒業も紹介してくれた。
今後の課題としては「拡張現実」や「3DTV」の対応、ヘッドトラッキングや表情認識、音声認識といった「認識技術」の向上も視野に入っている。
宮崎氏は「一番伝えたいのは、(従来のコントローラは)ユーザーが指示を与えるものだったのが、Moveではユーザー自身が思いのままに動かせるということ」と、その可能性がどれだけ素晴らしいかに言及。吉田氏は、「Moveでどういうゲームをデザインしていくか」と開発者のクリエイティビティに委ねるところに来ていると期待感を述べた。「3DでCGが描かれるようになってきた時、それでゲームは面白くなるの?」と聞かれたことを吉田氏は振り返り、3DCGがゲームに新たな価値観を与えたように、Moveが新たな価値観をゲームに与えらるポテンシャルを持っていることを伝えた。
さまざまなゲームに対応できるように設計されている「PlayStation Move」は、“第2の標準コントローラ”という位置づけと磯部氏が語るまでもなく、すべてのプレイステーション 3のすぐ横に置かれるべき存在になると目標は大きい。
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