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CEDEC2010からの新たな試み――「ポスター発表」って?CEDEC 2010(1/2 ページ)

今回で12回目のCEDECで初めての試みとなるポスター発表。一体どんな事が行われていたのか? 何人かの発表者からのお話も交えて、写真とともに紹介します。

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レギュラーセッションでは語られない、「ポスター」に凝縮された発表の数々

 CEDEC 2010の会場であるパシフィコ横浜の一階で行われていた「ポスター発表」は、今回初めての取り組みとなるセッションの一つ。若手技術者・研究者、そして学生の方々の参加を促す目的もあったこのセッションでは、小さなスペースに発表の内容を「ポスター」として展示し、発表者により直接説明を受けることができる。

 技術そのものの発表もあれば、独自に研究した内容から企業へのメッセージを含めたものなど、30種類以上にも及ぶ多彩な発表があり、ひとつ一つが興味をひかれるものばかりでだった。

 この記事では、その中からいくつかをピックアップして、発表者からうかがった話と一緒に紹介していこう。

ズラリと並ぶポスターの数々。発表者の方から直接説明を受けたり、展示されている機械に触れることで、より身近なセッションとして感じられる
ポスターの一つ一つはコンパクトに展示されていた。こちらは、電気通信大学院の加藤寛士さんによる「触錯現象を利用した、ポータブルゲームのための空間的触提示」というセッション

Twitterで遊ぶソーシャルゲームの新たな展開「ゆけっ!はるひろ!」

 「Twitterが流行している昨今、ソーシャルゲームが多く遊ばれています。同じコミュニティ同士の遊びからさらに大きく、コミュニティの相互作用を用いて従来のゲームが持つエンタテインメント性を増すだけでなく、Twitter上でのコミュニケーションそのものを活性化させることもてきる」そう語るのは、関西学院大学の学生である戸谷直之さんだ。

 Twitterのような大規模なネットワークで遊べるソーシャルゲームは既にいくつか開発・公開されているが、広くてもフォロワー同士の小さなコミュニティや、個人的なプレイで完結してしまうものが多い。

 しかしこの「ゆけっ!はるひろ!」では、コミュニティの枠を超えて、もっと大きく広大なネットワークに広がっていくような試みがなされている。

 例えば、ゲーム内でプレイヤーの行動「AがBに攻撃」などがTwitterのタイムラインに投稿され、その投稿されたつぶやきをさらにゲームに取り込むことができる。ゲームプレイの行動内容をつぶやきとして投稿され、それに対する他ユーザーの反応もゲームに取り込むことで、「コミュニティの相互作用」というものが行われる仕組みだそうだ。

取材にご協力いただいた戸谷 直之さん。このアイディアを生かしたソーシャルゲームの新たな可能性に、ただただ期待に胸ふくらますばかりである

 さらにTwitterの膨大な情報量、頻繁なつぶやきの更新を利用し、つぶやきの内容でさえもゲーム内のキャラクターに影響を及ぼすことができるらしい。フォロワー同士の会話や、つぶやきが多いユーザーは、回復行動が可能になったりと、個人レベルの性格を表すに近い「つぶやき」という情報を上手く利用し、それをゲーム内のプレイヤーキャラクターに反映している点は、非常に期待できる面白さを秘めていることがうかがえた。

 コミュニティ同士で絡み合いながら、そのコミュニティ同士がゲームを通じて発展する可能性を提供している「ゆけっ!はるひろ!」には、Twitterユーザーだけではなく、これからソーシャルゲームを開発していく開発者の方々も期待できるものだろう。

裸眼3Dディスプレイの最先端をゆく「インテグラルイメージング方式の裸眼3Dディスプレイにおけるコンテンツ開発と応用システム」

 3Dメガネをかけずに、3Dディスプレイからの立体映像を見ることが可能な「裸眼3Dディスプレイ」というのを筆者が耳にしたのはごく最近の事である。ポスター発表のひとつに、東芝の森下明さんによる「インテグラルイメージング方式の裸眼3Dディスプレイにおけるコンテンツ開発と応用システム」というセッションがあった。

 ブースには2枚のディスプレイが展示されており、そのディスプレイがいわゆる「裸眼3Dディスプレイ」と呼ばれるものだった。ためしにのぞいてみると、メガネなしでも見事に立体映像を見られる。

 この立体映像は、9視差、つまり、9枚それぞれ角度などが違うものを組み合わせ、立体映像にしているそうだ。これらの「視差数が多い(9視差)」「視点を仮定しない平行光線」を用いられているのが、インテグラルイメージング方式という。

 この方式によれば、立体的に見える視点の位置というのがピンポイントではなく、かなり広くする事が可能になっているらしく、同じ位置で頭を動かさずとも、正面の30度の角度をカバーしているため、広域において立体視が可能だ。筆者も実際に試してみたところ、よほど頭を動かさない限りは、立体映像を確認することができた。

 しかし、一見メリットだらけの技術に思えるが、当然デメリットも現在は存在しており、「視差数が多いと立体範囲が広いが、3D解像度が低い」「飛び出せば飛び出すほど、その部分の解像度が低下する」などが挙げられていた。

 また、9枚それぞれ違う映像を使用するため、元の解像度がとても大きくなってしまう。ブースに展示されていた映像も、3840×2400という高解像度のものを、1280×800にして展示されていた。

 インテグラルイメージング方式を用いた開発・応用については、「バウンダリボックスインタフェース」というものがあり、9つのカメラという概念を意識せずに、コンテンツクリエイターは直観性の高いコンテンツ開発を行うことも可能になるようだ。

 マルチカメラの制御はコンテンツクリエイターにとって理解が難しく、コンテンツ開発がとても難しいものであったが、このバウンダリボックスによって、今後の3D開発環境は大きく変わるのかもしれない。

 発表者の森下さんは、この3Dディスプレイによる映像を「実際なしえないシミュレーション」として、教育などに生かしたいと語った。また、このような技術は、中国や韓国との競争の上で、日本では企業が協力していくべきだとも仰っていた。

会場ではこの2枚のディスプレイで立体映像を見ることができた
取材に快く応じてくださった、東芝の森下明さん。ブースを訪れる方々に丁寧な説明をされていた

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