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まさにSense of wonderなアイデアを発掘。ゲームの伝統に縛られない、個性的な9作品を一挙紹介!TGS2010【センス・オブ・ワンダーナイト 2010】(3/5 ページ)

東京ゲームショウ ビジネスデー最後のプログラムとして、9月17日に国際会議場で行われたセンス・オブ・ワンダーナイト。ゲームの伝統に縛られず、創造的、実験的なゲームを紹介するイベントで、今年が3回目の開催となる。今回は9作品を選考委員が選出し、プレゼンテーションが行われた。

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17歳の天才プログラマーが作るパズルゲーム「Everything can Draw!」

 はるばるイランから来日した「センス・オブ・ワンダーナイト」最年少の17歳プログラマーMahdi Bahrami氏が作った「Everything can Draw!」は、新たなパズルゲームへの追求というジャンルとして発表された。Mahdi氏は「私は実験的ゲームを作るのが大好きなんで、沢山の実験的ゲームを作っています」とのことで、そのうちの一つが「Everything can Draw!」だ。

 このゲームはオブジェクトを動かすことによって形状を描いていくというもの。例えば球状のオブジェクトに設けられているポイントをクリックする。そうすると、球状のオブジェクトは横に転がっていき、クリックしたスポットポイントが描く軌跡を、提示されている正解に当てはめるようにしていくゲームである。またレベルエディターで自分自身のレベルをデザインでき、様々なプレイヤーがレベルを作成できるようだ。

 Mahdi Bahrami氏はこのゲームを開発するに至った経緯についても話してくれた。「ある日私の数学の先生が、こういいました。『まっすぐの線に沿う形で車輪が動いていく際に、その丸の車輪のエッジのところにあるポイントの流れていく道筋はどういったものになるでしょうか。』そういう質問でした。この日が、私がこのゲームを思いついた日になります。そういう大部分の質問や命題といったものが、ゲームのアイディアになると思います。まさにこのゲームは、そのうちの一つというわけです」会場の参加者は17歳の若きプログラマーに感嘆の声をあげていた。

 最後に参加者から質問あり「せっかくなので将来の夢を教えてください」と聞くと「今のところは無い」との率直な一言。「ゲームデベロッパーになりたくはない?」という質問にも「ゲームには関心が無いのでなりたくない」とこれまた断固否定。素晴らしいゲームを作っただけに、意外な答えである。最後の質問では「あなたはゲームに関心が無いからゲームデベロッパーになりたくない、とおっしゃいましたが、では、あなたにとってゲームとはなんですか?」という問いがあった。確かに、ゲームに関心がないのにゲームを作るということは、何かゲームというものに別の考えがあるのだろう。しかし「自分が作ったゲームには関心をもっているが、その他のゲームに特に関心はない」というMahdi氏のサラっとした答えで終了した。彼がまた将来、何かの機会でゲームに興味を持ってくれることを楽しみにしよう。

イランから来日した17歳の若きプログラマーMahdi Bahrami氏。将来、いつか大きな夢を見つけてくれることを願っていよう
画面上部が、正解の軌跡。下の円形オブジェクトの外郭どこか一箇所をクリックし、円が転がった際に上の図のような軌道にするには、どの地点から軌跡をひくといいか? という問題

ドイツ発、完成度の高さが評価されたスマートフォン向けタイトル「Spirits」

 ドイツのSpaces of Playから発表された「Spirits」は、スマートフォンを対象に開発されたタイトルだ。今回はMattias Ljungstrom氏・Marek Plichta氏のお二人が来日し、プレゼンテーションを行う。「Spirits」はアクションパズルゲームで、プレイヤーは風や地上にある要素を操作することによって、Spiritsという霊を、ゴールに導く。プレイヤー主に四つのアクションをすることになる。風を吹かせたり、あるいは風をブロックさせたり、木の葉による橋のような足場を作ったり、トンネルを掘ることもできる。Spiritsの頭の部分は葉っぱのような形状をしており、そこで風を受け、吹き飛ばすことが出来る。四つのアクションを使って、プレイヤーはいかにSpiritsをゴールへ導くかを模索することになるのだ。

 上級レベルでは、もっと「謎」をベースとしたレベルというものも追加されている。また、ゲームを設計するにあたってそれぞれのレベルというものが、独特のものとなるように工夫を加えているそうだ。このゲームの評価された点としては「手堅い作り」と司会の新氏は語る。「アクションパズルとして、しっかりと完成されているのが評価されています」新氏が言うように、四つの異なるアクションを使って攻略するこのゲームは、どのような難しさでも、アクションの組み合わせによる「パズル」と、それによって動かされるSpiritsたちの動きによる「パズル」という要素が、作られた仕組みをしっかりと使用してプレイさせてくれるように出来ている。スマートフォンをお持ちの方には是非遊んでもらいたい作品だ。なお、こちらのリリース日について、10月ごろまでにはリリースしたいとのことなので、お楽しみに。

Mattias Ljungstrom氏・Marek Plichta氏はドイツからの参加。「Spaces of Play」は他に3名いるのだが、惜しくも来日は出来なかった
4つのアクションでSpirit(霊)をゴールへ導く。トンネルで穴を開けると、穴の向こうの風がトンネルから通ってくる、という仕掛けもあった

レコードのスクラッチ動作をパズルに用いたゲーム「Record Tripping」

 双子の兄弟JonとDan両氏から発表された「Record Tripping」というパズルゲームは、マウスホイールを使って、レコードをスクラッチするような動作を行うパズルゲームだ。フリーのオンラインゲームとして開発され、五分もあれば特徴をつかみつつプレイに慣れるという。

 プレゼンテーションで行われたデモプレイでは、転がっている樽の蓋部分に迷路が描かれており、その迷路の中にあるボールを迷路の出口に出すとクリアとなる。横向きに転がっている樽の蓋をレコードに見立てて、マウスホイールでスクラッチすることで樽の転がる方向を変え、ゆさぶることで迷路の中のボールを出口までもっていく、シンプルながら、新感覚のパズルゲームだった。

 他にも金庫の鍵を開錠するためにスクラッチしたり、ハードの難易度では、ただ物体をスクラッチして向きを変えたりするのではなく、スクラッチで風の向きを操り、落ちてくる鳥の羽を左右の指定されている場所に落とすなどの工夫もされている。コンベアベルトをスクラッチで操作し、空箱に上手く物を入れていくチャプターでは、バックグラウンドで流れている音楽もゲームプレイに影響しており、音楽にあわせて、コンベアベルトなどの機会がビートを打ち鳴らしている。それにより、プレイヤーはスクラッチのタイミングがつかみやすくなる。

 ゲーム内には様々な自然や動物が登場するが、「それはJonとDan、どちらが考えたの?」とGOW氏が質問すると「二人で考えました。あくまでも、二人のコラボレーションです」と、双子の兄弟ということもあってか、二人の仲の良さが伺える光景も。なお、こちらのゲームは既にリリース済みで、遊ぶことができる。

「Bell Brothers」のJon氏とDan氏は双子の兄弟。凄く仲が良い
樽の蓋に迷路が描かれていて、迷路の中のボールをスクラッチで脱出させるところ。このように、転がっている樽をスクラッチで動かす

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