体験することでその価値を知る――任天堂カンファレンスで語られたこと:Nintendo Conference 2010(2/2 ページ)
「持ち歩く、響き合う、毎日が新しい。」をコンセプトにしたニンテンドー3DSの発売日と価格が任天堂のカンファレンスで発表された。そのカンファレンスで何が語られたのか。
「ARゲームズ」で現実世界を遊ぶ
AR(拡張現実)技術を使った数種類のゲームが楽しめる「ARゲームズ」を標準搭載。
「HOMEボタン」の活用
ソフトをプレイ中に、下画面の下側中央にあるHOMEボタンを押すことで、いつでもHOMEメニューを表示できるようになっている。本体に内蔵されたいくつかの機能は、ゲームを一時的に中断して、実行することができるようになっている。例えば、ゲームの途中でインターネットブラウザを使って調べものも可能とのこと。
「思い出きろく帳」でデータの蓄積
3DSを持ち歩いた歩数や、ソフトで遊んだ時間が一覧で確認できる機能も追加。今後、こうしたデータを活用する専用ソフトが登場することも考えられる。
カメラの有効的な活用方法
ニンテンドー3DSには、内側にカメラがひとつ、本体外側に2つのカメラが搭載されている。この2つのカメラを使って、左目用と右目用の2つの画像を同時に撮影し、立体写真を撮り、すぐにその場で見ることができる。
- 立体写真を撮影可能
- ニンテンドーDSiと同様、カメラやサウンドの機能も搭載
- 外側と内側のカメラを同時に使う、「合体カメラ」機能も収録
ダウンロード販売を強化
デジタルコンテンツをダウンロードする、販売用のショップを開設。WiiショッピングチャンネルやニンテンドーDSiショップの操作性の欠点を解決すべく、販促と販売の機能を統合している。Wiiの例で言えば、「Wiiショッピングチャンネル」と、「みんなのニンテンドーチャンネル」が統合されたイメージだ。3DS専用のバーチャルコンソールを開設し、ゲームボーイやゲームボーイカラーのソフトを順次展開していくとしている。
構造を大きく作り替えることで、画面の切り替えも高速にし、軽快なレスポンスを実現した。ダウンロードしたコンテンツは、SDカードに記録。ニンテンドー3DSには、2GBのSDカードが同梱されているが、記憶容量が不足した場合には、大容量のSDカードに入れ替えも可能だ。なお、ニンテンドーDSiウェアを購入しているユーザーは、ニンテンドー3DSにすでに購入しているDSiウェアを引っ越しさせる機能を用意している。
- 販促と販売の機能を統合
- 画面の切り替えやレスポンスが高速化
- データ増量にはSDカードの入れ替えで対応可能
- すでに購入済みのDSiウェアを3DSに引っ越し可能
- ゲームボーイ、ゲームボーイカラーのソフトをバーチャルコンソールで順次展開
- クラシックゲームをニンテンドー3DS用に立体視表示化して販売予定
- ニンテンドーDSiウェアももちろん購入可能
- ニンテンドー3DS用新作ダウンロードソフトも販売予定
クラシックゲームの中には、立体視対応にすることで大きく印象が変わるゲームがあると、実験的にバンダイナムコゲームスの「ゼビウス」を立体化して出展していた。
「いつの間に通信」でいつの間にか通信している快適さを
ニンテンドー3DSはスリープ中に、自宅のWi-Fiアクセスポイント経由で様々な情報やコンテンツなどを自動的に送受信する「いつの間に通信」機能を実装している。
名前の通り、「いつの間にか」通信しているというもので、「すれちがい通信」のために他のニンテンドー3DSを探すだけでなく、周囲のWi-Fiアクセスポイントも探索。それが設定されているものであれば、必要に応じて自動的に通信を行い、様々なコンテンツや情報を自動的に送受信するという。
また、日本テレビ放送網ならびにフジテレビジョンと、任天堂がそれぞれ提携し、各テレビ局が制作した3Dのオリジナル映像を、「いつの間に通信」を使って毎日無料で配信する実験的な取り組みも実施される。
- 自宅のWi-Fiアクセスポイント経由で、様々な情報やコンテンツを自動的に送受信
- 3Dオリジナル映像コンテンツを無料配信
誰でも使える無線のインターネット接続を
任天堂は、「いつの間に通信」の利用向上のために、接続拠点を拡充する方針だ。まず、全国1000カ所以上のゲーム販売店店頭にあるDSステーションを、段階的にニンテンドーゾーン化し、「いつの間に通信」の接続拠点へ推進。2009年6月より展開している「マックでDS」では、ニンテンドー3DSでも利用できる。
また、ニンテンドーゾーンとは別に、NTTで公衆無線LANのインフラを展開しているNTTBPの情報配信プラットフォーム「Wifine」の提供エリアで、3DSの通信機能が利用可能となるサービスが2011年3月から順次展開される。鉄道や空港の施設、ファストフードやカフェなど、全国約2000エリアでの展開も予定されており、さらなるNTT東西との連携を強化するとしている。
- DSステーションを順次ニンテンドーゾーン化
- 「マックでDS」でニンテンドー3DSも利用可能に
- NTTBPの「Wifine」の提供エリアでも展開
上記の、ニンテンドー3DSの新たな機能と取り組みは、すべて「持ち歩く、響き合う、毎日が新しい。」という、新たな遊びのスタイルと結びついている。来年の2月26日に国内で発売されるニンテンドー3DSは、アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリアでも来年3月には発売され、さらなるシェア拡大を狙う。
カンファレンスの最後で岩田氏は、ニンテンドー3DSの普及への課題として、「任天堂ハードで売れるのは任天堂ソフトばかり」といわれる問題について触れた。確かに日本では、任天堂プラットフォームのサードパーティ比率は相対的に低いことは事実だ。グラフからも、特にWiiのサードパーティ比率が非常に低くなっているのが分かる。
DSも発売当初は同様な声があったものの、ハードの普及とともに状況が変化し、「任天堂のソフトばかりが売れる」といった声はあまり聞かれなくなったと岩田氏。Wiiについても、DSと同じようにハードの普及とともに状況が変化することを期待したが、結局問題は解決していないという。こうしたイメージから、ニンテンドー3DSでも同様な懸念が生まれるのは理解できるだろう。
上記のデータから推測して、世界規模で見ればWiiはサードパーティのソフトメーカーの販売実績において、他のプラットフォームに大きな遅れはとっていないと分かる。ニンテンドー3DSでは、日本においてWiiで経験した流れに陥ることがないよう、発売の段階で足並みそろえていく必要があると、クリエイターへのインタビューを上映した。
映像では、「BIOHAZARD:REVELATIONS」や「BIOHAZARD THE MERCENARIES 3D」を手掛けるカプコンの川田将央氏や、「戦国無双 Chronicle」のコーエーテクモゲームス 鯉沼久史氏、「メタルギア ソリッド スネークイーター」のKONAMI 小島秀夫監督、「レイトン教授と奇跡の仮面」のレベルファイブ 日野晃博氏、「KINGDOM HEARTS 3D(仮称)」のスクウェア・エニックス 野村哲也氏といったそうそうたるクリエイターがニンテンドー3DSへの期待とニンテンドー3DSだからこそのゲーム性をアピールした。
最後に岩田氏は、「ソフトメーカーのみなさんとともに、ニンテンドー3DSの普及を目指し、これからもゲーム人口の拡大に向けて努力していく」と述べ、実際に手にとって体験しその価値を理解してほしいと締めくくった。
ニンテンドー3DSの特徴/まとめ
- 発売日:2011年2月26日発売
- 価格(税込):2万5000円
- カラー:発売時、アクアブルーとコスモブラックの2色
- セット内容:ニンテンドー3DS本体、ニンテンドー3DS専用充電台、ニンテンドー3DS用ACアダプタ、ニンテンドー3DS専用タッチペン、SDメモリーカード(2GB)、ARカード(6枚)、かんたんスタートガイド、取り扱い説明書、保証書
- 裸眼で3D映像を楽しめる――3Dボリュームで立体感を調節したり、2D表示にすることも可能
- 3D写真が撮影できるステレオカメラ――外側カメラは左右2個。3D写真を撮影し、その場で3D表示可能
- 新たな入力インタフェース――スライドパッド、モーションセンサー、ジャイロセンサー
- いつの間に通信――スリーブモード時に、自動的に他の3DSとデータを交換。複数のゲームのデータを同時に通信可能
- HOMEメニューで、ゲームを終了せずにインターネットブラウザなど利用可能
- 内蔵ソフトが豊富――ニンテンドー3DSカメラ、ニンテンドー3DSサウンド、Miiスタジオ、すれちがいMii広場、ARゲームズ、思い出きろく帳など
- ゲームソフトなどのダウンロード販売――ソフトの紹介映像やランキングなども閲覧可能
- ソフトとデータの引っ越し機能――購入済みのDSiウェアを3DSに引っ越し可能。ただし、引っ越し回数には制限あり。引っ越しできないソフトも
- 互換機能――ニンテンドー3DS専用に開発された新作ソフトのほか、ニンテンドーDSiを含むニンテンドーDSシリーズ用ソフトを遊ぶことも可能
- 保護者による使用制限機能
今回プレイアブル出展されていたニンテンドー3DS専用ソフトラインアップ
- 「キュービック ニンジャ(仮称)」(AQインタラクティブ)
- 「Asphalt 3D(仮称)」(KONAMI)
- 「HIDEO KOJIMA'S METAL GEAR SOLID SNAKE EATER 3D "The NAKED sample"」(KONAMI)
- 「ウイニングイレブン」シリーズ(KONAMI)
- 「プロ野球スピリッツ」シリーズ(KONAMI)
- 「BIOHAZARD REVELATIONS」(カプコン)
- 「スーパーストリートファイターIV 3D EDITION」(カプコン)
- 「DEAD OR ALIVE Dimensions」(コーエーテクモゲームス)
- 「戦国無双 Chronicle」(コーエーテクモゲームス)
- 「チョコボレーシング 3D(仮称)」(スクウェア・エニックス)
- 「とびだす!パズルボブル 3D(仮称)」(スクウェア・エニックス)
- 「スーパーモンキーボール(仮称)」(セガ)
- 「DECA SPORTA EXTREME(デカスポルタ エクストリーム)(仮称)」(ハドソン)
- 「ゼビウス」(参考出展)(バンダイナムコゲームス/任天堂)
- 「ダブルペンスポーツ(仮称)」(バンダイナムコゲームス)
- 「リッジレーサー 3D」(バンダイナムコゲームス)
- 「レイトン教授と奇跡の仮面」(レベルファイブ)
- 「3D美人時計(仮称)」(美人時計)
- 「nintendogs + cats」(任天堂)
- 「Pilotwings Resort(仮称)」(任天堂)
- 「STARFOX64 3D」(任天堂)
- 「STEEL DIVER」(任天堂)
- 「新・光神話 パルテナの鏡」(任天堂)
- 「スーパーマリオランド」(任天堂)
- 「ゼルダの伝説 時のオカリナ 3D(仮称)」(任天堂)
- 「ゼルダの伝説 夢をみる島DX」(任天堂)
- 「どうぶつの森(仮称)」(任天堂)
- 「マリオカート(仮称)」(任天堂)
- ダウンロード映像 日本テレビ「FOUR SEASONS」(参考出展)
- ダウンロード映像 フジテレビ「アイドリング」(参考出展)
今回発表されたニンテンドー3DS専用ソフトラインアップ
- 「キュービック ニンジャ(仮称)」(AQインタラクティブ)
- 「Asphalt 3D(仮称)」(KONAMI)
- 「METAL GEAR SOLID SNAKE EATER」(KONAMI)
- 「Project ラブプラス for Nintendo 3DS」(KONAMI)
- 「ウイニングイレブン」シリーズ(KONAMI)
- 「プロ野球スピリッツ」シリーズ(KONAMI)
- 「FISH ON(仮称)」(アスキー・メディアワークス)
- 「BIOHAZARD REVELATIONS」(カプコン)
- 「BIOHAZARD THE MERCENARIES 3D」(カプコン)
- 「スーパーストリートファイターIV 3D EDITION」(カプコン)
- 「ロックマンDASH3 PROJECT」(カプコン)
- 「DEAD OR ALIVE Dimensions」(コーエーテクモゲームス)
- 「戦国無双 Chronicle」(コーエーテクモゲームス)
- 「チョコボレーシング 3D(仮称)」(スクウェア・エニックス)
- 「とびだす!パズルボブル 3D(仮称)」(スクウェア・エニックス)
- 「スーパーモンキーボール(仮称)」(セガ)
- 「DECA SPORTA EXTREME(デカスポルタ エクストリーム)(仮称)」(ハドソン)
- 「エースコンバット 3D(仮称)」(バンダイナムコゲームス)
- 「ダブルペンスポーツ(仮称)」(バンダイナムコゲームス)
- 「テイルズ オブ ジ アビス(仮称)」(バンダイナムコゲームス)
- 「プロ野球 ファミスタ2011(仮称)」(バンダイナムコゲームス)
- 「リッジレーサー 3D」(バンダイナムコゲームス)
- 「アニマルリゾート(仮称)」(マーベラスエンターテイメント)
- 「Combat of Giants ダイナソー 3D(仮称)」(ユービーアイソフト)
- 「Ghost Recon Tactics(仮称)」(ユービーアイソフト)
- 「スプリンターセル 3D(仮称)」(ユービーアイソフト)
- 「ドライバー 3D(仮称)」(ユービーアイソフト)
- 「レイトン教授と奇跡の仮面」(レベルファイブ)
- 「nintendogs + cats」(任天堂)
- 「Pilotwings Resort(仮称)」(任天堂)
- 「STARFOX64 3D」(任天堂)
- 「STEEL DIVER」(任天堂)
- 「新・光神話 パルテナの鏡」(任天堂)
- 「ゼルダの伝説 時のオカリナ 3D(仮称)」(任天堂)
- 「どうぶつの森(仮称)」(任天堂)
- 「ペーパーマリオ(仮称)」(任天堂)
- 「マリオカート(仮称)」(任天堂)
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