ITmedia ガジェット 過去記事一覧
検索
ニュース

1760台のPS3で作られた、アメリカ空軍の格安スパコンが正式稼働開始日々是遊戯

ウワサでは万能ネギよりも万能らしいPS3。アメリカ空軍はなんと、PS3を使ってスーパーコンピュータを作ってしまいました。

PC用表示 関連情報
advertisement

Cellの実力、おそるべし

PS3がずらりと1760台並んでいるわけではないと思いたい。そういえば、以前の記事では2500台調達したはず……残り740台はどうしたんだろう……

 以前紹介した「アメリカ空軍が2500台ものPS3を調達した理由とは?」の続報です。

 海外の複数ニュースサイトが伝えるところによると、このたびアメリカ空軍は正式に、PS3を使ったスーパーコンピュータが完成したと発表したとのこと。「Condor Cluster(コンドルクラスタ)」と呼ばれるこのスーパーコンピュータは、合計1760台のPS3と168台のゼネラルプロセッサーで構成されており、秒間約500テラFLOPSの演算が可能だそうです。

 この処理速度は、現在北米最速と言われるスーパーコンピュータ「Jaguar」の3分の1以下(「Jaguar」は秒間約1750テラFLOPSの演算が可能)。しかし、コンドルクラスタの最大の特徴はそのコストパフォーマンスにあります。

 今回のプロジェクトのディレクターを務めたアメリカ空軍のMark Barnell氏によれば、コンドルクラスタを構築するためにかかった費用はおよそ200万ドル(約1億6500万円)。もしも従来の手法で同性能のスーパーコンピュータを作ろうとすれば、おそらくこの10〜20倍のコストがかかっただろうとMark氏は指摘します。もちろん一概には比較できませんが、「事業仕分け」でも話題になった日本の次世代コンピュータ開発予算がおよそ209億円(平成22年度予算案)ですから、コンドルクラスタがいかにコストパフォーマンスに優れているかがうかがえますね。

 コンドルクラスタは12月1日より正式に運用されており、今後は人工知能研究や合成開口レーダーの強化、映像・パターン認識研究などに使われていくとのこと。また今後の改良によりさらなる処理速度の高速化も見込めるとのことです。

「スパコン並み」とも言われるPS3の処理能力ですが、まさかホントにスパコンになる日が来てしまうとは……(写真はThe Escapistから転載)

 ――と、ほとんどいいことづくめの「PS3スパコン」ですが、もちろんメリットばかりではありません。ご存じのとおり、現在PS3の最新ファームウェアではLinuxのインストールオプションが削除されてしまっており、アメリカ空軍もSCEのこの決断には頭を悩ませたとのこと。ある記事では最後に「もしもあなたのまわりに開封済みのPS3があるのなら、古いファームウェアのまま残しておいた方がいいでしょう。いつか軍からあなたに買い取りの申し出が来るかもしれません」と締めくくっています。


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る