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“世界のワーナー・ブラザーズ”が、ゲームパブリッシング事業に参入

ワーナー・エンタテインメント・ジャパンが「フィアー」や「バットマン」をひっさげ、ゲームのパブリッシング事業参入を発表。果たしてその真意とは?

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 2月10日にワーナー・エンタテインメント・ジャパンは、東京六本木のグランドハイアット東京にて、ゲームのパブリッシング事業に参入する旨を発表した。

 ワーナー・エンタテインメント・ジャパンは、米ワーナー・ブラザースの日本法人で、日本での映画やアニメーションの製作、および配給。映画のDVDとブルーレイディスクの販売を行なっている。

 世界的にも非常に大きな企業で、昨年から多くのゲーム関連の企業を買収しており、今回満を持しての発表となった。

 本記事では、今回の発表会で公開された、ワーナー・エンタテインメント・ジャパンの今後の方針や、ゲームのリリース予定について紹介する。

※一部、関連企業についての記述を、掲載時から修正させていただきました。

目指すのは「日本初のグローバルコンテンツ」! 事業参入の理由とは?

ワーナー・ホーム・ビデオ、デジタル・ディストリビューションのジェネラルマネージャーの福田太一氏

 本イベントは、ゲームパブリッシング事業参入に到るまでの道筋や今後の戦略が公開され、その次に発売タイトルがされるという流れで進行した。

 まず最初に、業界への参入の理由について、ワーナー・ホーム・ビデオ、およびデジタル・ディストリビューションのジェネラルマネージャーを務める、福田太一氏からの解説が行われた。



 日本のゲーム市場は、長らく海外の作品が受け入れられ難い市場とされ、海外の大ヒット作品が、日本ではヒットに至らない事例が多くあった。

 しかし福田氏は、日本市場における海外ゲームの受容層が大きく拡大している事と、HDゲーム機の販売台数が大きく伸びている、というデータを公開。

 海外の高品質な海外ゲームを受け入れる土壌が出来上がってきた今こそ、ゲーム事業参入のタイミングだと語った。

 さらに、独自に実施した「日本のゲームユーザーが、海外タイトルに対する期待」というアンケートにおいて、上位となったのは「映像表現のクオリティの高さ」「日本国内では見られないような斬新さ」「日本人の好みにあったキャラクター」といった物が挙げられていた。

 こういった声には、日本でヒットした映画「ハリー・ポッター」等のキャラクターを活用したゲームを、海外のゲームスタジオで開発する事で答えて行くとの事。

ワーナーブラザーズのインタラクティブエンターテイメント・シニアバイスプレジデントのオリビエ・ウルフ氏

 続いては、ワーナーブラザーズのインタラクティブエンターテイメント・シニアバイスプレジデントを務める、オリビエ・ウルフ氏により、パブリッシャーとしての今後の活動方針に付いて説明が開始された。

 オリビエ氏はまず、日本でのパブリッシング事業に関して、「マルチフォーマット」「主力ブランドへの注力」「グループシナジーの最大化」という3つのアプローチを仕掛けてゆく旨を発表した。

 この際オリビエ氏は「ソニーさん、マイクロソフトさん、任天堂さんの協力をいただき、活動を行っていきます」と発言。



 数あるワーナー・ブラザーズの関連企業が協力し合う事で、保有しているブランドを売り出す際に、広告面とクオリティ面とで最大限の効果を発する「グループシナジー」。

 それを、タイトルに合ったプラットフォームで発売する事で、最大限のセールスを狙うのが目的となるだろう。

 オリビエ氏が最終目標としてアピールしたのは「日本から、グローバルコンテンツを発信する」という事だ。

 現在進んでいるプロジェクトに、ドラマ「スーパーナチュラル」のアニメ化プロジェクトという物がある。

 これを日本でヒットさせた暁には、日本から派生コンテンツを制作・発信してゆくつもりであると言う。

「フィアー」そして「バットマン」! 最強の布陣で挑む2011年!

 次に壇上に登ったのは、ワーナー・ホーム・ビデオ、およびデジタル・ディストリビューション、ローカルコンテンツ、ビジネスディベロップメントシニアマネージャーの山口貴也氏。

 ここからは、今年の販売ラインナップの発表、および販売戦略に関しての発表がスタートした。

ワーナー・ホーム・ビデオ、およびデジタル・ディストリビューション、ローカルコンテンツ、ビジネスディベロップメントシニアマネージャーの山口貴也氏

 今年発売予定のタイトルは「レゴ ハリー・ポッター第1章〜4章」「フィアー3」「ロード・オブ・ザ・リング ウォー・イン・ザ・ノース」「バットマン アーカム・シティ」の4つとなる。ここでは、ひとつずつ公開された内容を紹介していく。

「レゴ ハリー・ポッター第1章〜4章」(PS3)

 海外で高い人気を得ている「レゴ」シリーズの最新作。

 これまで公開された「ハリー・ポッター」の映画シリーズの1章から4章までのストーリーを楽しめるアクションゲーム。

 以前に公開された、映画の最新作「ハリー・ポッターと死の秘宝 Part1」のブルーレイの出荷に併せて広告を仕込んでゆく予定であるとの事。

 今後公開される予定の、映画版後編のブルーレイ、およびDVD発売のタイミングにも、何らかのアプローチを仕掛けていく予定があるようだ。発売日は、4月21日に予定されている。



「フィアー3」(PS3/Xbox 360)

 日本でも、比較的高い人気を持つ、ホラー・FPSゲームシリーズ。

 その名の通り、映像や音といった、様々な演出で、プレイヤーの恐怖をかきたてる。


 販売においては、新作ホラー作品のBDリマスターパッケージなどに、広告映像などを封入する等の、プロモーションをする予定で、今年の初夏に発売が予定されている。

 今後、逆にゲームから映画などの、マルチコンテンツ化の可能性も考えられている。

「ロード・オブ・ザ・リング ウォー・イン・ザ・ノース」(PS3/Xbox 360)

 ゲームの詳細については伏せられたままだったが、ロード・オブ・ザ・リングBD版に併せてのプロモーションをする。発売は、今年の初秋を予定している。


「バットマン アーカム・シティ」(PS3/Xbox 360)

 同じくゲームの詳細については伏せられたままだったが、「スーパーマン」などの関連した旧作BD版と関連したプロモーション活動を行うとの事。発売は今年の秋になるようだ。


 この発表を持って、ワーナー・エンタテインメント・ジャパンのゲームパブリッシング事業参入に関しての発表は終了した。

 すでに発表されている内容だけでも、十分に期待できるものばかり。現在縮小しているとされる日本のゲーム業界に、どういった波紋を起こしてくれるのか。今年こそが「世界のワーナー」の力の見せどころと言えるだろう。

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