第8回:ステージクリアの快感をさらに高める、ボーナス得点のアイデアいろいろ:なぜ、人はゲームにハマルのか?(2/3 ページ)
「なぜ、人はゲームにハマルのか?」をまじめに考察する不定期企画の8回目は、人がゲームに夢中になる仕組みをスコア(得点)アップのシステムから考察していきます。
戦略性の要素などを盛り込み、さらに工夫をこらした得点システムの数々
制限時間や得点アイテムのクリアボーナス以外にも、いざ調べてみると面白いスコアアップのシステムがいろいろと存在することが分かります。
まずはKONAMIが1984年にアーケードゲーム用として発売した「ロードファイター」のプレイ動画から見てみましょう。本作はマイカーの燃料がゼロになる前にゴール地点にたどり着けばステージクリアとなり、途中で何回クラッシュしても燃料さえ残っていればゲームオーバーにはならないというルールになっています(※ただし、クラッシュするごとに燃料が減るペナルティが存在します)。
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本作のクリアボーナスの特徴は、その時点での総合順位が高いほど得点がアップする「RANKING BONUS」と、他の車を1台抜くごとに50点が加算される「PASSED BONUS」の2種類が存在することです(※総合順位は、薄い黄色のライバルカーを抜いたときにアップします)。つまり、より高得点を稼ぐためにはクラッシュなどのミスをしてタイムロスを防ぐとともに、敵をどんどん追い抜いて順位を上げることが必要なわけです。
また「RANKING BONUS」については、1面の場合はゴール時点で32位、すなわちスタート地点では40位の状態から始まりますから8台追い抜くと1万点となり、以下33位なら5000点、34位なら4500点……というように順位が低くなるほどボーナスが下がります。ちなみに2面では25位でゴールすれば1万点、24位なら5000点になります。
ここで注目していただきたいのは、動画を見れば明らかなように「RANKING BONUS」で1万点を取るためには常にトップギアで走り続け、なおかつ途中で一度もクラッシュせずにゴール地点付近まで進まなければいけないこと。1面では1万点が取れていますが、2面では途中で何度もミスをしたせいで5000点になっています。このように、完璧なプレイのときとそうではないときの間に大きな得点差を設けることも、プレイヤーのモチベーション喚起にひと役買っていると言えるでしょう。
1986年にテクモ(現:コーエーテクモゲームス)が発売したアーケードゲームの「アルゴスの戦士」でも、またちょっと変わったクリアボーナスのシステムが存在します。本作では、各ステージごとに倒した敵の数に応じて加算される「REPULSE BONUS」、プレイヤーのランクに応じた「RANK BONUS」、そして残りタイムから計算した「TIMER BONUS」の3種類のクリアボーナスが存在します。
今回用意したムービーには2ステージ分のプレイ映像を収録してありますが、それぞれクリアしたときの「RANK BONUS」の数字が異なっています。なぜ点数が異なっているのか、その理由がムービーを見ただけでみなさんは分かりますか? 「眼力」に自信のある人は、ぜひノーヒントで考えてみてください。
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その答えは、画面左上(得点のすぐ上側)にあるランクを示すマークが2番目のステージの途中で変化したから。実は本作では、一定数の敵を倒すごとにランクが上がる仕組みになっているので、より得点を稼ぐためには敵の攻撃から逃げ回らずにリスクを承知でより多くの敵と戦うことが必要となります。
それにしてもこの「RANK BONUS」、プレイ中はミスしないように敵を動きをずっと見なければいけないので、どのタイミングでアップしているのかなかなか気付きにくいですよね……。気付かなかった人は、ぜひもう一度ムービーをよ〜く見てください!(※ちょうど2分を過ぎたぐらいのところでマークがビミョーに変化しています。)
次の例は、1993年に東亜プランが開発したアーケード用縦画面シューティングゲームの「V・?」(ヴイ・ファイヴ)です。本作では、特定の敵を倒すと出現する赤いカプセルを集めることで自機をパワーアップさせることができるようになっています。
またカプセルにはボーナス得点の要素もあり、ステージクリア時に回収したカプセル1個につき1000点が加算され、さらにすべてのカプセルを取っていれば「NO MISS PERFECT!」と画面に表示されて、ボーナスが2倍になる特典もあります。このアイデアを盛り込んだことによって、プレイヤーはボスを倒してクリアに成功したのと同時に、パーフェクトボーナスも獲得できればその嬉しさがますますアップします。
ただし、途中でミスした場合はカプセルの数がリセットされ、また再スタート時にはすべてのカプセルが回収できない地点からやり直しとなるケースが多いため、パーフェクトボーナスを得るにはノーミスでクリアする腕も同時に要求されることになります。
さらに、1周全5ステージに出現するカプセルを全部回収してクリアすると、オールステージパーフェクトとしてなんと500万点もの大ボーナスが加算されるようにもなっているので、もしボーナスの獲得に成功したときはクリアしたときにはこのうえない快感が得られます。実際、筆者も初めてこのボーナス獲得に成功したときの感動は、当時から18年以上が経過した今でも鮮明に記憶しています。
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