第13回:「隠れキャラ」に隠された、プレイヤーをゲームのとりこにするヒミツ(つづき):なぜ、人はゲームにハマルのか?(2/5 ページ)
「なぜ、人はゲームにハマルのか?」をまじめに考察する不定期企画の13回目は、隠れキャラの魅力についての続きです。
次に、ナムコと同じくファミコン初期から参入していた老舗メーカーのジャレコの例を見てみましょう。1985年に発売したファミコン用アクションゲームの「シティコネクション」では、ニューヨークステージの背景にある自由の女神の近辺でオイルを合計10個投げると、空中に奇妙な形をしたヘブラムという「隠れキャラ」が登場し、取るとクラリス(マイカー)のストックが1機増えるようになっています。
実はこのヘブラム、元々は同社のファミコンソフト第1弾であるシューティングゲーム「フォーメーションZ」の敵キャラクターだったのです。過去の作品の敵キャラを利用するというアイデアによって、プレイヤーは「隠れキャラ」を発見したときの感動はもちろん、もし元ネタの作品を知っていた場合は同時に懐かしさも堪能できて思わずニヤリとしてしまいます。
カプコン作品の「隠れキャラ」として昔から特に有名なのが、前回のコラムでもご紹介した風車の形をした弥七。元々は1984年に発売された「バルガス」(※カプコンのビデオゲーム第1号作品)というアーケード用シューティングゲームの敵キャラクターでしたが、後に発売された「魔界村」をはじめ、取ると主人公のストックが増えたりボーナス得点が入る「隠れキャラ」として多くの作品に登場したことで、当時のプレイヤー間ではすっかりおなじみになりました。
また、同じく前回に取り上げた「ソンソン」に出てくる「隠れキャラ」のタケノコは、後の1987年に発売されたシューティングゲーム「1943」にも同じ条件(※特定の地点を通過する)で出現します。さらには、1984年に発売されたアクションゲームの「ひげ丸」で主人公が武器と使用していたタル(樽)が、同じく「1943」や1986年に発売されたアーケード用シューティングゲームの「サイドアーム」などの「隠れキャラ」としても利用されていました。
「隠れキャラ」に限った話ではありませんが、当時からカプコンのゲームを遊んだ経験がある人であれば、過去にプレイしたゲームと同じキャラクターを発見するたびに、「ウワッ、いかにもカプコンらしいなあ!」などとウキウキしながらゲームを楽しんでいたのではないでしょうか? その結果、自社製品のファンを増やすことにも少なからず貢献していたのではないかと思われます。
かつてのコナミ作品においては、マント姿で空を飛ぶコナミマン太郎と呼ばれる「隠れキャラ」が多くのタイトルに登場していました。一番最初に登場したのは、1984年に発売されたアーケード用レーシングゲームの「ロードファイター」で、特定の条件を満たすと画面下から飛んできて3千点のボーナス得点が入るようになっていました。
その後、コナミマン太郎は前回ご紹介した「グーニーズ」をはじめ、「キングコング2」「がんばれゴエモンからくり道中」「火の鳥 鳳凰編」など主にファミコン用ソフトを中心に数多く登場し、取ると高得点のボーナス得点が入ったり主人公が1UPするなど、まさにその風貌どおりにプレイヤーを助ける正義の味方としておなじみの存在となりました。なお余談になりますが、コナミマン太郎は1988年に発売されたファミコン用アクションゲーム「コナミワイワイワールド」ではコナミマンへと名を改め、晴れて主役の座を射止めています。
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