ハドソンのマークはなぜ「ハチ助」なの? トリビアで振り返るハドソンの歩み:日々是遊戯
またひとつ、ゲーム業界から老舗の看板が……。3月1日付で解散となることが発表されたハドソンですが、ファミコン世代にとっては単なる1メーカーという以上に思い入れの深いメーカーでした。
KONAMIにハドソンの今後についても聞きました
すでにニュースでお伝えしているとおり、老舗ゲームメーカーの1つ、ハドソンが3月1日付を持って、コナミデジタルエンタテインメントとの吸収合併により解散することが明らかになりました。
ハドソンの創業は1973年。初期はアマチュア無線器機やPC用ソフトの販売がメインでしたが、その後ファミコンが登場すると、サードパーティ第1号として市場に参入、「スターソルジャー」や「ボンバーマン」、「高橋名人の冒険島」など多くのヒット作をリリースし、ゲーム市場拡大に貢献しました。思えば筆者がはじめて遊んだファミコンのソフトも、ハドソンの「ロードランナー」でしたっけ……。
今回はそんなハドソンについての、ちょっとした豆知識を集めてみました。
1:日本初のサードパーティ
冒頭でも書いたとおり、任天堂以外ではじめてファミコンのソフトをリリースしたのがハドソンでした。ファミコン以前の(日本の)ゲーム機にはそもそもサードパーティという概念がなかったことを考えると、ハドソンは日本におけるサードパーティの先駆けということになります。ちなみに、記念すべき参入第1弾タイトルは「ナッツ&ミルク」、2本目が「ロードランナー」でした。
またサードーパーティとして参入する以前にも、任天堂とは「ファミリーベーシック」を共同開発するなど、ハドソンと任天堂の関係は非常に深いものでした。任天堂の「マリオパーティ」シリーズを開発していたのも実はハドソン社内のチームだったりします。
2:社名の由来
「ハドソン」の社名は、蒸気機関車の車軸配置パターンを表す「ハドソン型」からとったもの。創業者の工藤裕司氏は熱心な鉄道ファンとして知られ、大学在学中に、「グループハドソンプロダクション」という社名で、自分で撮影した蒸気機関車の写真を販売。これが「ハドソン」の社名につながった形となっています。
また当時のハドソン本社があった札幌市の郵便番号は「062」、当時の代表電話番号は下4ケタが「4622」でした。これらはいずれも、工藤社長が好きだった国鉄C62形蒸気機関車の「C62」に合わせたものと言われています。
3:ハチ助の由来
ハドソンのゲームやCMにたびたび登場した「ハチ助」は、ハドソンの社章に描かれている蜂のマークがモチーフ。そもそもなぜ蜂なのかと言えば、当時北海道のアマチュア無線エリア番号が「8」だったことから、「ハチ」つながりで「蜂」になったのだそうです。
ちなみにゲーム内でのハチ助は、取ることでコンティニューが可能になったり(高橋名人の冒険島)、バリアがついたり(迷宮組曲)といった便利なお助けアイテムとして登場。効果はゲームによって異なりますが、大抵は最高クラスの便利アイテムとして描かれており、その存在に助けられた人も多いのではないでしょうか。
4:高橋名人の意外な前職
ハドソンと言えば、忘れてはならないのが高橋名人。得意の「16連射」は当時の子供たちの憧れで、名人の存在がファミコンブームの一端を担ったと言っても過言ではありません。
そんな名人ですが、ハドソンに就職する前は、札幌にあったスーパーマーケットで野菜の仕入れなどを担当していたそう。「高橋名人の冒険島」内ではナスがキライという設定でしたが、後にインターネットラジオで「普通に食べられる」とカミングアウトし、ファミコン世代を震撼させたのも今となってはいい思い出です。
なお名人は2011年5月末日付でハドソンを退社。「ハドソンの高橋名人」から「ゲーム業界の高橋名人」へと転身し、様々な番組などに出演しています。
5:PCエンジンの中にいる、3匹のハチ助
1987年になると、ハドソンはNECホームエレクトロニクスと共同で、新型家庭用ゲーム機「PCエンジン」を開発。PCエンジンでは実質ファーストパーティとして、「カトちゃんケンちゃん」や「天外魔境」など多くの名作を生み出しました。
そんなPCエンジンですが、分解して中を覗いてみると、ハドソンの「ハチ助」が意外なところに隠れています。ゲーム機の心臓部とも言えるCPUと、2基のビデオチップの表面をよく見ると、そこには「HUDSON」の文字とともにおなじみの「ハチ助」が! 「見てみたい!」と思った方は何卒、自己責任でよろしくおねがいします。
ちなみにハドソンが解散になってしまうということは、今後ハドソンの名前はゲーム業界から完全に姿を消すことになってしまうのでしょうか? KONAMIの広報に問い合わせてみました。
「ハドソンのブランドについては今後も残していく予定です。具体的にどのシリーズ、どんなスケジュールでとは言えませんが、ハドソンがこれまで展開していた商品やサービスについても残していくつもりです」(KONAMI 広報)
――おおっ! ということで、今後もハドソンのブランドやシリーズ自体は、KONAMIが引き継いでいくつもりとのこと。もっとも、さくまあきら氏が「桃太郎電鉄」シリーズの終了を宣言したように、すべてのシリーズやタイトルを以前とまったく同じ形で続けるのはやはり難しいのかもしれません。とは言え、昔からのゲームファンにとっては、単なる1メーカー以上の思い入れがあるのも確か。簡単には消えてしまわないよう、今後のKONAMIに期待したいところです。
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