サブ4は「着て」突破する時代に突入しました!(後編):拝啓サブ4難民の皆さま
フルマラソンでサブ4を達成するためには走る姿勢も重要。理想的な姿勢を作る上で有効な体幹トレーニングや矯正ウェアについてスポーツショップ「GALLERY・2」の小澤氏に伺いました。
「今シーズンこそ、サブ4を達成したい!」そう考えるランナーは少なくないと思います。しかし、雑誌『ランナーズ』などを発行する株式会社アールビーズの調査「ランニングデータ2015」によると、サブ5達成者が11万人以上を記録しているのに対して、サブ4達成者は約7万人と、達成できそうでできない『サブ4難民』が数多く存在することが明らかになっています。サブ4達成のために必要なものとは一体何なのでしょうか。
サブ4達成には「脚力」ではなく「腹筋」で走る、という意外な事実を、スポーツショップ「 GALLERY・2 」の小澤副店長に解説してもらった前編。さらに、腹筋で走れないランナーのためのシューズ選びのポイント「ガイドライン」も解説してもらいましたが、最近では体幹の問題を「着て」解決するという、新たな選択肢も登場しているようです。
今回はサブ4を「着て」突破する方法を、引き続き小澤副店長に、聞きます。
マラソンは最初の10キロで勝負が決する
―― 前編で伺った「腹筋・腰を使った走法」を習得することで、どのような走りが可能になるかもう一度整理していただけますか?
腹筋周りを使って走れるようになると、「この姿勢をずっとキープできれば疲れないな」というのが感覚で分かってきます。よく「ランナーズハイ」といいますが、これは自分に合った走行フォームにハマったということだと思うんです。
一度理想の走行フォームにハマれば疲れないですし、腕もよく振ったままでいられます。その状態を10キロ目まででつかむか20キロまででつかむかで、ラストの10キロのときにスパートできるかが変わってくるはずです。
だから最初の10キロとラスト10キロが大事で、最初の10キロでオーバーペースになり、型にハマらないようでは、20キロでペースダウンしてしまう。逆に、そこまでに型にハマれば、後半まで疲労せずに走れるはずです。
より速く走るためには、「走ること以外でのトレーニング」も重要
―― 体作りのために、走ること以外でやるべきトレーニングはありますか?
体幹トレーニングをすべきだと思います。うつ伏せになって肘で体を支える体勢を取ると、腹筋、背筋が鍛えられるのですが、それをやると走っているときに前傾姿勢を維持できるようになります。
はじめは1分くらいで限界がきますが、これを2〜3分できるようになると、良い姿勢を維持したまま長く走れるようになるはずです。走らない日がある場合は、このトレーニングだけでもやっておくと違うと思いますよ。
タイツでサブ4達成できる、その仕組みとは?
―― 前編では良い走行フォームを維持するためのシューズをご紹介いただきましたが、タイツやウェアにもそういった機能はあるのでしょうか?
タイツには3つの種類があります。一つ目は寒いから履く、二つ目は膝の痛みなどを和らげるために履く、三つ目は速く走る姿勢を維持するために履く、です。
レースが近くなってくると、慢性的な疲労からケガをする人が出てきます。このとき、完走を目的としているなら痛みを和らげるようなタイツを履くべきでしょうし、サブ4を狙っているなら、痛みでフォームが崩れないよう姿勢を矯正してくれるタイツを履くべきでしょう。
―― なぜ速く走るために「タイツで姿勢の矯正」が必要なのでしょうか?
分かりやすいのは上半身のウェアですが、例えば「前に速く進みたい」と思うと、どうしても背中が丸くなりがちですよね。でも前傾姿勢と猫背は全然違うものです。そこでインナーが正しい姿勢に導いてくれると、意識して前傾姿勢にする必要がなくなります。
このように、速く走るのに適した姿勢に、タイツやウェアが導いてくれる。これが速く走るために作られているウェアの仕組みです。
―― 姿勢矯正と聞くと、動きにくそうなイメージもありますが、本番も履いたほうがよいのでしょうか?
トレーニングの間に走り方を覚えてしまえば、本番では脱いでしまうのもアリですよね。走り方のアシストが必要なうちは着ればよい。例えば「20キロをゆっくり走る」というトレーニングは、自分をベストな走りの「型」にはめることを目的としているものですが、これがうまくできていないときに助けてもらうイメージでもよいかなと思います。
考えなくても型にはまる姿勢を作ってくれるので、それに慣れてしまってから、本番を迎えることができればベストなのではないでしょうか。
ハーフマラソンとは異なる、フルマラソン独自のウェア選びのポイントは
―― ウェア選びにもポイントがあるのでしょうか?
人によるとは思いますが、動きやすさや前傾姿勢を維持するサポート機能がついたものなど、総合的に必要と思われる機能を選択・判断してウェア選びをするのがよいと思います。
また、10キロマラソンやハーフマラソンならあまり気にしなくてよいと思うのですが、フルマラソンだと30キロ以降で汗冷えの問題などが出てきます。そのときにまだ快適なラン環境が作れるかどうかという点で、ウェアは大切だと思いますね。
―― 30キロという疲労も感じやすい距離こそ、汗でウェアが重く感じたり、不快感を覚えたりしてしまうのですね。
そうですね。だからできるだけ早い段階で本番を想定したウェアをそろえたいですね。レースまでラスト一カ月になると、一般の会社員だと休日が8日くらい。その8日でどれだけまとまったトレーニングをして、仕上げていくかだと思うんです。
もちろん強引な練習はできないので、サブ4を目指すなら土日2日間で50キロとか、本番想定の走りをしたり、サプリメントをいれたり、ウェアの着心地を確認したりして調整していくと、当日楽しめると思うんですよね。
―― より疲労が少ない走法に導いてくれるウェアやタイツ、シューズにサポートしてもらいながら、本番想定の練習をしていきたいと思います。ありがとうございました!
GALLERY・2 新宿店4F 副店長 小澤直記(おざわ なおき)
2000年よりGALLERY・2に入社。陸上経験なしだったが、入社2年目の2002年に初めてのフルマラソンとしてNYシティーマラソンに出場。大会で得た経験と感動を生かして、ランニング担当一筋で15年勤務、フルマラソンも定期的に参加。自分の体を実験台にして、お客さまの目的に応じて楽しめるランニング用品の提案のため走り続ける。「気持ちはあるけど一歩が出せない!」というお客さまに、寄り添ったサポートを行う。
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