カシオはなぜ、今スマートウォッチを出すのか 樫尾和宏社長に聞く荻窪圭が直撃(2/2 ページ)

» 2016年03月18日 12時00分 公開
[荻窪圭ITmedia]
前のページへ 1|2       
※本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

“カシオらしいスマートウォッチ”は今後どうなっていく?

荻窪 今回のWSD-F10はアウトドアモデルですが、リストデバイスとしては内側にセンサーをつけた活動量計デバイスが最近話題になっています。そういう方向性はカシオとして考えられますか? 昔、「BP-100」という血圧を測れる腕時計などを出していましたよね。

樫尾和宏社長

樫尾氏 今回出すスマートウォッチも、センサーによって着けている人の状態をかなり知ることができるのですが、それをもっと活用していきたいですね。それからヘルスケア系は、バイタルセンサーも含めて、今一度やってみてもいいかなと思っています。腕に着けている、身体に密着しているからこそ取れる情報はありますから、そういう意味では腕だけではなくさまざまな情報を解析して、それらとセットでヘルスケアというのはあると思っています。他社もやっていますが、我々が同じ事をやってもしょうがないので、うちだからこそできることをきちんと見つけてやっていきたいと思います。

荻窪 スマートウォッチはどんな発展をしていくでしょう。

樫尾氏 今でいうと、時計市場の新ジャンルのような位置付けですが、いろいろな可能性を見付けていきたいですね。

 今カシオの社内は、時計、情報機器、デジタルカメラなど、モノの形によって事業部が分かれているのです。ですから、例えばかつてMP3形式の音楽ファイルが再生できるEXILIMなども開発していたものの、それは「iPod」にはなれなかったんですね。音楽機能はあくまでもオマケでしたから。カメラの事業部で作るとカメラにしかならない、時計の事業部でやると時計にしかならないのかもしれません。

 だから今回のスマートウォッチは、新規事業開発部という、時計とは離れたところで開発を進めました。一方で、WSD-F10がデジカメなどと本当の意味で連携ができているかというと、そこはまだ完全ではないところもあります。今はまだ、FR100と“つながる”というレベルです。

 もしかしたら、アウトドア事業部やウェアラブル事業部を作って開発していく、センシング事業部を作ってバイタルセンシングを徹底的に研究する、というような形にした方がいいかもしれない。まだ具体的には動いてませんが、いろんな可能性があります。

 そういう意味では、今回の初号機であるWSD-F10で、いろいろな可能性を見付けていきたいと思っています。それが見付けられたら、WSD-F10を作るために、情報機器と時計のチームを融合して新しいチームを作ったように、時計以外のジャンルへも新しいチームを作っていきたいという構想はあります。

 本来、新規商品や新規事業は、最初に「売れる」「売れない」で判断してはいけないんです。もちろん売れないのはイヤですが、単に売れればいいという話ではなくて、新しいユーザーがどう新しい使い方をしてくれたかどうかが重要です。

 話は元に戻りますが「創造と貢献」。新しいニーズを生み出して広げていければ、そこをやっていけばいいと思います。

荻窪 最後にWSD-F10をCESで披露してからのてごたえはありますか。それから、ぜひ今後の抱負をお聞かせください。

樫尾氏 WSD-F10は「カシオらしい」と言っていただけるのが一番うれしいですね。カシオらしい時計がようやく出ましたね、と期待が伝わってきます。

 さまざまな可能性を持っている初号機ですが、最終的にはウェアラブルの世界をうちでもしっかり作っていきたいと考えているので、そのためのスタートにしたいと思っています。みんながカシオのスマートウォッチを身に着けている、という世界にむかって頑張っていきたいと思ってまいす。

 カシオは、QV-10やG-SHOCKなど、今まで世の中にない新しいものを出してきましたが、直近でいうとそれほどそういう製品が多くないのが反省点です。世の中をびっくりさせる、世の中を変えるような製品を出せるよう最大限がんばっていきたいと思っています。今はそういう新規商品を脱すのは難しい時代といわれてますが、できない話だとは思っていません。既存市場への参入ではなく、新しい市場を作っていくという使命感があります。

樫尾和宏社長

荻窪 どうもありがとうございました。


 我々がカシオ計算機に期待する“カシオらしい製品”というものがあって、カシオが新奇な(ときには珍奇な)製品を続々と出していた時代を知っている人はみな同じようなイメージを持っていると思うのだけれども、樫尾和宏社長になってそういうカシオらしさがまた復活してくれそうで嬉しい限りである。

 スマートウォッチに限らず、ウェアラブル機器の新しい市場展開に期待しております。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
先週の総合アクセスTOP10
  1. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  2. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  3. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  4. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  5. 田代まさしの息子・タツヤ、母の逝去を報告 「あんなに悲しむ父親の姿を見たのは初めて」
  6. 「遺体の写真晒すのはさすがに」「不愉快」 坂間叶夢さんの葬儀に際して“不適切”写真を投稿で物議
  7. 大友康平、伊集院静さんの“お別れ会”で「“平服でお越しください”とあったので……」 服装が浮きまくる事態に
  8. 妊娠中に捨てられていた大型犬を保護 救われた尊い命に安堵と憤りの声「絶対に許せません」「親子ともに助かって良かった」
  9. 極寒トイレが100均アイテムで“裸足で歩ける暖かさ”に 今すぐマネできるDIYに「これは盲点」「簡単に掃除が出来る」
  10. 「奥さん目をしっかり見て挨拶してる」「品を感じる」 大谷翔平&真美子さんのオフ写真集、球団関係者が公開
先月の総合アクセスTOP10
  1. 釣れたキジハタを1年飼ってみると…… 飼い主も驚きの姿に「もはや、魚じゃない」「もう家族やね」と反響
  2. パーカーをガバッとまくり上げて…… 女性インフルエンサー、台湾でボディーライン晒す 上半身露出で物議 「羞恥心どこに置いてきたん?」
  3. “TikTokはエロの宝庫だ” 女性インフルエンサー、水着姿晒した雑誌表紙に苦言 「なんですか? これ?」
  4. 1歳妹を溺愛する18歳兄、しかし妹のひと言に表情が一変「ちがうなぁ!?」 ママも笑っちゃうオチに「かわいいし天才笑」「何度も見ちゃう」
  5. 8歳兄が0歳赤ちゃんを寝かしつけ→2年後の現在は…… 尊く涙が出そうな光景に「可愛すぎる兄妹」「本当に優しい」
  6. 1人遊びに夢中な0歳赤ちゃん、ママの視線に気付いた瞬間…… 100点満点のリアクションにキュン「かわいすぎて鼻血出そう!」
  7. 67歳マダムの「ユニクロ・緑のヒートテック重ね着術」に「色の合わせ方が神すぎる」と称賛 センス抜群の着こなしが参考になる
  8. “双子モデル”りんか&あんな、成長した姿に驚きの声 近影に「こんなにおっきくなって」「ちょっと見ないうちに」
  9. 犬が同じ場所で2年間、トイレをし続けた結果…… 笑っちゃうほど様変わりした光景が379万表示「そこだけボッ!ってw」
  10. 新幹線で「高級ウイスキー」を注文→“予想外のサイズ”に仰天 「むしろすげえ」「家に飾りたい」