チョコ、トマト、ちりめん――「GABA」を摂れば熟睡できるのか検証してみた:眠りの達人への道
どうにも睡眠時間が短い筆者。これをもっと長く、しっかり熟睡できるようにするにはどうすれば? そこで「GABA」が豊富な食材をいろいろ食べてみることに。
テレビCMやコンビニ、スーパーの店頭で見かけたことがある「GABA(ギャバ)」。チョコレートに含まれているイメージがあるが、調べてみるとさまざまな食品に含まれているという。これがストレスに効果があり、睡眠に良いらしい。というわけでGABAが多い食材を一週間毎日口にした。結果は……?
GABAとはなんだ? それはリラックスさせてくれるアミノ酸
GABA……英会話教室の名前ではない。「ギャバ」と読む(英会話教室はガバだ)。「Gamma-Amino Butyric Acid」の略だという。
この研究を行い、またこの分野で有名な中部大学の横越英彦教授が代表を務める「ギャバ・ストレス研究センター」のサイトによると、GABAはアミノ酸のひとつで、「抑制系の神経伝達物質」とのこと。気持ちを落ち着かせる「抗ストレス作用」があるという。
GABAをウリにしたその名もズバリ「GABA」というチョコレートを売っている江崎グリコは、同製品を「メンタルバランスチョコレート」とうたっている。
100gあたり280mgのGABAが含まれる江崎グリコのチョコ「GABA」(税込152円)。1袋51gで、1袋当たりの含有量は143mgとなる。だがカロリーは1袋290kcalなので2袋で580kcal。ダイエットをしているのなら食べ過ぎに注意
また神戸学院大学の薬理学入門というページでも、GABAが興奮を抑え、睡眠につながると解説されている。
筆者もGABAという名前やチョコは知っていたが、今回調べてみると、チョコレートの原料のカカオだけでなく、トマト、発芽玄米、「ちりめんじゃこ」にも多く含まれている、という情報が見つかった。「毎日チョコを食べるのはちょっと……」と思っていたが、どうやら自然に摂取することはできそうだ。
これを食べれば、快適な睡眠が約束され……るの?
GABAを大量に摂取すると? いつ食べればいいのだ?
どうもこの「GABA」、ネット上の情報があやふや。どのタイミングで、どれくらい食べればいいのか、はっきりしない。
そもそも前述の神戸学院大学のページでも「睡眠のメカニズムについてはまだ不明な点が多い」とわざわざ記載されているし、そもそも分からないことがあるから、研究をしているんだろうけど。
ネット上には30分前に摂取、100〜500mg摂取、さらには摂取し過ぎても副作用はない、などいろいろ書いてあるが根拠が分からない。それどころかサプリメントへのアフィリエイトばかりでグッタリする。
ただ前述の「ギャバ・ストレス研究センター」によれば、目安として「1回30mg以上」、「より機能を実感されたいのなら50〜100mg」で効果が期待される、とある。
GABAの含有量については、発芽玄米で100g中10mg。これで白米の10倍。「トマト」「なす」「アスパラガス」なども多く含んでいるらしい。
「ちりめんじゃこ」については含有量の根拠となる出典、身許のしっかりした研究や論文のURLが見つからなかった。しかしネット上にはGABAを多く含むとの記述が散見されるので、採用。個人的にはちりめんじゃこの手前の状態「しらす干し」(ちりめんじゃこはより乾燥させる)のほうが好きだけど、ふりかけにして食べればどちらもおいしい
さて筆者は睡眠不足なのだから、GABAが不足しているに違いない(強引な理屈だというのは自分でも分かっている)。であれば少なくとも毎日「GABAが多い」とされる食材を複数食べれば、今までよりGABAを多く摂取することになるはず。
時間は昼食、夕食で、玄米ご飯、トマトサラダ、ちりめんじゃこを食べ、おやつや寝る前くらいに江崎グリコの「GABA」を食べればよいだろう。
筆者は同時にコンビニ飯でダイエットも進めているのだが、なんだかもう分けのわからない食事環境になってきた。だがもともと変わった食材を見つければ口にしてみたい悪食の筆者だから、食べ合わせなんて気にしない。
少しだけ睡眠時間が伸びる! 寝つきが相変わらず悪い……
結果、一週間GABAを摂取し続けたのだが、その間の睡眠はオムロンの睡眠計「HSL-101」で計測。これはスマホのアプリ「ねむり体内時計」やPCサイトの「わたしムーヴ」で睡眠の状態を確認できる。
通常時や、他の睡眠不足対策を試したときと比較すると、平均睡眠時間は以下の通り。
- 通常時の睡眠時間:平均5時間47分
- ブルーライトカットを試す:平均6時間5分
- GABAの積極摂取(今週):平均6時間12分
今回が一番睡眠時間が伸びてはいる。
ただ正直、体感的には「GABA」の効果はまったく実感できない。日々の仕事量が多ければ「疲れた」「寝たい」と思い、逆に仕事が残って不安であれば「寝られない」と、ごくごく当たり前の精神状態だった。「よく眠れた〜」なんてことはない(ひどい眠りだった覚えもないが)。
「ねむり体内時計」では睡眠のタイプを9種類に分けて見ることができるが、結果はベストな「ヒツジさん」タイプではなく、ルーズな「ライオンさん」タイプ。やはり寝つき、起床までの時間が遅いようだ。
また一週間のグラフで睡眠状況を確認すると、こちらも寝つきが遅いのが分かる。これは筆者の睡眠の特徴で、なかなか寝ない、眠れない。とくに今回は布団に入ってからタブレットでWebサイトや電子コミックを見ていたので、その影響があったかもしれない(ブルーライトカットを試したときも似たようなものだが)。
PCサイトの「わたしムーヴ」でも睡眠を分析。こちらは2週間毎に分析するので、まだ違いがよく分からないが、筆者の寝付き、起床時間などを分析。思ったより悪くないが、やはり寝付き、起床時間が遅め。ぐっすり眠れている人はどんなグラフになるのだろう?
なかなか「熟睡」「快眠」とはいかないが、一方で、少しずつ睡眠時間が伸びていることから「何もやらないよりは良い」と言えるかもしれない。
次回はやはり睡眠に良いという「トリプトファン」を多く含む食材を積極的に試してみる。ただ筆者どうも最近腰や背中が痛いし、疲れている気が。このあたりの疲労感もどう影響するか、読者は気楽に面白がってほしい(こっちは不安だが……)。
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